第1号 法人税法第66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)第2項と第4項の読み方
事例
例えば、3月決算法人であるとして、4月6日に新規に設立された法人の場合、事業年度が360日で1年に5日足らない法人の場合は、
どのように計算するのかという問題があります。
法人税法第66条第2項(年800万円以下の所得金額に対する軽減税率)は、第1項の場合において、
普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額が1億円以下であるものの各事業年度の所得の金額のうち年800万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、100分の19の税率による旨規定しています。
そして、第4項(事業年度が1年に満たない法人の年800万円以下の所得金額)は、事業年度が1年に満たない法人に対する第2項の規定の適用については、同項中「年800万円」とあるのは、
「800万円を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額」とする旨規定しています。
また、第5項は、第4項の月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする旨規定しています。
(暦に従って計算するとは、
応答日の前日で1月になるという意味《1月が30日の月もあれば31日の月もあるので》)(項が主語なので、「しています。」で終了する。「されています。」といいたいが我慢すること。)
そうすると、4月が6日から1月ずつ計算すると、最後の月(つまり3月6日から3月31日までの月)が25日となり、1月に足りないけれども、第5項から、これを1月とすることになります。
したがって、当該事業年度の月数は、12ということになります。
ここでは、まだ、当該法人は、第4項に該当する法人です。第5項で1月とみなすのは、あくまで、第4項の法人であって、たまたま12月なったからといって、いきなり第1項の法人になるわけではありません。
ここで、第4項の式にこの12という数字を当てはめると、800万円を12で除すると、666,666円となります。
これに12を乗ずると、7,999,999円になります。
(税法で規定する場合、額とか金額の場合は、1円未満はありませんので、円未満は切捨てとなります。
円未満をあらわす場合は、価格とするとか、あえて、小数点未満〇桁をどうすると規定しています。
そのため、減価償却費の計算の場合も同じなので、エクセルで計算する場合には、気をつけないとこのように1円程度ずれる場合があります。)
これでいいでしょうか。
安心して下さい。
法人税基本通達16ー4ー1(法人の年800万円以下の所得金額の端数計算)は、法66条第4項に規定する事業年度が1年に満たない法人が、
同条第2項の規定を適用する場合において、同条第4項に規定する「800万円を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額」に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。
ただし、当該切り捨てられる端数の金額が、当該事業年度の所得金額について切り捨てられる金額より多いときは、これを切り上げる旨定めています。
(通達なので規定ではないので、「定めている。」で 終了します。)
これを、本件に当てはめると、
例えば、所得金額が9,876,543円とすると、税率を乗ずる場合の所得金額のうち1,000円未満の543円が切り捨てられることになりますが、
7,999,999円の1,000円未満である999円のほうが543円よりも多い金額となるので、
999 円を切り上げて1,000円とし、7,999,999円は8,000,000円とするという意味です。
999円で1円未満を切り捨てた場合には、軽減税率を乗ずるときに、国税通則法第118条 (国税の課税標準の端数計算等)から999円を1,000円未満として切り捨てて、
また、通常税率を乗ずる場合1,000円未満を切り捨てることとなり、1,000円未満の端数の切り捨て処理を2回も使って、2,000円弱まで切り捨てることとなります。
端数の切り捨て処理は、1回だけであるということです。
よかったですね。
そうすると(柏木意見)、所得金額が、9,999,999円の場合で、事業年度が300日の新規設立法人の場合の軽減税率19%の適用は、800万円ではなく、7,999,999円となり、課税標準は、7,999,000円となって(端数処理1回目)、通常の税率23.2%を乗じるのは、2,000,000 円となる(端数はないので端数処理2回目なし)と考えられます。
所得金額が9,999,998円の場合と比べて差額
(23.2% —19%)×1,000円は
42円税額が増えることとなるので注意する必要がありそうです。
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