TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

33号 移転価格税制逐条解説1

移転価格税制逐条解説 第1回

 

 

 

移転価格の説明書は多くありますが、

なかなか条文に沿って説明したものがなく、

しかたがないので、書いてみました。

 

争いになると結局は条文です。

 

どの部分で争っているのかを確かめるために

条文を読んでみましょう。

 

 

 

(法令要旨)

措置法第66条の4第1項は、

法人が、昭和61年4月1日以後に

開始する各事業年度において、

 

当該法人に係る国外関連者との間で

資産の販売、資産の購入、役務の提供

その他の取引を行った場合に、

 

当該取引(国外関連取引)につき、

 

当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額

独立企業間価格に満たないとき、

 

又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額

独立企業間価格を超えるときは、

 

当該法人の当該事業年度の所得に係る

同法その他法人税に関する法令の規定の適用

については、

 

当該国外関連取引は、独立企業間価格で

行われたものとみなす旨規定しています。

 

 

 

これが、骨子です。さらに要約すると、

 

『法人が、国外関連者との間で

国外関連取引を行 った場合、

 

その対価の額が独立企業間価格に満たないとき、

又は超えるときは、

 

当該国外関連取引は独立企業間価格で

行われたとみなす』

ということです。

 

 

 

これだけでは、わかったような、わからんような。

このあと、少しずつ肉を付けながら

説明していきます。

 

 

 

まず、国外関連者とは、

第1項かっこ書きは、外国法人で、

 

当該法人との間にいずれかー方が

他方の自己株式を除く発行済株式の総数の

100分の50以上の株式を直接又は間接に保有する関係

 

その他の措置法施行令第39条の12第1項

第1号ないし第5号で定める「特殊の関係」

のあるものをいう旨規定しています。

 

 

 

これは、原則保有株式50%以上の

海外子会社のことですが、

 

いろいろの組織形態で移転価格税制を免れないように

その範囲を

いろいろなバリエーションで定めています。

 

 

 

次に、国外関連取引とは、

第1項は、当該法人に係る国外関連者との間で

 

資産の販売、資産の購入、役務の提供

その他の取引を行った場合で、

 

当該国外関連者が

恒久的施設を有する外国法人である場合には、

 

当該関連者の

法人税法第141条第1号イに掲げる国内源泉所得

(法138条第1項第1号に掲げる国内源泉所得のこと)

に係る取引として

 

措置法施行令第 39条の12第5項

『法人税が軽減・免除』される取引を

除いた取引である旨規定しています。

 

 

イメージ的には、まず、

棚卸資産の取引が該当します。

 

 

具体的には、日本で作った製品を

国外関連者に輸出する取引、

 

次に、日本で製品を作るために、

国外関連者から材料や部品を輸入する取引です。

 

 

複雑になると、

第2の国外関連者に製品を販売するために、

製造を行う第1の国外関連者に

部品を輸出する場合です。

 

 

 

そして、移転価格税制は、

当然外国法人にも課税されますが、

法人税が免除されるような取引は除く旨

規定しているわけです。

 

 

 

次に、役務の提供取引とは、

資金の貸付が当たります。

国外関連者に融資(又は融資を受け)、

その金利が独立企業間価格(ALP)よりも高いか

低い場合に移転価格税制で課税しようとするものです。

 

 

 

また、リース取引や融資の保証なども該当しますが、

 

特許や工業所有 権・デザインの使用許諾や

ノウノウの提供も当たります。

 

 

 

最近は、第1の国外関連者で製品を作り、

部品は、当該国外関連者が、

独自に第3の国外関連者から輸入し、

 

第2の営業を担当する国外関連者に輸出する取引で、

日本の親会社が取引に絡まない取引がありますが、

 

 

これは、親会社のノウハウを使用しているとして

(役務の提供を無償で行っているとして)

独立企業間価格のノウハウ料を受け取るべきとして

移転価格税制で課税しています。

 

 

なお、寄附金との関連は、またあとで説明します。

 

 

 

次は、独立企業間価格とは、

第2項は、第1項に規定する独立企業間価格とは、

国外関連取引が

次の各号に掲げる取引のいずれに該当するかに応じ、

 

 

当該各号に定める方法のうち、

 

当該国外関連取引の内容及び

当該国外関連取引の当事者が果たす機能

その他の事情を勘案して、

 

 

当該国外関連取引が独立の事業者の間で

通常の取引の条件に従って行われるとした場合

 

当該国外関連取引につき支払われるべき対価の額を

算定するために

 

最も適切な方法により算定した金額をいう

旨規定しています。

 

要約すると、

『独立企業間価格とは、

通常の取引の条件に従って行われたとした

対価の額を取引の形態や事情に応じて、

 

所定の手法のうち最適な手法によって算定した金額』

をいいます。

 

 

 

どの手法が最も適切かどうかは、

それぞれの取引によって異なります。

 

国外関連者、国外関連取引、独立企業間価格の

3つの用語がわかれば、

 

とりあえず、なにに課税しようとしているのかは

わかったと思います。

 

 

つぎからは、どのように課税するかです。

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