TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

第442号 罰則

罰則規定について

 

 

 

税務調査で、特に不正として処理する場合には、

犯罪と同等に取り扱っていることから、

犯罪についてまとめてみます。

 

通常、犯罪とは「構成要件に該当し、違法で、有責な行為」であるとされています。

 

例えば、未遂ですが、

結果的に脱税していないのに、

しようとしただけで罰せられることがあるのか

ということですが、通常は既遂のみが罰せられます。

 

通常、申告期限が未到来なのに、

無申告や過少申告になることはありません。

 

しかしながら、金密輸の場合は、

税関で金輸入について申告せずに通関しようとして

税関職員に質問され、

金を保有していることが見つかった場合は、

罰せられます。

 

この場合、まだ通関していないので

密輸に既遂にはなりません。

なぜ罰せられるのでしょうか。

 

これは、消費税法第64条第1項は、

次の各号のいずれかに該当する者は、

10年以下の懲役若しくは1000万円罰則処し、

又はこれを併科する旨規定しており、

 

第1号は、

偽りその他不正の行為により、消費税を免れ、又は

保税地域から引き取られる課税貨物に対する消費税

免れようとした者と規定しています。

これによって、未遂の者も罰しています。

 

 

さらに、不正還付の場合ですが、

 

第2号は、

偽りその他不正の行為により第52条

(仕入れに係る消費税額の控除不足額の還付)第1項

又は第53条(中間納付額の控除額の還付) 第1項

若しくは第2項の規定により、

還付を受けた者と規定しています。

 

そうすると、還付保留になった場合には、

「受けた者」と規定されているので、

既遂時期は実際に還付された日となり、

罰はないのかということになります。

 

しかしながら、消費税法第64条第2項は、

 

前項第2号の罪の未遂

(第52条第1項に規定する不足額の記載のある

 同項の申告書を提出した者に係るものに限る。)

は、罰する旨規定しています。

 

この規定により、還付保留の上、

調査により罰することができることになります。

 

なお、課税処理とは別で処分されます。

様式は起訴状別表になります。

 

 

 

次に罪数の話です。

3人を殺せば、3つの殺人罪となります。

3件のすりをすれば、3つの窃盗罪になります。

 

しかし、10回なぐっても、1つの暴行罪です。

 

また、1回の放火で、3件の家が燃えても、

1つの放火罪です

 

では、一回の住居侵入で3つのものを盗めばどうか。

これは1つの窃盗罪です。

 

窃盗罪は、状態犯で、違法状態が継続していると

考えるからです。

時間的に離れると、次の窃盗罪に力ウントされます。

 

 

これは、どうでしょうか

では、他人のものを壊せば、器物損壊罪ですが、

盗んだものを壊すと、

窃盗罪と器物損壊罪になるのでしょうか。

 

実は、器物損壊罪の方は、

不可罰的事後行為で罰なしです。

 

つまり、一体の行為として

器物損壊罪は吸収されます。

 

しかしながら、殺人をした後に死体を遺棄すれば、

殺人罪と死体遺棄罪です。

 

別々の法益侵害なので、

併合罪として2つの罪になります。

 

さらに、やかんに毒を入れて3人を殺したら、

3件の殺人罪でしょうか。

実は、1件の殺人罪です。

やかんに毒を入れるという行為は1つの行為ですから。

 

これを、観念的競合といいます。

(1個の行為が数個の罪名にあたる場合で

 科刑上一罪です。)

爆弾を投げたら10人死亡でも同じです。

 

 

 

これは、どうでしょうか。

女性に対して殺意をもって、強姦して殺したのと、

強姦してから犯罪を隠蔽するのに殺したのは、

違うのでしょうか。

強姦罪と殺人罪の2つの罪か、強姦殺人罪か。

 

 

では、これはどうでしょうか。

 

道端で、暴れてナイフで2人刺して殺したのは、

2つの殺人罪です。併合罪です。

 

他人の家に侵入して、2人を殺したのも、

2つの殺人罪か。

 

実は、1つの殺人罪になります。

 

道端では、2つの殺人罪ですが、

住居侵入という行為が、

1つ目の殺人と2つ目の殺人をくっつけるのです。

 

こういうのを牽連犯による

「かすがい現象」といいます。

 

 

 

これは、どうでしょうか

ナイフで刺して殺した際に、

衣服を破いてしまったので、

殺人罪と器物損壊罪となるのか。

 

これは、一個の行為が数個の構成要件を充足する

ようにみえますが、

 

その実そのうちから

1個の構成要件による評価だけで十分で、

 

他の構成要件による評価が、排斥される場合で、

法条競合といいます。

(業務上横領罪と単純横領罪、

 殺人罪と器物損壊罪、

 傷害罪と暴行罪、

 横領罪と背任罪の関係です。)

 

 

 

法条競合と観念的競合の違いは、

法条競合は、そもそも1個の罪で、

 

観念的競合は、2つの罪にあたるが

科刑上一罪とするところです。

 

 

最後に、これはどうでしょうか

では、法人税を7事業年度にわたり

架空外注費の計上をしていた場合には、

いくつの罪になるでしょうか。

 

法人税法違反7つ、特別復興税法違反7つ、

消費税法違反7つ、地方消費税法違反7つになります。

 

計28個の罪を犯したことになります。

 

なお、審査請求による取消請求事件とすると、

これに各重加算税の取消件数が同数加算されます。

56個の事件として扱われます。

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