TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

64号 ALM(資産負債総合管理)

ALM (Asset Liability Management)

 

 

 

資産負債総合管理といいます。

銀行の経営管理方式です。

 ざくっと1970年代は、

資産管理(AM :Asset Management)

の時代で、マルコビッツの資産選択理論が

ノーべル賞を受賞し、

 

銀行は、預かった預金を元手に、

企業への融資だけでなく、

国債・社債をはじめ、株式などの有価証券を保有し、

資産選択理論による最小限のリスクと

最大限のリターンを求めて行動しました。

 

 

そのため、預金を多く集めた銀行が

より多くの資産を運用することができ、

利益を最大限に大きくできるとして

預金集め競争に走りました。

 

この時代は、まだ、集めた預金の種類(リスク)

と運用する資産の種類(リスク)

そろえようとする感性があり、

短期で集めた資金(普通預金の資金)

株式で運用することにまだ、躊躇していました。

 

 

 

このときの経営理論としては、

PPBS (Planning Programming Budgeting System)

いう方式がはやっていました。

 

これは、アメリカ国防省で開発された理論で、

企画計画予算制度のことです。

 

長期の計画と短期の計画を

予算編成で結合させたもので、

目的を達成させるために、

いかに効率的に少ない予算で達成できるかを

コンピュータを使って計画するものです。

 

ベトナム戦争にときに

マクナマラ国防長官が開発しました。

費用対効果を徹底的に考えて実行したものです。

 

その結論は、アメリカ軍はベトナム戦争に対して

顧問団ではなく正規兵を投入することが効率的

(費用がチープ)ということになりましたが、

その結果は、ご存知のとおり、

アメリカ軍の敗北でした。

 

 

 

 

1980年代に入り、

プール理論

(プールの中に水を入れると混ざってしまう)

が導入され、 集めた預金の種類(リスク)

運用する資産の種類(リスク)

そろえようとする感性がなくなり、

 

また、リスクの概念も乏しくなり、

ただ大きくなることに懸命となりました。

 

 

 

 

手法は、負債管理

(LM : Liability Manegement)です。

 

運用資産の中で最もリターンが高いのは企業融資です。

 

したがって、有価証券などへの運用をやめ、

企業融資に走りました。

 

また、預金集めもやめて、資金の調達は、

すべて市場から調達することとし、

このとき譲渡性預金 (CD : Certificate Deposit)

よく使われました。

 

また、コンピュータを使って利便性を

作り出すことにより、中期国債ファンドや

MMMF、CMAなど、

さまざまな金融商品が生産されました。

 

しかしながら、融資先の企業が倒産し始めると、

銀行自体も倒産の危機となったのです。

 

 

 

 

そこで1990年代から使われだしたのが、ALM(Asset Liability Management)

です。

 

再度、集めた預金の種類(リスク)

運用する資産の種類(リスク)

そろえようとする感性が戻りました。

 

 

しかも、単にそろえるのではなく、

リスクという概念のもとで、

つまり、各商品をリスク別に再構築し、

運用する資産もリスクという概念で統一しました。

 

企業融資はリターンが高いがリスクも高い。

有価証券はリターンは中ぐらいだかリスクも中ぐらい。

負債も期間別にリスクの大きさを

コントロールするのです。

 

そのため、リスク感応度分析やVar

(バリュー ・アット・リ スク)などの

手法が開発されました。

 

 

 

これらは、金利が0.1%変動した場合の

資産の価値の変動を図るなどです。

 

現在の銀行のリスクはどのくらいあるのかを

コンピュータを使用して常に監視する方法です。

 

 

 

その他、ヘッジやマリーなどの手法により、

いかにリスクを減少させるかを図るようになりました。

 

 

 

たとえば、10億円を運用する

優秀なポートフォリオマネージャーでも

100億円を運用する場合では優秀でなくなる

ことが分かったのです。

 

そのため、10億円を運用する

優秀なポートフォリオマネージャー10人に

それぞれ最高のパフォーマンスをさせるのです。

 

しかしながら、この10人はそれぞれが

優秀であっても、ときには、

全く逆の売買をする場合があるのです。

 

これでは、手数料がもったいなく、

全社ベースでは損をするので、

別途この10人の運用のバックオフィスを作ると、

このバックオフィスでは

証券会社に株の売買をつなぐ前に

自社で相殺してしまいます。

 

Aさんが売るといった株を

Bさんが買うのであれば

自社でその株を移すだけでいい。

 

これをマリーといいます。

この方法を顧客からのデリバティブの売買にも

応用したのが、スワップハウスです。

一時期ものすごい利益を稼いでいました。

手数料まる得ですから。

 

 

 

 

その後、先ほどのPPBSの失敗などから、

人間性の復活を考え、

経済学特に金融の行動分析に心理学を応用したのが、

行動ファイナンスです。

 

株式で利益が出ると売ってしまうが、

損をすると塩漬けにしてしまうとか、

心の中で損益を相殺してしまう

(今日は100円損をしたけど、

 咋日150円得をしたのでいいか)など、

 

人間の行動は完全合理的な行動ではなく、

不合理な部分があることを前提に

その不合理さを

分析しようとするものです。

 

次回はこの行動ファイナンスについて説明します。

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