TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

69号 売買か交換か

売買か交換か(岩瀬事件)

 

 

 

(事例)

納税者は、

居住用建物(本件譲渡資産)

地上げ屋から購入の申し込みを受け、

売却の条件として近隣の土地・建物を要求した。

 

地上げ屋は、

近隣の土地・建物(本件取得資産)

取得し、納税者と地上げ屋が

それぞれの不動産を売買する契約を結んだ。

 

代金の支払は相殺し、差額を

地上げ屋が納税者に現金で支払った。

 

本件譲渡資産の契約金額は、

納税者が国土利用計画法の

上限金額(7億円)としたことから、

 

その差額(3億円)

それぞれの物件の時価から算出し、

その差額を控除することにより、

本件取得資産の契約金額(4億円)

としたものである。

 

課税庁は、

本件取引を不可分一体の取引(補足金付交換)

であり、

本件譲渡物件の適正な時価は

10億円であるとして更正した。

 

争点は、

本件取引の法的性質が、

本件譲渡資産と本件取得資産との

代金相殺を伴う各売買とみるのか、

補足金付交換とみるのかである。

 

 

 

(東京高裁平成11年6月21日判決)

第1審は、

本件取引を、交換とみて納税者の請求を棄却した。

 

第2審は、

第1審の事実認定を前提としつつ、

判旨を次ぎのとおり、

 

本件取引の法的性質について、第1審と異なり、

各別の売買とみて、控訴を認容した。

課税庁は上告したが、最高裁は上告不受理を決定した。

 

 

(判旨)

第2審(東京高裁)は、

「事実関係からすれば、

納税者と地上げ屋との間で

本件取引の法形式を選択するに当たって、

 

より本件取引の実質に適合した法形式で

あるものと考えられる本件譲渡資産と

 

本件取得資産との補足金付交換契約の法形式

によることなく、

 

本件譲渡資産及び本件取得資産の各別の売買契約と

その各売買代金の相殺という

法形式を採用することとしたのは、

 

本件取引の結果、

納税者側に発生することとなる

本件譲渡資産の譲渡による

譲渡所得に対する税負担の軽減を図るため

であったことが、

優に推測できるものというべきである。

 

本件取引のような取引においては、

むしろ補足金付交換契約の法形式が

用いられるのが通常であるものとも

考えられるところであり、

 

現に、本件取引においても、

当初の交渉過程においては、

交換契約の形式を取ることが

予定されていたことが認められるところである。

 

 

 

しかしながら、最終的には

本件取引の法形式として

売買契約の法形式が

採用されるに至ったことは前記のとおりであり、

 

 

そうすると、いわゆる租税法律主義の下においては、

 

法律の根拠なしに、

当事者の選択した法形式を

通常用いられる法形式に引き直し、

 

それに対応する課税要件が充足されたものとして

取り扱う権限が

課税庁に認められているものではないから、

 

本件譲渡資産及び本件取得資産の

各別の売買契約と

その各売買代金の相殺という

法形式を採用して行われた本件取引を、

 

本件譲渡資産と本件取得資産との

補足金付交換契約という法形式に引き直して、

この法形式に対応した課税処分を行うことが

許されないのは明らかである。」

 

と判示した。

 

 

本判決の意義は、

租税回避の否認につき

明文の法律上の根拠を要求する

租税法律主義の要請を

訴訟法のレベルで潜脱することにして、

歯止めをかけたところにある。

 

 

 

同様の事件

東京地裁(平成13年3月28日判決)

東京高裁(平成14年3月20日)

において判決されている。(岸事件)

 

第1審は、藤山判決であり、

 

「所得税法は、売買契約における譲渡所得と

交換契約の譲渡所得について、

その課税標準を異にすることを認容し、

 

前者については、

当事者間で合意された代金額を

原則として尊重する態度に出ているものである。

 

したがって、

当事者間においてなされた2つの売買契約において、

結果として双方の有する財産権の

交換的な移転の要素があったとしても、

 

そのことから直ちに

当事者間の意思の合理的な解釈として、

2つの売買契約を

交換契約であると認定することは、

特段の事情がない限り許されないというべきである。

と判示されている。

 

なお、民法上は、

当事者の意思が優先され、

1個の交換であるとする説が有力である。

 

しかしながら、当該私法的解釈により

課税上納税者に不利な影響を及ぼす場合には、

 

その解釈によって

本件取引が、

不当に租税回避を目的としてなされた行為である

ことが積極的に立証されるか、

 

または、租税法律主義にのっとり

課税要件が充足されているものでなければならない。

(検証!藤山税務訴訟判決P12)

 

 

さらに、藤山裁判長は次のように判示している。

 

「自由に選択可能な法形式間において

課税上の取扱いにのみ差異を設けている以上、

 

納税者が、選択した法形式に従った課税をするのが

所得税法の趣旨であるとみるのが相当であり、

 

納税者が、選択した法形式を否認して

他の法形式を前提とした課税をすることは

明文の根拠がない限り許されない。」

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