第74号 証券会社は問屋さん?
証券会社は問屋さん?
商人が行う行為が、商行為なのか
(商人法主義:主観主義)。
それとも、商行為を行うのが、商人なのか
(商行為主義:客観主義)。
我が国は、折衷主義を採用し、
誰でも行えば商行為となる
絶対的商行為(商法501条)と
営業として行えば商行為とする
営業的商行為(商法502条)を区分しました。
併せて基本的商行為といいます。
他に、商人が営業に付随的に行う
附属的商行為があり、
基本的商行為に対して補助的商行為といいます。
なので、個人的な取引として(営業でなく)
営業的商行為を行っても、
それは商行為ではありません。
商法第501条(絶対的商行為)は、
次に掲げる行為は、商行為とする旨規定し、
第1号は、
利益を得て譲渡する意思をもってする
動産、不動産若しくは有価証券の
有償取得又はその取得したものの
譲渡を目的とする行為、
第2号は、
他人から取得する動産又は
有価証券の供給契約及び
その履行のためにする
有償取得を目的とする行為を規定しています。
商法第502条(営業的商行為)は、
次に掲げる行為は、営業としてするときは、
商行為とする旨、
ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、
又は労務に従事する者の行為は、
この限りではないとし、
第1号から第13号まで規定しています。
商法第543条(仲立営業の定義)は、
仲立人とは、
他人間の商行為の媒介を為すを業とする者を
謂う旨規定しています。
商法第27条(代理商の通知)は、
代理商とは、
商人のために
その平常の営業の部類に属する取引の
代理又は媒介をする者で、
その商人の使用人でないものをいう旨規定しています。
つまり、代理商には、
契約締結代理商と契約媒介代理商がいます。
韓国取引では、これに似た商人として、
乙波商(オファー商)というのがたびたび登場します。
商法第551条(問屋営業の定義)は、
問屋とは、
自己の名を以って
他人の為にしたる販売又は買入を為すを業
とする者を謂う旨規定しています。
商法第559条(運送取扱営業の定義)は、
運送取扱人とは、
自己の名を以って物品運送の取次を為すを業
とする者を謂う旨規定しています。
以上の定義から、
個人の居住用土地建物の売買の仲介のみを
行っている宅地建物取引業者は
商法上の仲立人となりません。
個人の居住用土地建物の売買は、
転売目的ではないので、
商法501条第1号・第2号にいう
投機売買ないし投機売却にあたらないので、
商行為となりません。
したがって、個人の居住用土地建物の
売買の仲介のみを行っている
宅地建物取引業者の行為は
商行為の媒介にあたらず、
商法上の仲立人と,ならないのです。
つまり、当該宅地建物取引業者は、
商法502条(営業的商行為)第11号の
仲立ち又は取次ぎに関する行為を
営業として行っているので商人とはなりますが、
仲立人にはあたりません。
運送取次人は、自己の名前で、
そして顧客の計算において顧客のために、
物品運送契約を運送会社と締結するものであり、
問屋と共通するところがありますが、
問屋は、自己の名前で
他人のために物品の販売・買入れをする業で
あるところが異なっています。
代理商は、商人のために
その平常の営業の部類に属する
取引の代理又は媒介をする者となっていますが、
保険相互会社は、商人にはあたらないので、
そのための媒介・代理を業として行う代理店は、
商法上の代理商にあたりません。
そうすると、証券会社は、
顧客の売買注文を
金融商品取引所において執行する場合には、
自己の名前でつまり自己が当事者となって、
顧客の計算において、これを行うのであり、
これは、仲立ちではなく、
商法502条11号の取次ぎに当たります。
したがって、証券会社は、
有価証券の売買の取次ぎを行う者として
商法551条の問屋にあたります。
地下鉄東梅田駅から徒歩3分という便利なロケーションで税務のご相談を承っております
概要
会社名 | TK税務&法務事務所 【一般社団法人租税高度困難事案研究所】 |
---|---|
住所 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3-600号 大阪駅前第3ビル6-2号 |
電話番号 | 06-6131-5335 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
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最寄り | 東梅田駅より徒歩3分 |
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