第76号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part2
法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part2
資本金等の額に加算する第1号から第12号までの項目について、順次説明します。
法人税法施行令第8条第1項第1号は、
株式の発行又は自己株式の譲渡をした場合に
払い込まれた金銭の額及び
給付を受けた金銭以外の資産の価額
その他の対価の額に相当する金額から
その発行により
増加した資本金の額を減算した金額
とする旨規定しています。
自己株式の譲渡も増資ですから、
増資をして資本金の額としなかった部分、
いわゆる、資本準備金のことです。
これを、資本金等の額に加算する
ということです。
金銭が払い込まれない
自己株式の譲渡というのは、
単元未満株式の売渡請求に基づき
自己株式を交付するような場合をいいます。
なお、DESによる債務の受け入れも含み、
この場合も時価によることとなります。
ただし、株式の発行や自己株式の譲渡から
次のイからリに掲げる場合を除くとしています。
ィは、
役務の提供の対価として
自己の株式を交付した場合です。
(事後交付等の場合)、
つまり、新株予約権の行使により
その行使した者に
自己の株式を交付した場合です。
ロは、
新株予約権の行使により、
その行使した者に
自己の株式を交付した場合です。
ハは、
取得条項付新株予約権又は
取得条項付新株予約権が付与された
新株予約権付社債の
法人税法第61条の2 (有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)第14項第5号に定める事由
による取得対価として
自己の株式を交付した場合です。
ニは、
合併、分割、適格現物出資、株式交換又は
株式移転により
被合併法人の株主等、分割法人
(分割対価資産の全てが分割法人の株主等に
直接交付される分割型分割にあっては、当該株主等)、
現物出資法人、株式交換完全子法人の株主又は
株式移転完全子法人の株主に
自己の株式を交付した場合です。
ホは、
適格現物出資に該当しない
現物出資により現物出資法人に
自己の株式を交付した場合です。
なお、当該現物出資は、
法第62条の8(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)第1項に規定する
非適格合併等に該当する場合に限ります。
そして、この該当するとは、
法人税法施行令第123条の10が規定しており、
非適格分割等のうち、分割法人等
(事業の譲受け法人に対して
当該事業の移転をした法人のこと)の
当該非適格分割等の直前において行う事業及び
当該事業に係る主要な資産及び負債の
おおむね全部が
当該非適格分割等に係る譲受け法人に移転を
するものをいいます。
ヘは、
適格分社型分割又は適格現物出資により
分割承継法人又は現物出資法人に自己が有していた
自己の株式を移転した場合です。
トは、
金銭等不交付株式交換又は株式移転により
自己が有していた自己の株式を
株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人に
取得された場合です。
チは、
組織変更に際して当該法人の株主等に
自己の株式のみを交付した場合です。
リは、
法第61条の2第14項第1号から第3号にまでに
掲げる株式の
これらの号に定める事由による取得の対価として
自己の株式を交付した場合です。
なお、法第61条の2第14項
第1号は、取得請求権付株式、
第2号は、取得条項付株式、
第3号は、全部取得条項付種類株式
です。
ヌは、
株主等に対して新たに金銭の払込み又は
金銭以外の資産の給付をさせないで
自己の株式を交付した場合
となっています。
まず、イですが、
なぜ新株予約権の行使により
その行使した者に
自己株式を交付した場合が、
第1項第1号の適用を受けないのか、
つまり、資本金の額に加算しないのかということですが、
どのように考えても、
資本金の額の増加そのものですよね。
ピュアな増資と考えられます。
答えは、別途、第2号で資本の額に
加算すると規定しているからです。
法人税法施行令第8条第1項第2号は、
新株予約権の行使によりその行使した者に
自己の株式を交付した場合の
その行使に際して払い込まれた金銭の額及び
給付を受けた金銭以外の資産の価額並びに
当該法人の当該直前の当該新株予約権の帳簿価額に
相当する金額の合計額から
その行使に伴う株式の発行により
増加した資本金の額を控除した金額とする
旨規定しています。
同様に口、ハ、二も
第3号以下で規定しているので、
第1号のただし書きにより、
この規定は、第1号の適用から除く
としているのであって、
資本金等の額に加算しないと
いっているのではないのです。
なんと読みにくいことか。
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