TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

79号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part3

法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part3

 

 

 

法人税法施行令第8条第1項第2号は、

新株予約権の行使により

その行使した者に

自己の株式を交付した場合の

 

その行使に際して払い込まれた金銭の額及び

給付を受けた金銭以外の資産の価額並びに

 

当該法人の当該直前の当該新株予約権の

帳簿価額に相当する金額の合計額から

 

その行使に伴う株式の発行により

増加した資本金の額を控除した金額とする

旨規定しています。

 

 

 

新株予約権の付与時に、

払込現金を借り方とし、

新株予約権を貸し方とする処理を行い、

 

行使時に払込現金と

新株予約権の帳簿価額の合計額を

資本の額に振り替えます。

 

 

したがって、この金額から

資本金とした額を控除すると

いわゆる資本積立金の額になります。

 

というのは、第8条は資本金等の額の規定であって、

 

これは、資本金と資本積立金を合計したものであり、

 

第1項で、「資本金の額と以下の額の合計額」

という規定をしていることから、

 

以下の額というのは、資本積立金のことですが、

平成18年改正後は、

資本積立金そのものの定義をしていません。

 

 

そのため、新株予約権のうち

資本金に振り替えた部分を「以下の額」

 

つまり、資本積立金の額を算出するのに、

最後に資本金の額を控除するのです。

 

でないと資本金の額を

2回加算することになりますので。

 

 

次の第3号の説明の前に、次の条文を記載します。

 

というのは、第3号の規定の中で

引用されているからです。

 

内容は、新株予約権付株式や

種類株式を譲渡した場合の

益金等の算入時期は

 

その譲渡に係る契約をした日

であることが規定されています。

 

 

 

法人税法第61条の2(有価証券の譲渡益等の益金等の算入の時期)第1項は、

内国法人が

有価証券の譲渡をした場合の

譲渡益等の益金の計上時期は、

 

その譲渡に係る契約をした日

の属する事業年度の所得の金額の計算上、

 

益金等の額に算入する旨規定しています。

 

 

同法第14項は、

内国法人が

次の各号に掲げる有価証券を

当該各号に定める事由により譲渡し、かつ、

 

当該事由により

当該各号に規定する法人の株式又は

新株予約権の交付を受けた場合における

第1項の規定(有価証券の譲渡益等の益金等の算入)

の適用については、

 

同項第1号に掲げる金額

(その有価証券の譲渡に係る対価の額)は、

 

当該各号に掲げる有価証券の

当該譲渡の直前の帳簿価額に相当する金額

とする旨規定しています。

 

 

第1号、取得請求権付株式

交付を受けた事由が、

当該取得請求権付株式に係る

請求権の行使により

その取得の対価として

 

当該取得をする法人の

株式のみが交付される場合の

当該請求の行使です。

 

 いわゆる買取請求による場合です。

 

 

 

第2号、取得条項付株式

交付を受けた事由が、

当該取得条項付株式に係る

取得事由の発生により

その取得の対価として

当該取得をされる株主等に

当該取得をする法人の株式のみが

交付される場合の当該取得事由の発生です。

 

いわゆる売渡請求による場合です。

 

 

 

第3号、全部取得条項付種類株式

交付を受けた事由が、

当該全部取得条項付種類株式に係る

取得決議によりその取得の対価として

当該取得をされる株主等に

当該取得をする法人の株式が

交付されない場合の当該取得決議です。

 

いわゆる全部取得条項の発動の場合です。

 

 

 

第4号、新株予約権付社債についての社債

交付を受けた事由が、

当該新株予約権付社債に付された

新株予約権の行使により

その取得の対価として

当該取得をする法人の株式が

交付される場合の当該新株予約権の行使です。

 

第1号の場合は株式でしたが、

第4号は新株予約権付社債の場合です。

 

 

 

第4号、取得条項付新株予約権又は取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債

交付を受けた事由が、

これらの取得条項付新株予約権に係る

取得事由の発生によりその取得の対価として

当該取得をされる新株予約権者に

当該取得をする法人の株式のみが

交付される場合の当該事由の発生です。

 

第4号が行使の場合で、

第5号は取得事由の発生の場合です。

 

 

 

それでは、第3号に入ります。

 

法人税法施行令第8条第1項第3号は、

取得条項付新株予約権についての

上記の法人税法第61条の2第14項第5号

に定める事由による取得の対価として、

 

自己の株式を交付した場合

(つまり、新株予約権を取得して

自己株式を交付する場合であり、

結局は増資です。)

 

当該法人の

その取得の直前の

当該取得条項付新株予約権の帳簿価額に

相当する金額から

 

その取得に伴う株式の発行により

増加した資本金の額を減算した金額とする

旨規定しています。

 

 

 

ここで、法第61条の2第14項第5号は、

同条第1項で内国法人が

取得条項付新株予約権等の譲渡をした場合の

譲渡益等の益金の計上時期は、

 

その譲渡に係る契約をした日の

属する事業年度の所得の金額の計算上、

 

益金等の額に算入することとしているところ、

 

当該取得条項付新株予約権等が

これらの取得条項付新株予約権に係る

取得事由の発生により

 

その取得の対価として

当該取得をされる新株予約権者に対して

 

当該取得をする法人の

株式のみが交付される場合における

当該事由の発生した場合の、

 

その取得条項付新株予約権等の譲渡に係る対価の額は、

 

当該取得条項付新株予約権等の

当該譲渡の直前の帳簿価額に

相当する金額とする旨規定されており、

 

そしてそれによって、

益金の額を算出することとなります。

 

つまり、当該取得条項付新株予約権等を譲渡

(行使ではなく譲渡、

したがって払込み金額という記載はない)

した場合に、

 

当該取得条項付新株予約権等を取得した法人

(譲渡を受けた法人=取得した法人=発行法人)が、

 

譲渡(行使ではなく譲渡)した法人に対して、

 

譲渡(行使ではなく譲渡)された法人

(取得した法人)の株式のみを

交付した場合(ほとんど増資に近い)には、

 

当該取得条項付新株予約権等の

帳簿価額が資本金等の額

(資本金の額と資本積立金の額の合計額)

となり,

 

そのうち資本金の額が増加している場合は

その資本金とした額を控除することにより

資本積立金の額を算出しているのです。

 

取得条項付新株予約権の買取りに際し、

一部の株主には、新株を交付することとし、

 

残りの株主には現金で

その株式を買い取るということができるか

どうかという争い

(ブルドックソース事件:最高裁平成19年8月7日判決)

があり、

 

株式会社が、特定の株主による

株式の公開買付けに対抗して

当該株主の持株比率を低下させるため

にする新株予約権の無償割当てが、

株主平等の原則に反せず適法とされました。

 

 

いわゆる買収防衛策のうち

ポイズン・ピルが有効と認めました。

 

 

なお、株主が平等に新株予約権を交付した場合

(基本通達2-3-8の他の株式等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合)

は,株式の分割と同じであるとして

新株予約権の利益は認識しません。

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