TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

85号 有価証券の取得価額Part 2(合併の場合)

有価証券の取得価額Part 2(合併の場合)

 

 

 

法人税法施行令第119条(有価証券の取得価額)第1項第5号は、

内国法人が

有価証券を取得した場合の

取得価額の算定について、

 

法人税法第61条の2第2項に規定する

金銭等不交付合併により交付を受けた

当該合併に係る合併法人の株式又は

同項に規定する政令で定める関係がある法人

(つまり親法人)の株式の場合について、

 

当該合併に係る被合併法人の株式

当該合併の直前の

帳簿価額に相当する金額とし、

 

みなし配当がある場合には、

当該みなし配当とみなされた金額を、

 

当該合併法人の株式又は

当該親法人の株式の

交付を受けるために要した

費用がある場合には

 

その費用の額を

それぞれ加算した金額とする

旨定めています。

 

つまり、合併により消滅する

被合併法人の株主は、

所有している被合併法人の株式が消滅し

替わりに合併法人の株式の交付を受けます。

 

その合併法人の株式の取得価額の話です。

 

その取得価額は、

本来交付を受けた

合併法人の株式の時価になります。

(つまり、購入したのと同じこととなります。)

 

ここで、合併により交付する合併法人の

時価はわかりません。

 

しかし、この取引に

有利発行している部分がないとすると、

 

交付を受けた合併法人の時価

消滅した被合併法人の時価

同額のはずです。

 

 

そうすると、被合併法人の株式の

時価を算出することになりますが、

 

被合併法人の各資産の時価を

算出することは困難です。

 

そうすると、交付を受けた合併法人の時価のうち、

資本金等の額とした金額を超えた部分

みなし配当となるので、

 

結局は、帳簿価額(純資産価額)

みなし配当とみなされた金額を加えると

交付された合併法人の

株式の時価となります。

 

 

法人税法第24条(配当等の額とみなす金額)第1項は、

法人の株主等である内国法人が

当該法人の次に掲げる事由

(第1号合併から第7号組織変更まで)により

 

金銭その他の資産の交付を

受けた場合において、

 

その金銭の合計額が

当該法人の資本金等の額のうち、

 

その交付の基因となった当該法人の株式に

対応する部分の金額を超えるときは、

 

この法律の適用については、

その超える部分の金額は、

配当の金額とみなす旨規定しています。

 

なお、法人税法第24条第1項第1号は、

合併を事由としていますが、

適格合併を除いています。

 

これは、適格合併の場合は、

簿価による被合併法人の

資産の受け入れになるので、

資本金等の額も引き継ぐので、

 

被合併法人の株主の株式の金額に

変動がないからと考えます。

 

 

そのため、

法人税法施行令第119条第1項第5号

合併の場合を規定していますが、

適格合併の場合の規定はありません。

 

第6号も分割型分割の場合を規定していますが、

適格分割型分割の場合の規定はありません。

 

逆に第7号は、適格分社型分割又は

適格現物出資を規定していますが、

適格以外の分社型分割又は

現物出資を規定していません。

 

これは、合併と分割型分割の場合は、

被合併法人の株主における

取得価額の話であり、

 

 

分社型分割と現物出資の場合は、

資産を出資した承継法人における

株式の取得価額の話になります。

 

したがって、株式から株式へ

簿価讓渡の場合には

評価の変更はないので、

適格分割型分割のみを規定し、

 

また、時価による資産の譲渡の場合には、

第2号の規定を適用できるので、

分社型分割や現物出資の場合は、

適格の場合のみを規定をすれば

よいからであると考えます。

 

 

なお、株式交換と株式移転については、

法人税法上の定義がなく、

それぞれ会社法第2条第31号及び第32号で

規定しているのを使用しています。

 

 

 

なお、株式交換等

株式交換及び一定の行為により

その発行済株式の全部を

親会社等に取得させることとであるとして、

法人税法第2条第12号の16で定義しています。

 

 

 

なお、定義についてですが、

法人税法第2条において、

合併の定義はありませんが、

 

第12号「合併法人」

第12条の8では、「適格合併」

それぞれ規定しています。

 

 

じつは、会社法でも「合併」の定義はなく、

第2条第27号で「吸収合併」、

第28号で「新設合併」を定義しており、

 

会社法第2章合併

第1節通則第748条(合併契約の締結)で、

会社は、他の会社と合併することができる。

 

 

この場合においては、合併をする会社は、

合併契約を締結しなければならない旨

規定しており、

「合併」そのものの定義はありません。

 

なお、『法律学小辞典』によると、

合併とは、つ以上の会社が契約によって

1つの会社に合同することと記載しています。

 

分割についても同様に、会社法には定義がなく、

 

会社法第2条第29号及び第30号でそれぞれ、

「吸収分割」及び「新設分割」

規定しています。

 

法人税法では、

第2条第12号の9「分割型分割」及び

第12号の10「分社型分割」

第12号の12「適格分割」

規定していますが、

「分割」そのものの定義はありません。

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