第127号 グループ法人税制Part 3
法人税法第61条の13 (完全支配関係がある法人の間の取引の損益)第3項は、内国法人が譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき第1項の規定の適用を受けた場合において、
当該内国法人が当該譲渡損益調整資産に係る譲受法人との間に完全支配関係を有しないこととなったときは、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、
当該内国法人の当該前日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する旨規定しています。
なお、この場合、当該内国法人及び当該譲受法人の適格合併による解散を除きます。
そして、当該内国法人及び合併法人は完全支配関係があるものに限ります。
この場合、内国法人は、譲渡法人であることに留意します。
つまり、第1条件が完全支配関係で、第2条件が適格性です。
結局、第1項で、譲渡法人の譲渡利益を損金の額に、譲渡損失を益金の額に算入しているので、完全支配関係がなくなった場合には、完全支配関係にあるうちにその事業年度に反対仕訳をして利益金額や損失金額を顕在化するってことですね。
なお、当該相当する金額は、その有しないこととなった日の前日の属する事業年度前の各事業年度の所得金額の計算上益金の額又は損金の額に算入された金額を除きます。
つまり、過大に減価償却費等の損金に算入した後の帳簿価額ってことですね。
なお、第3項の規定は、当該譲渡損益調整資産の適格合併に該当しない合併(非適格合併)による合併法人への移転により同項の規定の適用を受けた場合を除きます。
つまり、非適格合併による資産の移転は時価での譲渡に当たるので、第1項及び第2項の規定がそのまま適用されるってことですね。
また、完全支配関係は、合併法人が当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人であるものに限り、当該内国法人又は当該譲受法人の適格合併による解散を基因として完全支配関係を有しないこととなった場合は除くとしています。
つまり、完全支配関係にある法人間における適格合併によって完全支配関係でなくなる場合は除きますってこと。これは第5項で説明するからですね。
法人税法第61条の13第5項は、内国法人が譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき、第1項の規定を受けた場合において、当該内国法人が適格合併により解散したときは、当該適格合併に係る合併法人の当該適格合併の日の属する事業年度以後の各事業年度においては、
当該合併法人を当該譲渡利益額又は譲渡損失額につき、第1項の規定の適用を受けた法人とみなして、この条の規定を適用する旨規定しています。
つまり、譲渡法人である被合併法人が解散してしまっているので、合併法人が譲渡法人として、調整勘定を処理することとなります。
なお、合併法人は譲受法人としての資格も持っていることになります。
この場合、内国法人は被合併法人で適格合併により解散した法人で、つまり、譲渡法人であることに留意します。
法人税法施行令第122条の14第12項は、法第61条の13第5項の規定(適格合併により解散)により第5項の適格合併に係る合併法人を譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき法第61条の13第1項の規定の適用を受けた法人とみなして法第61条の13の規定を適用する場合には、
法第61条の13第3項に規定する(完全支配関係を有しないこととなったこと)益金の額又は損金の額に算入された金額には、
当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額で当該適格合併に係る被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額又は損金の額に入された金額を含むものとする旨規定されています。
つまり、適格合併なので取得価額を引き継ぐため、すでに損金の額に算入された減価償却費等を算入しないこととした金額になります。
法人税法施行令第122条の14第13項は、内国法人が譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき法第61条の13第1項の規定の適用を受けた場合には、
当該内国法人の負債又は資産には、当該譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する調整勘定を含むものとし、
内国法人を被合併法人とする適格合併につき法第61条の13第5項の規定があるときは、
当該適格合併により合併法人に引き継がれる負債又は資産には、同項の規定により当該合併法人が譲渡利益額又は譲渡損失額につき同条第1項の規定の適用を受けたものとみなされる場合の当該譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する調整勘定を含むものとする旨規定しています。
なお、これらの規定は第5項に規定する調整済額を除いています。
法人税法施行令第122条の14第14項は、適格分割型分割に該当する分割型分割に係る分割承継法人により分割対価資産が交付された場合には、当該分割承継法人から当該分割型分割に係る分割法人の株主等に対して当該分割対価資産が譲渡されたものとみなして、法第61条の13第1項の規定を適用する旨規定しています。
つまり、当該分割対価資産が分割承継法人から分割法人に移転され、その後に、株主等に移転することとなるのであるが、直接株主等へ移転したとみなすとするもので、株主が個人の場合は適用されないこととなります。
なお、ここでは、適格性を条件としていますが、完全支配関係性については条件としていません。
法人税法施行令第122条の14第15項は、内国法人が譲渡損益調整資産該当資産を内国法人と完全支配関係にある他の内国法人に譲渡した場合には、その譲渡の後遅滞なく、当該他の内国法人に対し、その譲渡した資産が譲渡損益調整資産該当資産である旨を通知しなければならない旨規定しています。
法人税法施行令第122条の14第16項は、第15項の通知を受けた同項の他の内国法人は、当該資産の計算方法等を、当該通知を受けた後遅滞なく、当該通知をした内国法人に通知しなければならない旨規定しています。
法人税法施行令第122条の14第17項は、譲受法人は、譲渡損益調整資産につき、譲渡等の事由が生じたときは、その旨及びその生じた日を、当該事由が生じた事業年度終了後遅滞なく、その譲渡損益調整資産の譲渡をした内国法人に通知しなければならない旨規定しています。
法人税法第61条の13第6項は、内国法人が譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき、第1項の規定の適用を受けた場合において、当該譲渡損益調整資産に係る譲受法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(合併法人等)に当該譲渡損益調整資産を移転したときは、
その移転した日以後に終了する当該内国法人の各事業年度においては、当該合併法人等を当該譲渡損益調整資産に係る譲受法人とみなして、この条の規定を適用する旨規定しています。
つまり、適格合併等の場合には、そもそも帳簿価額で引き継いでいます。
そのため、合併法人等を譲受法人とみなすってことです。
法人税法第61条の13第7項は、適格合併に該当しない合併に係る被合併法人が当該合併による譲渡損益調整資産の移転につき第1項の規定の適用を受けた場合には、
当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額に相当する金額は、当該合併に係る合併法人の当該譲渡損益調整資産の取得価額に算入しないものとし、
当該譲渡損益調整資産に係る譲渡損失額に相当する金額は当該合併法人の当該譲渡損益調整資産の取得価額に算入するものとする旨規定しています。
つまり、非適格の合併の場合には、本来は時価で譲渡したこととなるのですが、グループ内取引の場合は、第1項が適用され、被合併法人から合併法人へは帳簿価額で移転し、合併法人が外部に譲渡した際の利益又は損失に計上するということです。
第1項の適用には、合併前に譲渡したことによる調整勘定と合併に伴う譲渡により発生した調整勘定があることになります。
つまり、グループ内に法人がA社とB社とC社の3社があり、A社がB社に対して資産を譲渡して譲渡損益調整資産勘定を有している場合に
当該A社を被合併法人とするC社との適格合併があった場合には、なおA社が有している資産を当該適格合併により移転する場合のA社が有している当該譲渡損益調整資産勘定をC社に移転する場合があることになります。
地下鉄東梅田駅から徒歩3分という便利なロケーションで税務のご相談を承っております
概要
会社名 | TK税務&法務事務所 【一般社団法人租税高度困難事案研究所】 |
---|---|
住所 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3-600号 大阪駅前第3ビル6階6-2号 |
電話番号 | 06-6131-5335 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 土曜日 日曜日 祝日 |
最寄り | 東梅田駅より徒歩3分 |
アクセス
お問い合わせ
関連記事
-
2024.03.24事務所通信第416号 組織再編税制について
-
2023.06.02事務所通信第389号 証券アナリスト2次試験シリーズ コーポレート・ファイナンス17
-
2023.05.25事務所通信第382号 証券アナリスト2次試験シリーズ コーポレート・ファイナンス10
-
2023.05.02事務所通信第377号 証券アナリスト2次試験シリーズ コーポレート・ファイナンス5
-
2023.04.29事務所通信第357号 証券アナリスト2次試験シリーズ 財務諸表によるリスク分析5
-
2023.04.26事務所通信第376号 証券アナリスト2次試験シリーズ コーポレート・ファイナンス4
-
2023.04.16事務所通信第360号 証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標1
-
2023.04.15事務所通信第353号 証券アナリスト2次試験シリーズ 財務諸表によるリスク分析1
-
2023.04.13事務所通信第327号 証券アナリスト2次試験シリーズ 企業結合10
-
2023.04.12事務所通信第326号 証券アナリスト2次試験シリーズ 企業結合9
-
2023.04.11事務所通信第325号 証券アナリスト2次試験シリーズ 企業結合8
-
2023.04.09事務所通信第324号 証券アナリスト2次試験シリーズ 企業結合7
-
2023.04.08事務所通信第323号 証券アナリスト2次試験シリーズ 企業結合6
-
2023.04.06事務所通信第321号 証券アナリスト2次試験シリーズ 企業結合4
-
2023.03.22事務所通信第306号 証券アナリスト2次試験シリーズ 経済理論1