第140号 繰越欠損金Part1
法人税法第57条(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)第1項は、内国法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額がある場合には、
当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定しています。
ただし、当該欠損金額に相当する金額が当該欠損金額につき本文の規定を適用せず、かつ、現物分配による資産の譲渡(第62条の5第5項)の規定を適用しないものとして計算した場合における当該各事業年度の所得の金額(結局、通常の所得金額になる。)の100分の50に相当する金額を超える場合は、その超える部分の金額については、この限りでないとしています。
法人税法第62条の5 (現物分配による資産の譲渡)第5項は、内国法人の残余財産の確定の日の属する事業年度に係る地方税法の規定による事業税の額は、当該内国法人の当該事業年度の所得の計算上、損金の額に算入する旨規定しています。
100分の50に相当する金額には、当該欠損金額の生じた事業年度前の事業年度において生じた欠損金額に相当する金額で本文又は第58条第1項(青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越し)の規定により当該各事業年度の所得の計算上損金の額に算入されるものがある場合には、当該損金の額に算入される金額を控除した金額としています。
法人税法第57条第11項は、次の各号に掲げる内国法人の当該各号に定める各事業年度の所得に係る第1項ただし書の規定の適用については、第1項ただし書中「所得の金額の100分の50に相当する金額」とあるのは、「所得の金額」(つまり100%ってこと)とする旨規定しています。
1 第1項の各事業年度終了の時において次に掲げる中小法人等に該当するする法人の当該各事業年度
イ 普通法人のうち資本金の額が1億円以下であるもの若しくは資本を有しないもの
口 公益法人等又は共同組合等
ハ 人格のない社団等
2 更生手続等の開始の決定があった場合の当該各事業年度
3 内国法人の設立の日として定める法人税法施行令第112条第18項で定める日から同日以後7年を経過した日までの期間内の日の属する事業年度である場合における当該内国法人
法人税法施行令第112条第18項は、設立の日として政令で定める日は、内国法人の設立日とする旨規定しています。
つまり、新設法人の場合は、設立の日から7年を経過するまでの事業年度は、全額が繰越欠損金の控除対象となるってことです。
イ 合併法人の場合は、当該合併法人に係る被合併法人に係る被合併法人の設立の日のうち最も早い日
口 分割承継法人の場合は、当該分割承継法人とその分割に係る分割法人の設立の日のうち最も早い日
ハ 被現物出資法人の場合は、当該被現物出資法人とその現物出資に係る現物出資法人の設立の日
ニ その内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人の残余財産が確定した場合における当該内国法人の場合は、当該内国法人と当該他の内国法人の設立の日のうち最も早い日
ホ 特別の法律に基づく承継を受けた法人その他財務省令で定める法人の場合は、当該承継に係る被承継法人の設立の日その他財務省令で定める日であるが、現在、該当する法人はない
法人税法第57条第10項は、第1項の規定は、第1項の内国法人が欠損金額の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を財務省令定めるところにより保存している場合に限り、適用する旨規定しています。
法人税法施行規則第26条の3(青色申告書を提出した事業年度の欠損金に係る帳簿書類の保存)第1項は、法人税法第57条第1項の規定の適用を受けようとする内国法人は、第1項の欠損金額が生じた事業年度の省令第59条第1項各号(帳簿書類の整理保存)に掲げる帳簿書類を整理し、省令第59条第2項に規定する起算日から10年間、これを納税地に保存しなければならない旨規定しています。
法人税法施行規則第59条第1項は、青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から7年間、これを納税地に保存しなければなら ない旨規定しています。
1 省令第54条に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
2 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
3 取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
結局は、会計上は、原則として欠損金を翌期に繰り越すのであるが、法人税法上は、法人税法第57条で、青色白色の区別なく、繰り越されてきた欠損金を損金の額に算入すると規定しているものの、
欠損金が生じた事業年度の翌期にその欠損金を繰る越すことができるのは、青色申告法人に限定しているのである。
これは、法人税法が、各事業年度ごとに税額を計算する上で、その事業年度の所得金額を算定しており、前期以前の欠損金を当該事業年度の所得の計算上、損金の額に算入するのは、特例として認めるという立場をとっているのである。
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