第144号 法人税の重加算税の取扱い(個別通達)について2
法人税の重加算税の取扱い(個別通達)について2
3
(帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない場合)
次に掲げる場合で、
当該行為が相手方との通謀又は証憑書類等の破棄、
隠匿若しくは改ざんによるもの等でないときは、
帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない。
1
売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、
その売上げ等の収入が翌事業年度の収益に
計上されていることが確認されたとき
2
原価を含む経費の繰上計上をしている場合において、
その経費がその翌事業年度に支出されたことが
確認されたとき
3
棚卸資産の評価換えにより過少評価をしている場合
4
確定した決算の基礎となった帳簿に、
交際費等又は寄附金のように
損金算入について制限がある費用を
単に他の費用科目に計上している場合
前回の1(隠蔽又は仮装に該当する場合)に
該当する場合で、今回の3
(帳簿書類の隠匿、 虚偽記載等に該当しない場合)
にも該当する場合はどうなるのかという問題があるが、
結論からいうと、
1に該当すれば3に該当しても重加算税賦課となります。
まず、税法が単年度主義であり、
本来的に各事業年度ごとに課税を考えるものであり、
たとえ翌事業年度に売上げ等が計上されていても、
そこに仮装・隠蔽があれば過少申告加算税に代えて
重加算税を賦課することとなります。
(要旨:平成12年7月3日付「法人税の重加算税賦課に係る留意点」問3)
そうすると、不正行為つまりほ脱行為については、
結果無価値的に、ほ脱の意思をもって
ほ脱した場合に犯罪となるのもので、
国税通則法の仮装・隠蔽は、
税額が過少になっている事実があるという前提で、
行為無価値的にその仮装・隠蔽をしたという
事実に課税するものであることから、
過年度の売上繰延や棚卸除外など
課税そのものが生じないとする場合や、
仮装・隠蔽の程度つまり、
悪質性というか違法性が低い場合には、
課税しないこととするのが正義なのでしょう。
したがって、上記3のような場合は、
上記の事実だけでは、売上げ等に計上しないことが
たとえ過失によるものでないとしても、
仮装・隠蔽する意思まではなかったものとする
ということであろう。
なお、仮装・隠蔽の金額の過多や方法によっては、
仮装・隠蔽の行為があったとみるか否かの判断に
影響するものと考える。
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