TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

147号 空想的取引研究序説 第3話(なにわ金融道)

空想的取引研究序説 第3話(なにわ金融道)

 

 

今回は、なにわ金融道です。

空リース・多重リースのケースです。

 

Aさんは金融機関からの借入金が増加し

返済に困ったので、町金融から融資を受けましたが、

これにも返済を滞るようになりました。

 

そこで、町金融はAさんにリース会社をだまして

お金を借りて、それで返済するように指示したので、

Aさんは言われるままに、リース会社に行きました。

 

Aさんは、Bリース会社へ行って、

実際に購入予定の機械について、リースをすると同時に

Cリース会社にも行って、同一の機械で、

2社とリース契約を締結しました。

 

そして、AさんはB社とC社をだまして

借り入れた金銭を町金融に返済しました。

 

Aさんはその後、順調に売上げが増加し、

Bリース会社とCリース会社とも滞ることなく

返済しました。

 

そこで、D税務署から調査が入り、

E調査官から消費税の税額控除ができない

との指摘を受けました。

 

そこでAさんは、調査官にたずねました。

消費税の税額控除ができなのは、

B社とのリース契約なのかC社とのリース契約なのか、

どちらのリース契約でしょうか。

 

どちらもきちんと契約書を作成し、

リース料として完納し、リース会社からいただいた

正規の証憑を保存しています。

 

また、どちらのリース会社も課税売上げに計上

しているのではないですか。

 

国としては損をしていないし、

また既にもう完納しているのだから

いいじゃないですか。

 

そういわれたので、調査官は機械の裏側を見ると

なんとB社とC社のリース資産である

シールが添付されていました。

 

理由書を書くに当たり、調査官は困ってしまいました。

 

そこで、調査官はまず、B社へ反面調査に

行ったところ、B社は当該資産を

F社から延払条件で購入したものだったのです。

 

消費税法第16条(リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)第1項は、

事業者(F社)がリース譲渡を行った場合において、

当該事業者がこれらの規定を受けるため

当該リース譲渡に係る対価の額につき

 

これらの規定に規定する延払基準の方法により

経理することとしているときは、

 

当該リース譲渡のうち

当該リース譲渡に係る賦払金の額で

当該リース譲渡をした日の属する課税期間において

その支払の期日が到来しないもの

に係る部分については、

 

当該事業者が当該課税期間において

資産の譲渡等を行わなかったものとみなして、

 

当該部分に係る対価の額を

当該課税期間における

当該リース譲渡に係る対価の額から

控除することができる旨規定しています。

 

つまり、F社は当該機械メーカーから

リース資産として購入し、

全額を仕入税額控除の対象とするとともに、

当該資産をB社に延払基準で譲渡することにより、

受取代金のみを課税売上げに計上していました。

 

さらに、B社はF社から購入した当該機械代金を

取得価額として減価償却するとともに

全額を仕入税額控除の対象にしていました。

 

なお、リース料は受け取った分のみを収益に計上する

とともに課税売上げに計上していました。

 

つまり、機械は1台であるにもかかわらず、

B社とF社がそれぞれ全額を

課税仕入れの対象としていたのです。

 

では、このとき、調査官は、

AさんとB社とのリース契約を

実物がないリース契約として

金銭消費貸借契約であるとして、

 

Aさんの課税仕入れに否認、

B社の課税売上げの認容と仕入税額控除否認、

F社とB社との譲渡契約をも否認して、

F社の課税仕入れの否認までできるのでしょうか。

いかがか。

 

民法第561条(他人の権利売買における売主の義務)は、他人の権利を売買の目的としたときは、

売主は、その権利を取得して

買主に移転する義務を負う旨規定しています。

 

つまり、民法は他人の所有物を同意なく第三者に

譲渡する契約は有効であることを明らかにしています。

 

リース会社B社とリース会社F社との間で、

調査官に当該リース契約を否認される

ことはあるのでしょうか。

 

B社に、否認される落ち度があったのでしょうか。

 

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