第154号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part10 (株式交換3)
法人税法施行令第8条第1項第10号は、株式交換により移転を受けた株式交換完全子法人の株式の取得価額から当該株式交換による増加資本金額等を減算した金額を資本金等の額とします。
法人税法第2条第12号の17において、適格株式交換等とは、次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないものをいう旨規定しています。
上記法人税法第2条第12号の17で規定する「次のいずれか」とは、
イ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係(前回説明済)
口 その株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の法人税法施行令第4条の3第19号で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(支配関係19号関係+その他要件)
1 当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること(従業員の引継ぎ要件)
2 当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人において引き続き行われることが見込まれていること
つまり、完全ではない支配関係の場合は、事業の継続性が求められることとなる。
なお、当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含みます。(事業の引継ぎがあり+2次の適格合併による組織合一要件)
ハ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換(次回説明)
法人税法施行令第4条の3第19号で定める関係は、次に掲げるいずれかの関係とする旨規定しています。
つまり、支配関係+事業の継続性に準じたものです。
1 株式交換等前に当該株式交換等に係る当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係があり、かつ、当該株式交換完全子法人と当該株式交換等完全親法人との間に当該いずれか一方の法人による支配関係が継続することが見込まれている場合における当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間の関係(親子会社の場合)
なお、支配関係は、当該株式交換等が無対価株式交換である場合にあっては、株主均等割合保有関係がある場合における当該支配関係に限ります。
例えば、株式交換をする場合の子法人は、親法人の支配と他の株主がいる関係であったところ、親法人と他の株主が株式交換を行うことにより、親法人が完全親法人となり、子法人が完全子法人となった場合である。
さらに、支配関係の継続については、当該株式交換等後に次に掲げる適格合併を行うことが見込まれている場合には、それぞれ、次に定める要件に該当することが必要となります。
つまり、株式交換後の適格合併等の二次再編がある場合は、完全支配関係が必要とされます。
イ 当該株式交換等完全親法人を被合併法人とする適格合併(特定適格合併)
当該株式交換等の時から当該特定適格合併の直前の時まで当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間に当該株式交換等完全親法人による完全支配関係が継続し、当該特定適格合併後に当該株式交換等完全子法人と当該特定適格合併に係る合併法人との間に当該合併法人による完全支配関係が継続すること
つまり、株式交換した後の親法人が第三者の適格合併の被合併法人となって消滅する場合は、合併法人は株式交換時の子法人を完全支配関係とする必要があります。
口 当該株式交換等完全子法人を被合併法人とする適格合併
当該株式交換等の時から当該適格合併の直前の時まで当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間に当該株式交換等完全親法人による完全支配関係が継続すること
つまり、二次適格合併まで完全支配関係が必要
また、戻って、支配関係+事業の継続性に準じたもの
法人税法施行令第4条の3第19号で定める関係は、
2 株式交換前に当該株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間に同一の者による支配関係があり、かつ、次に掲げる要件の全てに該当することが見込まれている場合における当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間の関係
例えば、株式交換する前には、同一の者のから50%以上の株式を保有されている兄弟会社の関係で、同一の者と一方の法人が株式交換を行うことにより、同一の者が支配関係となる親法人となり、一方の法人が子法人となり、もう一方の法人が孫法人となる関係である。
なお、株式交換直後はそれぞれ、完全支配関係になるものの、その後は支配関係が継続している必要がある。
イ 当該株式交換等後に当該同一の者と当該株式交換等完全親法人との間に当該同一の者による支配関係が継続すること
なお、当該株式交換等後に当該株式交換等完全親法人又は株式交換等完全子法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該株式交換等の時から当該適格合併の直前の時まで当該支配関係が継続することが必要です。
口 当該株式交換等後に当該同一の者と当該株式交換等完全子法人との間に当該同一の者による支配関係が継続すること
なお、当該株式交換等後にイに規定する適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該株式交換等の時から当該適格合併の直前の時まで当該支配関係が継続することが必要です。
ハ 当該株式交換等後に次に掲げる適格合併を行うことが見込まれている場合には、それぞれ次に定める要件に該当すること
1 当該同一の者を被合併法人とする適格合併 つまり、頂点の法人が被合併法人とする場合
当該株式交換等後の時から当該適格合併の直前の時まで当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間に当該株式交換等完全親法人による完全支配関係が継続すること
2 当該株式交換等完全親法人を被合併法人とする適格合併(特定適格合併) つまり、子会社(孫付き)を適格合併の被合併法人としてグループ外に出す場合
当該株式交換等の時から当該特定適格合併の直前の時まで当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間に当該株式交換等完全親法人による完全支配関係が継続し、
当該特定適格合併後に当該特定適格合併に係る合併法人と当該株式交換等完全子法人との間に当該合併法人による完全支配関係が継続すること
3 当該株式交換等完全子法人を被合併法人とする適格合併 つまり、孫法人を適格合併の被合併法人としてグループ外に出す場合
当該株式交換等の時から当該適格合併の直前まで当該株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間に当該株交換等完全親法人による完全支配関係が継続すること
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