第188号 金融論(信用創造機能)
金融論(信用創造機能)
金融機関(銀行)と
町金融(サラ金)との違い
金融機関とは銀行のことです。
だったらそういえばいいのにね。
証券会社や他の町金は金融機関ではありません。
それは信用創造機能がないからです。
100万円の出資や預金を受けると、
法定準備率10%または手持資金10%として、
90万円を融資することができます。
預け入れ金利1%で、貸付金利7%とすると、
100万円X1%で1万円の支払利息で、
90万円X 7%で6.3万円の受取利息となり、
5.3万円の利益となります。
ここまでは、金融機関も町金も同じです。
しかしながら、町金は現金で融資しますが、
金融機関は、
融資先に口座を作成してもらうことにより、
この口座に記帳することとなります。
つまり、仕訳をすると、
100万円の定期預金を受け取った場合、
借方現金100万円の貸方預金100万円となり、
融資の際の仕訳は、
借方90万円貸付金の貸方預金90万円となります。
つまり、現金の流出がありません。
そうすると、法定準備率が10%なので、
当初の受け取った現金100万円が
金融機関の金庫の奥深くに入り、
これが法定準備となるようにすると
900万円まで貸し付けることができることとなります。
仕訳は、借方900万円貸付金、
貸方900万円預金となります。
しかし、融資先は
このお金を使うために借り入れているので、
引き出すこととなります。
なので、金融機関は
この支払先を限定させることに努めます。
つまり、負債の返済に使用するのであれ、
仕入代金の支払いであれ、
当該金融機関の取引先であれば、
その取引先の口座へ振替仕訳をするだけで、
現金の流出がありません。これを繰り返します。
そうすると、100万円プラス900万円の1%が
支払利息で10万円です。
受取利息は、900万円の7%で63万円であり、
利益は53万円となります。
したがって、町金では、100万円の出資では、
5. 3万円が利益であるのに対して、
金融機関は53万円の利益となります。
これが信用創造です。
単純に、銀行が1つしかなく、
全ての取引先の口座がその銀行にしかない場合、
最大限で上記のようになりますので、
銀行自体が大きくなると、これに近づきます。
ATMを想像してください。
ATMには大金が入っているので、
強盗されるのではないかと思ってしまいますが、
ATMにほとんど現金は入っていません。
なぜなら、入金と出金が同額なのです。
瞬間出金が超過する場合あるので、
差額だけが入っています。
都内の銀行では、
1日に1台で数億円のお金が入出金しますが、
ATMには数百万円しか入っていません。
そして、手数料や差額利ザヤを稼ぎます。
それも文句をいわずに24時間勤務です。
現在は、低金利で、
この利ザヤが縮小してしまっているから、
大手金融機関でも経営が苦しくなっています。
さらに、インターネットバンクで、支店がなく、
固定費がかからない金融機関の出現や
メーカーなどが積極的な現物投資をしなくなり、
融資先がなくなっています。
そのため、金融機関は運用先として国債を購人し、
信用創造機能が効かなくなり、
単なる利ザヤ稼ぎとなっていることが
経営困難な原因となっています。
ちなみに、通貨とは、法定通貨で、日本の場合、
日本銀行券及び財務省発行の補助貨幣
つまり硬貨のことです。つまり、現金のことです。
そして、貨幣とは、この通貨に
金融機関の預金残高を加えたものです。
M1 = 通貨 + 当座預金
M2 = M1 + 普通預金、定期預金
M3 = M2 + 国債
通常、M2までを貨幣と呼んでいます。
そして、この市場における貨幣供給量
(マネーサプライ)の残高をコントロールするために、
日銀の貸出金利や法定準備率を操作したり、
市場で国債を買ったり売ったりしています。
これを金融政策と呼んでいます。
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概要
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---|---|
住所 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3-600号 大阪駅前第3ビル6階6-2号 |
電話番号 | 06-6131-5335 |
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