TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

第207号 租税回避行為シリーズ10 消費税の役務提供の内外判定

租税回避行為シリーズ10 

消費税の役務提供の内外判定

 

 

消費税の役務提供の内外判定

請求人は、アメリカを中心として

カーレースに参戦していた。

そのために、A社との間にスポンサー契約を

締結すると同時に、

B社とレーシングオペレーションの契約を締結した。

 

A社との契約の内容は、

①請求人は、各レースに参戦すること、

②B社と契約してチームを運営すること、

③レースに参加するドライバーの管理とマネジメント、

④ドライバ一等の肖像権を

A社が無償で使用できることの許諾であり、

これが3年間にわたって継続することである。

 

請求人は、これらの契約による金銭の交付は、

国外取引にあたり、

消費税は不課税であるとしたところ、

原処分庁は、課税対象に当たるとして

更正処分を行った。

 

 

第1審判決

(東京地裁平成22年10月13日判決)

消費税法第4条第1項は、

役務の提供地の判定について、

役務提供は当該役務の提供が行われた場所が

国内にあるかどうかにより行う。

 

しかしながら、当該役務の提供が国内及び国内以外

の地域にわたって行われるものである場合は、

政令で定めるものとする。

 

そして、役務の提供が行われた場所が

明らかでないものについては、

役務の提供を行う者の

 

役務の提供に係る事務所等の所在地

国内にあるかどうかにより判断するものとしている。

 

また、役務の内容及び対価が

合理的に区分される場合は、

国内分をもって行うこととするほか、

 

合理的に区分されない場合は、

事務所等の所在地とする趣旨である。

 

したがって、同一の者に対して行われる

役務の提供で役務の提供場所が

国内と国内以外の地域にわたって行われるもののうち、

 

その対価の額が国内の役務に対応するものと

国内以外の地域の役務に対応するものとに

 

合理的に区分されていないもの

をいうと解すべきである。

 

スポンサー契約における役務提供は、

その全体が契約金を対価としているので、

合理的に区分されていないから、

 

国内及び国内以外の地域にわたって行われている

役務の提供に当たる。

 

 

事務所等とは、役務の提供に直接関連する事業活動

を行う施設をいうものと解され、

その所在地をもって、

 

役務の提供場所に代わる課税対象となるか否かの

管轄の基準としている趣旨からすれば、

 

当該役務の提供の管理・支配を行うことを

前提とした事務所等がこれに当たると

解されるべきである。

 

請求人は、国内に本店事務所及び工場を

有している一方、アメリカには、

オペレーション契約に基づいて、

B社が専らこれを行っていることから、

 

請求人の役務提供に係る事務所等に当たるのは、

本店事務所であると認められ、

所在地は日本国内であると認められる。

 

 

検討

請求人は、レースがある場合には

B社の工場に常駐しているので、

事務所の所在地はアメリカであると主張したものの、

 

判決では、当該役務提供の管理・支配を行うこと

前提とした事務所等は、

レース参戦の実質がB社に委託されているから、

 

B社の工場内の事務所で行っていた業務は、

スポンサー契約に基づく役務に

実質的にかかわるものとは言えないとして、

 

B社の工場が本件における請求人の役務提供を

管理・支配する事務所等に当たるとはいえない

判示している。

お気軽にお電話でご連絡ください
06-6131-5335 06-6131-5335
受付時間:10:00~19:00
Access

地下鉄東梅田駅から徒歩3分という便利なロケーションで税務のご相談を承っております

概要

会社名 TK税務&法務事務所
【一般社団法人租税高度困難事案研究所】
住所 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3-600号
大阪駅前第3ビル6階6-2号
電話番号 06-6131-5335
営業時間 9:00~17:00
定休日 土曜日 日曜日 祝日
最寄り 東梅田駅より徒歩3分

アクセス

主に法人の経営を税務と財務の視点から力強くアシストする幅広いサービスをご提供しております。
地下鉄東梅田駅から徒歩で3分という便利な立地に事務所を構えておりますので、ご相談はお電話やお問い合わせフォームから気軽にお申し込みください。
Contact

お問い合わせ

RELATED

関連記事