TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

210号 社会保障判例シリーズ(年金1)

社会保障判例シリーズ(年金1)

 

 

事業主による標準報酬の過少申告と不法行為責任

(大阪高裁平成23年4月14日判決)

 

 

事実の概要

XはY社に雇用されており、

健康保険及び厚生年金の加入していた。

 

ところが、Y社がXの報酬月額を実際よりも

少額で申告したため、

 

Xの標準報酬月額が少額となったので、

老齢厚生年金等が少額となったことから、

XはY社に対して損害賠償を請求した。

 

第1審及び第2審は、

Y社はXについて

真実の報酬額を申告すべき義務を負っているため、

 

低い額を報酬月として届けたことについて、

不法行為が成立するとした。

 

 

問題点

事業主が、被用者から社会保険料を源泉徴収しながら、

これを納付しなかった場合には、

被用者の標準報酬は改定されることとなるが、

 

過少申告により決定された標準報酬に基づき、

事業主が保険料を源泉徴収して

これを納付している場合には、同法上の救済はない。

 

そうすると、被用者は、

検査権限を有している国に対しても

損害賠償を請求できるかが考えられる。

 

というのは、報酬額の届出に関する事業主の

被用者に対する不法行為法上又は

労働契約上の義務の存在は明らかでないのである。

 

 

第2審で、被用者の被る不利益を指摘して、

届出に関する信義則上の義務があるとした。

 

次に、損害賠償の時期についてですが、

年金が減少するという財産的損害については、

実際の受給権が発生後に生じるとしています。

 

受給権が発生する前では年金額が未確定であり、

受給権の成否も未確定であるからです。

 

さらに、源泉される保険料の金額が

少なくなっているのに、

被用者自身が不服申立てなどをしなかったことが

被害者の過失になるかも問題となっています。 

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