TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

213号 社会保障判例シリーズ(年金4)

社会保障判例シリーズ(年金4)

 

 

近親婚にあたる内縁関係と遺族厚生年金

 

事実

Aは兄弟の末っ子で

Xは長兄の娘で2人は叔父と姪の関係にある。

 

AはⅭと結婚したが、CはBを生んで後、

病気になり実家に帰った。

 

当初は、Bの面倒をAの父母が見ていたが、

多忙のため、Xが見るようになった。

 

XとAは年も近く、親族中で、

XをAの妻とすることを望んでおり、

2人は夫婦としての共同生活を始めた。

 

2人が結婚したことについて、

町長が証明する文書ももらっていた。

2人には子供もでき、Aは認知もしていた。

 

Aの死亡後、Xが遺族年金の支給裁定を

請求したところ社会保険庁Yは、

近親婚を理由に配偶者に該当しないとして、

不支給処分をした。これに不服としてXは提訴した。

 

 

第1審判決

近親婚は民法734条に違反しており、

反倫理的であるから、

「婚姻関係と同様の事情にある者」に当たらない

とするのは相当ではないとして処分を取り消した。

 

 

第2審判決

公的保護の対象にふさわしい内縁関係にある者

であるかどうかという観点から判断し、

Yの不支給処分を適法と判断した。

 

 

最高裁判決

Yの控訴棄却

 

厚生年金保険制度が

政府の管掌する公的年金制度であり、

被保険者及び事業主の意思に関わりなく

 

強制的に徴収される保険料に

国庫負担を加えた財源によって賄われている

ことを考慮すると、

 

民法の定める婚姻法秩序に反するような

内縁関係にある者まで、一般的に

遺族厚生年金の支給を受けることができる配偶者に

当たると解することはできない。

 

 

しかしながら、近親者間における婚姻を

禁止すべき公益的要請よりも

 

遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという

法の目的を優先させるべき

特段の事情があるものというべきである。

 

 

本件についてみると、前記事実関係によれば、

XとAとの内縁関係の反倫理性、反公益性は

婚姻法秩序維持等の観点から

 

問題とする必要がない程度に著しく低いもの

であったと認められる。

 

 

そうすると、事実上の婚姻関係と

同様の事情にある者に該当し、

 

遺族厚生年金の支給を受けることができる

配偶者に当たるというべきである。

 

 

なお、直系血族間や2親等の傍系血族間の内縁関係は

反倫理性が極めて大きいと考えている。

 

また、反公共性とは、優生学的事情であり、

妊娠の可能性が低い場合は

反公共性が低いと考えている。 

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