第214号 社会保障判例シリーズ(年金5)
社会保障判例シリーズ(年金5)
規約型確定給付企業年金の給付を減額する規約変更
(東京高裁平成20年7月9日判決)
事実の概要
企業グループXは、
規約型確定給付企業年金を実施している。
Xは、厚生労働大臣に対して
予定利率を引き下げる必要があるとする
規約変更の申請をしたところ、
厚生労働大臣は、
「実施事業所の経営状況が悪化したことにより、
給付の額を減額することがやむを得ないこと、
及び給付を減額しなければ、
掛金の額が大幅に上昇し、
事業主が掛金を拠出することが困難になると
見込まれるため、
給付の額を減額することがやむを得ないこと」
のいずれも満たさないとして、
Xに対して本件申請に係る規約変更を
承認しない処分をした。
これに対してXは処分取消しを求めて提訴した。
高裁判決
控訴棄却についての理由
1 規則5条2号3号の有効性
手続要件により
特別一時金での清算が可能であるから
理由要件は不要であるとのXに主張に対して、
受給者保護の観点から、
手続要件に加え理由要件まで課すのは、
法の委任及び施行令の再委任の範囲を
超えるものではないとした。
つまり、手続要件のみでは
法の目的である受給権保護は図れないと考えた。
2 給付減額の該当性
給付利率や据置利率が引き下げられても、
受給者の全てが減額になるものではない
とのXの主張に対して、
たとえ少数の受給者等に関するものであっても、
給付の額を減額するのという要件に該当するとした。
3 規則5条2号該当性
給付減額のやむを得なさの程度について、
受給権者等は現役の加入者と異なり、
年金が生活の基盤の一部になっている。
年金を廃止するという事態を避けるための
次善の策という厳しい位置付けがされている。
本件は、経営の状況が悪化したものであったとは
到底認められない。
4 規則5条3号該当性
本件において、予定利率を引き下げることにより
生じる掛金の上昇は、
事業主が掛金を拠出することが
困難になると見込まれるものであったとは
到底認めることはできない。
本件について、一言でまとまると、
現時点で赤字でもないのに
受給者減額などもってのほかという立場である。
つまり、企業が赤字でもないのに、
すでに退職して年金を受給している者の犠牲の下に
減額のような変更を行うことは認めない
ということである。
その分の不利益は、給付減額の要件が
受給権者等よりも緩やかな
現役従業員たる加入者に
かぶってもらいなさいってことです。
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