第215号 租税判例シリーズ(法人税1)
組織再編成に係る行為計算否認-ヤフー事件
(最高裁第一小法廷平成28年2月29日判決)
事実の概要
Xは、平成21年2月にA社からB社の発行済み株式の全部を譲受け、その後3月に、Xを合併法人、B社を被合併法人とする適格合併を行った。
B社は多額の繰越欠損金を有しているものの、法57条3項による特定資本関係が生じてから5年以内に行われたことから、欠損金の額を引き継ぐことができなかった。
そのため、施行令112条7項の共同事業要件を充足させることとした。
しかしながら、事業要件の充足は不可能であることから、特定役員引継要件の充足のため、X社の社長Cが、B社の副社長に就任し、要件を充足したとして、繰越欠損金の引き継いだとして損金算入をした申告書を提出した。
これに対して、副社長就任を含む一連の行為は法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとして、損金不算入とする更正処分を行ったことから、Xはこの処分の取消を求めて提訴した。
最高裁判決
上告棄却
132条の2は、平成13年税制改正において組織再編税制が創設された際に設けられた同税制に係る行為計算否認規定である。
「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の解釈で、「組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用すること」と判示しています。
濫用の有無の判断
1 当該法人の行為又は計算が、通常は想定されていない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実態とは乖離した形式を作り出したりするなど、不自然なものであるかどうか
2 税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮した上で、当該行為又は計算が、組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって、組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当であると判示しています。
特定役員引継要件
「双方の法人の経営の中枢を継続的かつ実質的に担ってきた者が共同して合併後の事業に参画することになり、経営面からみて、合併後も共同で事業が営まれているとみることができる」と評価し、特定役員の継続をみて共同での事業継続とみなしています。
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概要
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