TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

219号 租税判例シリーズ(所得税3)

租税判例シリーズ(所得税3)

 

ストックオプション課税

(最高裁平成17年1月25日第三小法廷判決)

 

 

事実の概要

Xは、米国法人A社が100%株式保有している

日本法人B社の代表取締役を務めていた。

 

Xは、B社在職中に、本件ストックオプション制度

に基づき、A社からストックオプションを付与された。

 

本件ストックオプションは、

①被付与者の生存中は、その者のみがこれを

行使することができ、その権利を譲渡し、

または移転することができない。

 

②本件ストックオプションの権利行使期間は、

付与日から10年間とされ、

被付与者とAグループとの雇用期間が終了した場合、

その終了の日から15日間とされている。

 

③本件ストックオプションの被付与者は、

付与日から6月間はその勤務を継続することとされ、

その付与日から1年を経過する後初めて

その一部につき権利を行使することが可能となり、

その後も一定期間を経た後に順次追加的に

権利を行使することが可能となるものである。

 

Xは、本件ストックオプションを行使し、

各権利行使時点におけるA社の株価と

所定の権利行使価格との差額に相当する

経済的利益を一時所得として申告した。

 

課税庁は、本件経済的利益は

給与所得に当たるとして更正処分をした。

 

 

第1審は、

当該経済的利益は、給与所得に当たらないとした。

 

第2審は、

当該経済的利益は、給与所得に当たるとした。

 

 

最高裁の判断

上告棄却(給与所得に当たる。)

 

判旨

A社は、Xに対し、本件付与契約により

本件ストックオプションを付与し、

その約定に従って権利行使価格で

株式を取得させたことによって、

 

本件権利行使益を得させたものである

ということができるから、

 

本件権利行使益は、A社からXに与えられた

給与にたるものといえる。

 

Xは、A社の統括の下に

B社の代表取締役としての職務を遂行していた

ものということができる。

 

本件権利行使益が、Xが上記のとおり

職務を遂行したことに対する対価としての

性質を有する経済的利益であることは

明らかであるというべきである。

 

 

ストックオプションの課税時期

付与時、権利行使時、株式譲渡時があるが、

付与時については、

第1審では、ストックオプション自体が

将来の期待権であるとして

評価の合理性に問題があるとされ、

 

第2審では、ストックオプションが

売買予約の予約完結権にすぎず、

現実の収入の原因となる権利を

被付与者が取得したものとはいえないとし、

 

最高裁は、本件ストックオプションに係る

譲渡制限を理由に権利行使により

初めて経済的利益が得られるものと解した。

 

 

指揮命令者と支給者が一致しなくても

給与所得となるか

 

第1審では、雇用契約がなく、

勤労が業績との関連が著しく間接的で希薄とした。

 

第2審では、子会社における従業員等の

精勤の継続等は、親会社の利益につながり得る

という関係にあるとした。(最高裁同じ)

 

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