第220号 労働判例シリーズ(就業規則の法的性質1)
労働判例シリーズ
(就業規則の法的性質1)
(最高裁昭和43年12月25日大法廷判決)
事実の概要
XがY社に入社当時、
就業規則に定年に関する規定は無かった。
Y社は、その後、就業規則の規定で
従業員は満50歳を持って定年とする規則に変更した。
これにより、既に50歳を超えていたXに対して、
Y社は、解雇通知を出した。
そこで、Xは、当該条項に対して同意した事実はなく、
Xに対して効果は及ばないと主張して、
雇用関係が存在することの確認を求めて提訴した。
第1審判決は、Xの請求を認容
第2審判決は、使用者は、就業規則の制定、
変更により労働条件を一方的に決定、変更できる
として、Xの請求を棄却
最高裁判決
上告棄却
労働条件は、経営上の要請に基づき、
統一的かつ画一的に決定され、
労働者は、経営主体が定める契約内容
の定型に従って、
附属的に契約を締結せざるを得ない立場に
立たされるのが実情であり、
この労働条件を定型的に定めた就業規則は、
一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、
それが合理的な労働条件を
定めているものであるかぎり、
経営主体と労働者との間の労働条件は、
その就業規則によるという事実たる慣習が
成立しているものとして、
その法的規範性が認められる
に至っているものということができる。
当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び内容を
現実に知っていると否とにかかわらず、
また、これに対して個別的に同意を与えたかどうか
を問わず、当然に、
その適用を受けるものというべきである。
新たに設けられた55歳という定年は、
低きに失するものとはいえず、
その解雇後引き続き嘱託として、
採用する旨の再雇用の意思表示がされているため、
本件就業規則は、決して不合理なもの
ということはできない旨判示された。
就業規則の法的性質
法規説:就業規則それ自体が法規範たる効力を有し、
労働者と使用者を拘束する
契約説:就業規則自体は契約のひな型にすぎず、
使用者と労働者の合意により契約内容となる
ことによって当事者を拘束する
法的性質論と不利益変更論を切り離し、
事業場における統一的規律のための
就業規則の約款的機能を認めつつ、
労働条件の合理性を要求することで
労働者保護に配慮した法的更正と受容された。
就業規則は、合理的な内容であれば
当該条項に対する合意が認定できなくとも
契約内容となるという判例法理が確立した。
なお、不利益変更については、
適用対象労働者ごとに
変更前の就業規則との比較及び
就業規則の変更過程に基づいて判断される
個別的・具体的な合理性をも要求される。
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