第252号 証券アナリスト2次試験シリーズ デリバティブと投資戦略3
証券アナリスト2次試験シリーズ
デリバティブと投資戦略3
(株価指数先物とオプションによるアービトラージ)
(経済法令出版社の過去問より)
日経平均株価指数が、15,000円、
満期まで2月の日経平均先物は、15,100円
満期まで2月のアット・ザ・マネーの
日経平均コール・オプションの価格が525円
プット・オプションの価格が560円、
2月もの金利は、0.6%であるとする。
日経平均先物と現物の間でどのような裁定取引を行って
利益をだすことができるか。
今、日経平均先物が金利から見て高くなっている
ようなので、日経平均先物を売って、
同時に借入を行って現物を買う。
そうすると、2月後の満期日に先物を決済し、
現物は、時価で売却し、同時に借入金を返済する。
具体的に、理論上の日経平均先物価格=
S×(1+r×2/12)
代入すると、
15,000×(1.006×2/12)=15,015円となる。
裁定利益は=先物決済損益+現物利益-キャリング・コスト(利息)
=(15,100-St)+(St-15,000)-15,000×0.006×2/12
=100-15=85円
つまり、2月後の日経平均現物価格であるStが
上昇しても下落しても影響されないことがわかる。
結局、裁定利益は、
現実の日経平均先物価格15,100円と
理論値15.015円との差額である。
日経平均オプションと現物の間はどうか
プット・コール・パリティからみて、
コール・オプションの価格が安い、又は、
プット・オプションの価格が高いように見えるので、
プット・オプションを売り、
コール・オプションを買う。
日経平均現物を売って、
その売却代金を資金運用する。
具体的に、理論上のコール・オプションの価格は、
C=S+P-K/(1+r×2/12)なので、
代入すると
C=15,000+560-15,000/(1+0.006×2/12)
=575円
行使価格と現在の価格が同じであれば、
つまり、アット・ザ・マネーであれば
行使価格の金利相当分だけ
コール・オプションの方が
プット・オプションよりも高くなるはずである。
したがって、プット・オプションが高いともいえる。
P=C-S+K/(1+r×2/12)
代入すると、
P=525円―15,000+15,000/(1+0.006×2/12)
=510円
どちらにしても、プット・オプションを売り、
コール・オプションを買い、
日経平均現物を売って、
その売却代金を資金運用することとなる。
その結果、15,000+560-525-15,000/1.001=50円
ここでも、プット・オプションを売って、
コール・オプションを買っているのは、
現物を買っているのと同じことなので、
同時に現物を売っているから、
2月後の日経平均現物価格であるStが
上昇しても下落しても影響されないことがわかる。
したがって、プット・オプション価格には
運用益が含まれているから、
実際のプット・コール・パリティと
理論値のプット・コール・パリティの差額と
運用益が裁定利益となる。
実際には、日経平均現物を売買することは難しい。
したがって、先物とオプションだけで
裁定取引することが得策だと判断される。
そのためには、今どのような取引を行えばいいか。
結局は、日経平均先物を売却し、
コール・オプションを買い、
プット・オプションを売ることである。
具体的に、この取引に日経平均現物を介したと考える。
(先物売り+現物買い)+(コール買い+現物売り+プット売り)
上記のとおり、コールの買いとプットの売りは、
現物の買いと同じことなので、
先物を売り、現物を買っているのと同じこととなる。
そして、ここで、先物と現物との実際と
理論値との差とプット・コール・パリティの差額が
裁定利益となる。
裁定利益=(P-C)+(F-K)
ここで、代入すると、
=(プット売り560円-コール買い525円)+(先物売り15,100円-現物15,000円)
=135円となる。
=これは上記の85円と50円の合計である。
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---|---|
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電話番号 | 06-6131-5335 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
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