第253号 証券アナリスト2次試験シリーズ デリバティブと投資戦略4
証券アナリスト2次試験シリーズ
デリバティブと投資戦略4
(株式ポートフォリオのダイナミック・ヘッジング)
(経済法令出版社の過去問より)
日経平均株価12,000円、短期金利1.2%
日経平均オプション
行使価格11,500円プット価格115円と
12,500円プット価格616円の
プット・オプションを売った。
このポジションをヘッジするため、
アット・ザ・マネーのプット・オプション
(12,000円プット価格303円)を2枚購入した。
(ロング・ストラドル戦略)
満期日におけるポジションの損失はいくらか。
行使価格11,500円のプットの売りと
12,500円のプットの売りに対して
1枚ずつ12,000のプットの買いを対応させると、
11,500円より安いときは、
プットの売りと買いで相殺され、
12,500円より高いときは、
誰も行使しないこととなる。
そうすると、これらの場合はオプション料の支払いが、
303円×2枚で606円、
受取が115円と616円の731円で
差し引き125円の利益となる。
しかながら、11,500円より高くなると、
売りオプションが1枚のみ行使されることとなる。
当方の行使利益が縮小していき、
12,000円のとき当方の行使利益がなくなり、
行使されると最大500円の損失となり、
オプション料との差し引き375円の損失となる。
そして、12,000円より高くなると、
相手の行使利益も縮小していき、
12,500円になると誰も行使しなくなり、
オプション料の差額が利益となる。
次に、上記の方法にかえて、
日経平均先物を使ったポジションを
デルタ・ニュートラルにする。
これは、先物でヘッジしたポートフォリオの価値
Vh=-P1-P2+x×Fとなる。
原資産である日経平均株価の変化による
ヘッジ・ポートフォリオの変化は、
ΔVh/ΔS=-(-ΔP11,500/ΔS)+(-ΔP12,500/ΔS)+(X×ΔF/ΔS)
行使価格11,500円のコールのデルタ値が0.7574で、
行使価格12,500円のコールのデルタ値が0.2790
とすると、代入して、
ΔVh/ΔS=(1-0.7574)+ (1-0.2790)+X ΔF/ΔS=1
ΔVh/ΔSはデルタ・ニュートラルで0となる。
したがって、x=-0.96
日経平均先物を0.96枚売却するこ^ととなる。
なお、プット・コール・パリティから
ΔC/ΔS=1-ΔP/ΔS
次に、デルタ・ヘッジを行った直後に、
日経平均が11,500円まで下落した。
原資産価格の下落は、
行使価格の上昇と同じ影響であるので、
コール・オプションの価格は下落する。
したがって、原資産の価格が下落したことにより、
行使価格11,500円のコールの価格は下がり、
デルタ値が0.5032と下がった。
また、行使価格12,500円のコールの価格も下がり、
デルタ値が0.1078と下がった。
したがって、プットの価格は上昇し、
プットのデルタ(絶対値)も上昇した。
(プットのデルタはつねにマイナスなので)
ΔC/ΔS=1+ΔP/ΔS
つまり、コール・デルタ=1+プット・デルタ
日経平均先物についてどのような取引をすべきか。
デルタ・ニュートラル・ポジションを
維持するためには、
プット・オプションのデルタ上昇したことから、
先物も増やすこととなる。
具体的に、数値を代入すると、
(1-0.5032)+(1-0.1078)+x=0となり、
x=-1.39となるため、0.96枚売っているので、
さらに、日経平均先物を0.43枚売り増すこととなる。
ここで、その後1月にわたり、
先物を使ったダイナミック・デルタ・ヘッジを
続けたところ、
日経平均株価は下降トレンドをたどりながら、
激しき乱高下した。
ボラティリティは想定された水準を大きく上回った。
さらに、満期日の日経平均株価は
12,000円を大きく下回った。
このような場合、売買手数料等の取引コストを
考慮すると先物を使ったヘッジは、
オプションを使った場合と比較して
どのような結果となるか。
下降相場であるため、
先物を使ったヘッジでは、
先物を継続的に売り増ししなければならないため、
その都度取引コストがかかり、
オプションによるヘッジより非効率である。
なお、プット・オプションの買いによるヘッジでは、
下降相場、上昇相場ともに
1回の取引コストだけで済み、
しかも取引時にプレミアム収入がある。
つまり、ロング・ストラドル戦略を行ったことにより、
変動が大きかった場合は、
(115円+616円-2×303)×1,000円の
プレミアム収入となる。
なお、変動がなかった場合は、
375,000円の損失となっている。
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概要
会社名 | TK税務&法務事務所 【一般社団法人租税高度困難事案研究所】 |
---|---|
住所 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3-600号 大阪駅前第3ビル6階6-2号 |
電話番号 | 06-6131-5335 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 土曜日 日曜日 祝日 |
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