TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

259号 証券アナリスト2次試験シリーズ 

デリバティブと投資戦略10

(コーラブル債の複製)

(経済法令出版社の過去問より)

A社では、米国企業が発行した米ドル建てのコーラブル債を保有している。

この米国企業では、コーラブル債と同じ発行条件のノン・コーラブル債を発行している。

 

コーラブル債は、残存期間10年、クーポンレート8%、額面100ドル、市場価格100ドル、コール条件5年後100ドルである。

ノン・コーラブル債は、残存期間10年、クーポンレート8%、額面100ドル、市場価格100.5ドルである。

ノン・コーラブル債と同社債を原資産とする債券オプションの組み合わせで、コーラブル債を合成するには、5年後に満期5年、行使価格100ドルの債券を買う権利を行使できるヨーロピアン型コール・オプションを売ることになる。

 

つまり、オプション料だけ、ノン・コーラブル債よりも市場価格は低くなっている。

 

コーラブル債の買い手は、5年後に権利行使をできる債券オプション(5年満期、行使価格100ドルのコール・オプション)を発行者に売ったこととなる。

 

次に、ノン・コーラブル債とスワップションあるいは金利オプション(キャップ、フロアー)組み合わせてコーラブル債を合成するには、5年後スタート・期間5年・レート8%のヨーロピアン型レーシーバーズ・スワップションを売ることである。想定元本はコーラブル債の額面である。

 

5年後スタート、期間5年のヨーロピアン型レシーバーズ・スワップションは、5年後に5年間にわたって、8%の固定金利の受け取りと変動金利LIBORを受け取る金利スワップを行使する権利である。

 

このオプションの買い手は、5年後にLIBORが8%を下回った場合に権利行使し、残り5年間は、売り手はノン・コーラブル債のクーポンを買い手に渡し、代わりにLIBORを受け取ることとなる。

これは、5年後にコールされるのと同じ状態である。

 

なお、売り手は、スワップ終了時にノン・コーラブル債の償還金(額面100円)を受け取る。

 

キャップとは、期間中の各期日においてLIBORが、一定のレベルよりも高い場合に、買い手は両者の金利差を売り手から受け取ることができるものである。

 

したがって、買い手はコール・オプションのパッケージを買ったことになる。

 

一方フロアは、期間中の各期日においてLIBORが、一定のレベルよりも低い場合に、買い手は両者の金利差を売り手から受け取ることができる。

これは、金利低下時に変動利付債の受取金利の目減り分を防ぐために利用されている。

 

フロアはキャップとは逆に、プット・オプションのパッケージを買ったこととなる。

 

そうすると、上記デリバティブの取引が、コーラブル債と同等のリスクがあるとすると、金利デリバティブがコーラブル債よりも魅力的な投資対象となるためには、この金利デリバティブのプレミアムはいくらか。

 

コーラブル債の価格が100ドルである。合成コーラブル債の価格は、ノン・コーラブル債価格-売却するスワップションの価格であるから、101.5ドル-100ドル=1.5ドル以上のプレミアムを受け取るものでなければならない。 

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