第263号 証券アナリスト2次試験シリーズ 債券ポートフォリオ戦略3
証券アナリスト2次試験シリーズ
債券ポートフォリオ戦略3
(債券ポートフォリオと変動利付債)
(経済法令出版社の過去問より)
国債を運用しているファンドAは、
残存期間1年から10年までの債券を
等金額で保有するラダー運用をしている。
現在、最長期の債券が満期となり、
1年債から9年債で構成されるポートフォリオ
(修正デュレーション4.4、コンベクシティ30.3)
となっている。
1年分はキャッシュとなっており、
新たに10年利付債
(修正デュレーション8.5、コンベクシティ87.1)
を購入する予定である。
なお、現在の1年物スポット・レート、
つまり割引債の最終利回りは1%である。
ここで、10年債購入直後のファンド
(修正デュレーション4.8、コンベクシティ36.0)
について、利回り曲線全体が0.5%下落した場合、
このファンドの価値はいくらとなるか。
ΔV/V=-Dp×Δr+1/2×CVp×Δr2
代入すると、-4.8×(-0.5%)+1/2×36.0×(-0.5%)2=0.02445=2.45%
2.45%価値が上昇する。
このファンドでは
修正デュレーションにあるレンジを許容している。
今回のリバランスで
修正デュレーションを4.5まで小さくすることとした。
そのために、新たに組み込む資産時価の1/10の
修正デュレーションを5.4にする必要がある。
そうすると、1年満期の割引債
(修正デュレーション0.99、コンベクシティ1.96)
と10年債を合わせて修正デュレーションを
5.4にするには、
現在保有のいくらを10年債に投資すればよいか。
x×8.5+(1-x)×0.99=5.4 x=58.7%
となる。
ファンド運用担当者は、
変動利付債についても検討している。
変動利付債Xは、満期10年、額面100円、
クーポンは1年物スポット・レート
変動利付債Yは、満期10年、額面100円、
クーポンは10年物利付債のクーポン・レートから
1%を引いた値となる。
(現在10年物利付債のクーポン・レートは3%)
変動利付債Xの価格は利払い日には、
100円となるのはなぜか。
9年後の価値をP9、
9年後から満期までの利回りをr9,10、
満期時(10年後)の価値P10は、
償還金100円と1年間のクーポン収入であり、
このクーポン収入はプレミアムがないため、
スポット・レートとなるので、
9年後の価値は100円となる。
8年後も同様に、100円なる。
したがって、毎年のクーポン・レートは
1年物スポット・レートと同一となることから、
各年において、
1年物割引債と同等で、
1年後のキャッシュ・フローは確定する。
ただし、各年の1年物スポット・レートは、
1年目期初からするとフォワード・レートであるため、
不確実であるが、
結果的にデュレーションは1年となり、
10年物金利と比べると
債券の価格変動リスクは小さいといえる。
そうすると、利付変動債Yの利回りは、
現在の10年物利付債の利回りが
3%マイナス1%の2%であるから、
現在の1年物スポット・レートが
1%と比較して
利付変動債Yの利回りのほうが有利である。
そうすると、仮に10年物利付債の発行利回りと
1年物スポット・レートの差が
これからも今の2%のままだとすると、
債券Xと債券Yのクーポン・レートの差は1%となる。
そうすると、Yの価格は、いくらになるか。
参考債券
1 額面100円、残存年数10年の割引債、価格74.05円
2 額面100円、クーポン・レート1%、
残存年数10の利付債、価格83.12円
そうすると、上記債券1と債券2の価格差は、
毎年のクーポン・レートの差の現在価値となる。
そうすると、債券Yの価格は、
債券Xの価格+クーポン・レートの差1%の現在価値
となるので、100円+(83.12円-74.05円)=
109.07円となる。
この利付変動債XとYの発行価格が
100円で等しいとした場合、
投資家は将来の利回り曲線については、
長短金利が逆転する逆イールド又は
フラット化すると予想していると思われる。
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