第264号 証券アナリスト2次試験シリーズ 債券ポートフォリオ戦略4
証券アナリスト2次試験シリーズ
債券ポートフォリオ戦略4
(債券ポートフォリオと債券先物)
(経済法令出版社の過去問より)
運用会社Aと運用会社Bは、
ブレット・ポートフォリオ
(中期債だけに集中のポート)を上回る運用収益
をあげる運用手法を検討している。
運用期間は1年で、すべて7年の国債で構成されている。
A社の戦略は、現在の長期国債先物が
理論価格に比べて割安となっているとして、
ブレッド・ポートフォリオを売却して、
マネー・マーケットでの短期運用と
国債先物の買い持ちポジションを組み合わせる。
なお、先物を割安と考えた根拠は、
現時点における最割安銘柄(残存期間7年)
で計算した理論先物価格が低いことである。
B社の戦略は、3年債と10年債の組み合わせにより
バーベル・ポートフォリオを作り、
ブレット・ポートフォリオと
同じデュレーションを維持しながら、
コンベクシティを上昇させる。
これにより、大きな金利変動があった場合には、
ブレット・ポートフォリオよりも
高いパフォーマンスをあげる。
ここで、最割安銘柄の債券価格が110円、
クーポン・レートが4%(年2回払)、
この債券の先渡価格はいくらか。
なお、満期までの期間は3月、
3月物短期金利は2%、
債券価格は利込み価格である。
先物価格=(債券価格+経過利息)×(1+運用利息)-クーポン×(前回利払からの経過期間+最終日までの期間)
ここで、110円は経過利息(4/2×3月/6月)
を含んでいる。
この110円を最終日まで運用した利息を
加えたものから、
現物を持てば得られるであろうクーポンの額を
控除する。
そうすると、
110円×(1+0.02×3/12)-4×1/2=108.55円
国債先物価格が、最割安銘柄が基準となる理由は、
先物の売り手にとっては、
受渡適格銘柄のうち最も割安な銘柄を
受渡しに使うのが有利であるため、
この最割安銘柄を使って、
「先物売り・現物買い」の裁定取引を
行ったとした場合が基準となって先物価格が決まる。
A社は、最割安銘柄で計算した理論先物価格が
コンバージョン・ファクターで割ったものよりも、
先物の市場価格が低いことを理由に、
現在の長期国債先物が
理論価格に比べて割安としているが、
A社の戦略では、
デリバリー・オプションがあることを考慮していない。
すなわち、デリバリー・オプションを考慮した
先物の理論価格は、
現在の最割安銘柄の先渡価格を
コンバージョン・ファクターで割った
先物理論価格よりも
デリバリー・オプションの分だけ低くなるため、
先物が割安であるかどうかは不明である。
B社のコンベクシティを利用する戦略について、
バーベルとブレットのリターンを
それぞれRa,Rbとし、
コンベクシティをそれぞれ、CaとCbとすると、
Ra-Rb=1/2×(Ca-Cb)×(Δr)2となる。
したがって、バーベルのコンベクシティの方が
大きいため、
金利変化の影響は常にバーベルにとって有利に働く。
しかしながら、B社の戦略についても、
右上がりのイールド・カーブの場合、
一般にブレットの利回りはバーベルを上回るので、
金利変動が小さい場合には、
ブレットのほうがパフォーマンスが高い。
さらに、イールド・カーブが
並行移動以外の形状変化を示す場合には、
パフォーマンスは不明であり、
ポートフォリオの入替えに伴う取引コストを
考慮していない。
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