第295号 証券アナリスト2次試験シリーズ 金融理論4
(金融政策とマネー・サプライ)
(経済法令出版社の過去問より)
金融政策の目標は、物価の安定を実現することを通じて、持続的な経済成長の基盤を確保することである。
金融政策の目標達成にとって、マネー・サプライは、金融政策における最終目標(物価の安定)を達成するにあたっての、中間目標として位置付けられるものである。
金融政策を実施するうえで、マネー・サプライが上記の位置付けを得るための条件は、
1 最終目標(物価)とマネー・サプライとのあいだの関係が安定的であること
2 短期市場金利や日銀当座残高といった金融調整上の操作目標の誘導によって、マネー・サプライの動きをコントロール可能であることである。
マネタリー・ターゲティングとは、マネー・サプライの伸び率を金融政策運営上のターゲットに据えて、その動きが物価の安定と整合的な範囲に収まるように操作変数を操作する金融政策運営方式のことである。
しかしながら、マネタリー・ターゲティングの前提条件のうち、マネー・サプライの操作可能性という条件が厳密に満たされていないため、採用している欧米主要中央銀行はない。
そのため、欧米主要中央銀行は、金融政策における短期金利の操作を通じて実体経済などに影響を及ぼし、それらによって物価の安定を目指すと考えている。
その背景には、物価は、短・中期的には、需給ギャップの変動に合わせて動くものであり、マネー・サプライから物価に直接影響を及ぼす経路は極めて弱いという考えがある。
わが国においては、近年、貨幣乗数が漸次継続して低下してきていることからみても、マネー・サプライと実体経済との関係は安定的ではなく、また、超金融緩和のもとでも、物価は近年継続してデフレ傾向であることから、マネー・サプライは有用な情報変数とはいえない。
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