第308号 証券アナリスト2次試験シリーズ 経済理論3
証券アナリスト2次試験シリーズ
経済理論3
(財政赤字と金利水準)
(経済法令出版社の過去問より)
長期金利と財政赤字の関係
ケインズ経済学では、
国債発行による財政赤字の増加は
国民所得を増加させる。
そして、国民所得の増加は取引需要を活発化させ、
資金需要が逼迫し、金利が上昇すると考える。
マンデル・フレミングモデルでは、
変動為替相場制のもとでは、
金利の上昇により国際資本が流入し、
金利は国際的に決定される相場水準から
乖離しないと考える。
実際には、各国間で金利差が生じている。
マンデル・フレミングモデルが成り立つとした場合、
現在のわが国の金利水準は
日銀の金融緩和策を受けて低い水準にあることから、
資本が国外に流出し、為替レートは円安となる。
その結果、純輸出が増加し
国際収支上の経常収支黒字は増加する。
また、財政赤字が拡大した場合には、
将来の増税に備えて貯蓄を増加させる
という考えがある。(リカードの中立命題)
つまり、財政赤字による資金需要増を
外国からの資本流入や家計部門の貯蓄増によって
完全に調達することは難しいと考えられるので、
財政赤字拡大により、金利は上昇すると考えられる。
財政収支が悪化し、国債が増発されて、
国債の需給が緩和状態になった場合には、
国債価格は低下するので、長期金利は上昇する。
さらに、国債の発行残高が増加し続けた場合、
国債購入者が、政府への信認を低下させ、
返済や利払いが不可能になるリスクが高いと考えると
このリスクを引き受けることに対する、
リスクプレミアムを要求する。
この結果、財政赤字増加によるリスクが
長期金利を上昇させる。
しかしながら、わが国は国債残高の増大にかかわらず、
金利が上昇しないのは、
国債市場における国債の需給が
現在のところ緩んでいないので、
国債価格は低下していない。
また、国債購入者は、
国債の増発によって政府の信認が低下し、
返済や利払いが不可能になるリスクを認識していない。
リカードの中立命題は、公債返済のために増税が、
次世代において行われる場合であっても
消費者の消費行動が利他的である場合には、
増税が同世代で行われる場合と同様に成立する。
わが国では、家計部門の個人金融資産が多額にあり、
金融機関経由で国債を購入することで
政府の資金需要を賄っているため、
国債の金利は上昇しない。
物価連動債の発行は、政府の財政規律を
高めることとなる。
これは、政府にはインフレを起こして
実質債務の縮減をするというインセンティブが働くが、
物価連動債の場合には、
インフレを起こせば
償還コストの増大を招くこととなる。
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