TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

309号 証券アナリスト2次試験シリーズ 経済理論4

証券アナリスト2次試験シリーズ 

経済理論4

(消費の低迷について)

(経済法令出版社の過去問より)

 

 

消費が低迷する理由は、所得が伸びないことと、

将来の仕事や所得に不安を持っていることである。

 

ケインズの絶対所得仮説は、

当期の所得にのみ依存するものとする考えである。

 

上記以外にも、

ライフサイクル仮説(恒常所得仮説)がある。

これは、将来にわたる所得の流列を見積もり、

そこから毎期の恒常的な所得を算出し、

それに基づいて消費を決定するとするものである。

 

つまり、将来の所得に対する不安があれば

恒常所得が下方に修正され、消費が減少する。

 

そして、ライフサイクル仮説(恒常所得仮説)が

成立する条件は、

流動性制約が存在しないことである。

 

最近の金融機関の貸出金の減少から

流動性制約が高まっており、

ライフサイクル仮説(恒常所得仮説)が

成立する条件は満たされていない。

 

 

減税について、

絶対所得仮説では消費の増加に貢献するものの、

ライフサイクル仮説(恒常所得仮説)では、

恒常所得が増加しないため、消費は拡大しない。

 

また、アメリカにおける消費関数には、

所得以外に資産の価格(株価)を

説明変数に含める議論が多い。

 

また、住宅ローンを抱えた世帯については、

デフレ傾向が続く中で、

住宅ローンの実質額が大きくなっている。

 

 

財政赤字の拡大による公債残高の拡大は、

将来の公債の返済に増税されると考えると、

それに備えて貯蓄を増加させ、

消費を抑えることとなる。

 

その結果、公債発行による財政支出拡大と

消費の減少が相殺され、

財政政策の効果が減少する。(リカードの中立命題)

 

 

公債発行と増税による公債の償還が、

同一世代内で行われる場合は、

両者に相違はないが、

 

世代間を超えて行われる場合、

利己的動機にもとづく消費行動では、

リカードの中立命題は成立しない。

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