第310号 証券アナリスト2次試験シリーズ 経済理論5
証券アナリスト2次試験シリーズ
経済理論5
(設備投資とトービンのq並びに資本係数)
(経済法令出版社の過去問より)
企業活動の目的が企業価値の最大化であるとすると、
新たな投資の価値は、
新たな設備投資による企業価値の増加と
設備投資のコストの比較である。
株式市場で企業価値が正当に評価されている場合、
企業の資本の再取得価値に対する比率(トービンのq)
と設備投資の間に一定の関係がある。
ROE=株主資本利益率=税引き後当期利益/自己資本、
そうすると、利益の増加率に伴い
エクイティ・ファイナンスによる
自己資本の増加があると、ROEは増加しない。
マクロ的にみると、資本収益率は、
資本の平均生産性と資本分配率に分解できる。
わが国は、資本係数(資本ストック/算出量)が高く、
特に非製造業における伸び率が高い。
これは、欧米に比べて非製造業の資本装備率が
極めて低いことから
積極的に資本蓄積を進めてきたことが背景にある。
資本係数とは、ある生産関数のもとで、
1単位当たりの生産物を生産するために
必要な資本ストックの量である。
マクロ的には、資本ストックの量/GDPである。
わが国のROEが低い水準にとどまっているのは、
マクロの資本係数が高いからである。
そのため、今後ROEの上昇のためには、
マクロの資本係数を低下させるため、
過剰設備の廃棄・償却をする必要がある。
そうすれば、企業にとって
新規の設備投資がしやすくなると考えられる。
トービンのqとは、
資本1単位当たりの企業の価値をいう。
これが1より大きい時投資が行われる。
企業が合理的である限り
トービンのqは1を下回らない。
1以下に場合は、企業の価値が市場で
適切に評価されていないことを意味する。
バブル崩壊以前のトービンのqと
設備投資との関係は、有意であった。
t値からも判断できる。
メインバンクでは格付けが採用され、
企業の格付けが低いと
その銀行における貸し渋りが生ずる。
そうすると、企業にとって
設備投資にかかる資金の制約となる。
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