第419号 譲渡の意義ー財産分与
財産分与
事実の概要
Xは、昭和42年5月10日に離婚調停が成立し、同年5月20日に所有権移転登記を行った。
しかしながら、資産の譲渡とは、対価を伴う有償譲渡を意味するところ、本件不動産の譲渡は実質は財産分与であり、無償行為であるから資産の譲渡に当たらないとして譲渡に申告をしなかったため、税務署長は、譲渡に当たるとして更正処分をした。
第1審
本件不動産は慰謝料として譲渡されたもので無償譲渡に当たないとして棄却した
第2審
財産分与として譲渡することを約定し、その債務の履行として譲渡したものであるから債務の消滅という経済的利益を享受した点で現実に対価の受け入れを伴う場合と変わらず譲渡に当たるとした
最高裁
財産分与の権利義務そのものは、離婚の成立によって発生し、実体的権利義務として存在するに至り、
当事者の協議は、単にその内容を具体的に確定するものであるにすぎない。
そして、財産分与に関し当事者の協議が行われてその内容が具体的に確定され、これに従い金銭の支払い、不動産の譲渡等の分与が完了すれば、財産分与の義務は消滅するが、この財産分与の消滅は、それ自体一つの経済的利益ということができる。
したがって、財産分与として不動産等の資産を譲渡した場合、分与者は、これによって、分与義務の消滅という経済的利益を享受したものというべきであるとして、財産分としての資産の移転が譲渡所得の課税の対象となることを判示した。(財産分与請求権の性質に関し段階的形成権説を採用している。)
財産分与は、相手方が有する潜在的な権利を相手方に帰属させるものにすぎず、実質的には共有財産の分割であるから資産の譲渡に該当しないとの考え方も有力である。
分与者が相手方の協力や寄与によって「婚姻中自己の名で得た財産」も特有財産であり、それを相手方に移転した場合は資産の譲渡に当たる。
では、段階的形成権説を採用する場合、具体的に贈与契約を行ったばあいは、贈与となるのかという問題がある。
なお、譲渡収入は、当該不動産の価額となるものの、分与された不動産を譲渡する場合の取得費は、財産分与請求権をという経済的利益を消滅させる代償として当該資産を取得したこととなるから、財産分与請求権の価額と同額になる。(つまり、異なることもあり得るということ)
では、財産分与義務はすべて消滅するとした合意の場合の当該譲渡の収入金額はいくらになるか。
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