第180号 現代思想9 フーコー
今回はフーコーです。フーコーは、思考をする主体みたいなものが、どういうふうにしてつくられているかという問題意識を、精神病院というものがどういうふうにできているか。監獄がどういうふうにしてできてくるかという歴史をつうじて批判していったのです。キーワードは、「権力」、「知」、「主体」、「性」です。
権力とは、誰かの政治的権力とかというものではなく、例えば、マニュアルを作成したとすると、このマニュアルの規定からするとはじかれてしまう人がいる。本当は、ひとりひとりをよくみると、はじかれないかもしれません。しかし、マニュアルの規定からはじかれてしまうことがあります。こういうマニュアルのようなものが権力関係を作っていると考えたのです。
フーコーは、人間は基本的にいいもので、どこかに悪いものとか悪い制度があって、その人間の良さを押さえつけているんだ。人間が人間である本質を発揮できればいいんだというような、この本質は愛であっても何でもいいんですが、いいものを中核に人間という概念があるというように考えています。
次は、狂気(精神分裂症)の歴史の分析です。つまり、狂気の概念が変わっていっているということです。当初は、いわゆるきちがいです。そういう人を密室に監禁したりしました。次に、乞食です。さらに酔つ払いや労働しないやつを狂気扱いしました。こういう人を閉じ込めることにより、矯正すると健全なる人間になると考えたのです。
現在でも、心身喪失者や未成年者は、まだ主体としての自分を形成していない人間として、刑務所、精神病院、学校という空間の中に閉じ込めることによって、健全な人間の社会ができると考えています。近代になって、狂気の分類体系が細かくなっていきます。各症状が分裂病や神経症に区分され、治療の対象となっていきます。治療にあたり、分裂病の原因は、その人の成育が問題なのか、その人の器質が問題なのかが常に二つのあいだでゆれます。
つまり、主観のほうから分裂病を問題とするのか、客観のほうから問題とするのかです。
次に、監獄です。看守は囚人が脱走を防ぐために、非常に規則づくめの監視をしていると考えています。以前の監獄は、とにかく酷いところに閉じ込めて置くだけで、規則や時間、衛生に関心を払っていなかったのです。閉じ込めるのが主眼です。つまり、規則は主体を作ることなのです。規則で縛ることにより、同時に権力関係を承認していく主体となることです。つまり、フーコーは、今まで、主体とは権力に対する反抗の根拠として考えられてきたのですが、じつはそういう主体を作ること自体が、近代の権力関係のありかたであるという、権力問題に対する大転換をさせたのです。
最後に性を考えます。性現象というものです。たとえば、修道士はかなり緻密な告解でした。かれらにとって性的な欲望は罪であったのですが、重要なのは性的な欲望をなくすことではなく、自分がどういう性的な欲望をもっているかということを細かく分析することによって、自分を正しく認識することだったのです。分析し、認識することにより、いかに自分をコントロールできるようになるかを目指していたと考えます。つまり、主体を形成するに当たり、「知」が必要であるということです。認識するということは、知るということです。
そして、そこには権力関係があるということです。そして、性的表現の自由こそが一番反権力的であるという信念を持っていたわけです。
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