TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

38号 消費税(吸収)合併の場合の納税義務はどうなるの

消費税第11条1項と2項は、吸収合併、3項と4項は、新設合併の規定です。

 

合併法人の基準期間の課税売上高が1000万円を超えている場合は、そもそも免税となりませんので、ざっくりいうと、合併法人か被合併合法人の基準期間の課税売上高が1000万円を超えると免税事業者にならないという規定です。

 

また、合併後2年以内は、課税売上高が分散されているので、合併法人と被合併法人の基準期間の課税売上高を合計して判定するということです。

 

 

 

消費税法の合併(吸収合併)

(法令)

消費税第11条(合併があった場合の納税義務の免除の特例)第1項は、(吸収)合併があった場合において、被合併法人の合併法人の当該合併があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として

 

消費税法施行令第22条第1項で定めるところにより計算した金額(年間調整金額)1000万円を超えるときは、

 

当該合併法人の当該事業年度の当該合併があった日から当該合併があった日の属する事業年度終了の日までの間における(つまり合併事業年度)課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない(つまり免税とならない)旨規定しています。

 

 

 

 

消費税法施行令第22条第1項は、消費税法第11条第1項の合併法人の合併があった日の属する事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項の被合併法人の各事業年度(つまり合併事業年度の基準期間)(決算期が違っていたり、事業年度が1年未満もあるから)における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに12 を乗じて計算した金額(結局1年分)とする旨規定しています。

 

 

これは、吸収合併による合併法人の基準期間の課税売上高が1000万円を超えている場合は免税とならないことは、ここで規定する必要はないのです。

 

結局、この規定は、被合併法人の基準期間が1000万円を超えている場合は、免税とならないことを規定しています。

 

また、 はっきりと「基準期間」と規定していないのは、純粋な基準期間ではないからです。だから読みにくいのですが。

 

また、この特例は、「合併のあった日から」となっているので、合併法人が、いわゆる免税事業者の場合は、合併事業年度について、合併のあった日の前日までの期間の課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、免税となります。

 

これは、消費税法第9条(小規模事業者の納税義務の免除)は、課税期間における課税資産の譲渡等の免除の規定だからです。

なので、対価の返還があった場合には注意してね。

 

 

なお、合併があった場合の基準期間の判定は、合併法人と被合併法人の基準期間の課税売上高は合計しません。

 

あくまで、どちらかの基準期間の課税売上高のみで判定するということになります。

 

ちなみに、被合併法人の合併直前の最終事業年度の基準期間も同じ基準期間ですので、同じ事業年度の課税売上高をもとに合併法人と被合併法人との判定することになります。

 

さらにちなみに、被合併法人の基準期間が新規設立で1年未満の場合は、消費税法第9条第2項第2号の規定により1年に換算するということです。(施行令第22条は1年より長くなる場合の1年換算やね。)

 

 

 

 

消費税第11条第2項は、(吸収)合併法人の当該事業年度の基準期間の初日の翌日から当該事業年度開始の日の前日までの間に合併があった場合において、(つまり、合併してから2年間ってことですね。)

 

年経つと合併法人の合併後の基準期間がありますので本来の基準期間の計算となります。

 

 

当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高と被合併法人の当該合併法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第22条第2項で定めるところにより計算した金額(年間調整金額)との合計額が1000万円を超えるときは、当該合併法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第22条第2項は、消費税法第11条第2項の合併法人の当該事業年度の基準期間の初日から同日以後1年を経過する日(事業年度が1年未満の法人があるのでこんな表現になっている。)までに終了した同項の被合併法人の各事業年度における課税売上高の合計額当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

 

また、当該基準期間中に合併があった場合には、当該計算した金額を当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに当該基準期間の初日から当該合併があった日の前日までの月数を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

 

この規定は、基準期間から前事業年度の間に吸収合併した場合の規定で、当該基準期間の合併法人と被合併法人の課税売上髙を合計してすることを規定しています。

 

 

基準期間の初日に合併があった場合は、合併法人の基準期間の課税売上高のみで判定します。

 

 

そして、また書きで、合併があったときの合併親法人の事業年度については、合併があった日までの期間分を按分して計算します。

 

 

これは、結局は、合併前の期間について、合併があったとした場合の金額を算出しているのです。

 

 

つまり、合併後の部分については、合併子法人の課税売上高は、合併親法人の課税売上高に含まれていますので、合併子法人の合併前の部分のうち、合併親法人の合併前の期間に換算しているのです。

 

 

 

消費税法の合併(新設合併)

(法令)

消費税第11条(合併があった場合の納税義務の免除の特例)第3項は、(新設)合併があった場合において、

 

被合併法人の合併法人の当該合併があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第22条第3項で定めるところにより計算した金額(年間調整金額)のいずれかが1000万円を超えるときは、

 

当該合併法人の当該合併があった日の属する事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第22条第3項は、消費税法第11条第3項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、消費税法第11条第3項の合併法人の合併があった日の属する事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項の被合併法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

この規定は、新設合併した場合の規定です。合併法人とは新設の法人のことで、合併した既存の法人はすべて被合併法人です。

 

そして、この規定は合併があった事業年度の規定です。

 

この場合、被合併法人のいずれかの基準期間の課税売上高が1000万円を超えていると免税になりません。逆にいうと、いずれも1000万円以下の場合は免税になるということです。

 

なお、合併法人の最初の事業年度は1年未満となっていても、基準期間は当然1年で判定します。

 

 

消費税第11条第4項は、(新設)合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日から当該事業年度開始の日の前日までの間に合併があった場合において、 つまり、合併してから2年間の意味です。

 

 

当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高と各被合併法人の当該合併法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第22条第4項で定めるところにより計算した金額(年間調整金額)の合計額との合計額が1000万円を超えるときは、

 

当該合併法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

なお、当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高がない場合(前事業年度に合併した場合)その他消費税施行令第22条第5項に規定する場合(変則決算期)には、同条第6項で定める金額とする旨規定しています。

 

 

 もう一度、ここで、基準期間とはなにかを検討します。

消費税法第2条第14号は、基準期間とは、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいい、当該前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間をいう旨規定しています。

 

消費税法施行令第22条第4項は、消費税法第11条第4項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、消費税法第11条第4項の合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日(事業年度の途中になることもある。)から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項の各被合併法人の各事業年度(通常は1事業年度)における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに当該合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日から合併があった日の前日までの期間の月数を乗じて計算した金額とする旨規定しています。(結局、1年分に調整しているってことです。)

 

 

なお、注意を要するのは、「当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高がない場合」「ある場合」があって、「ない場合」とは、合併事業年度の翌事業年度であり、「ある場合」とは、翌々事業年度です。

 

 

したがって、第4項を適用するのは「ある場合」で、「ない場合」は、第6項第1号を適用することとなります。

 

 

消費税法施行令第22条第5項は、消費税法第11条第4項の合併法人の当該事業年度の基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数が合併の日から当該合併法人の当該事業年度開始の日の前日の1年前の日の前日までの期間の月数を超える場合とする旨規定しています。

 

 

これは、なかなかわかりにくいですが、事業年度が7月などの変則的な場合を想定しています。

 

この場合、合併法人の当該事業年度の基準期間(2年前の日の前日から1年以内に開始した各事業年度の合計)に含まれる事業年度の月数の合計数は、基準期間が3事業年度前と2事業年度前の14月となります。

 

当該事業年度は、合併以後の事業年度で2年以内に開始した事業年度です。いまこの事業年度の基準期間の課税売上高を算出しようとしています。

 

そして、合併の日から当該合併法人の当該事業年度開始の日の前日の1年前の日の前日までの期間の月数は合併事業年度が1月(事業年度末の1月前に合併したと想定)で、翌事業年度が7月で、翌々事業年度が2月となり、合計10月になります。そうすると、基準期間の月数の方が大きくなります。

 

 

上記の「1年前の日の前日」は2事業年度の途中でありこの事業年度の最初2月となります。

 

結局、これは、事業年度が1年よりも短いことと、定義上、基準期間は2年などの期間を使用しているので、差が生じてくるからです。

 

この場合、第6項の規定から、この期間の合併法人の課税売上高を14で除して10月を乗じた金額と第4項の規定により計算した金額、

 

つまり、合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日(2年前は24月前のことで、1事業年度が7月だから、3事業年度と3月前になる。)から合併があった日の前日までの期間の月数(事業年末の3月前とは1月前に合併したと想定しているので、その2月前になります。つまり、2月となる。)の被合併法人の課税売上高を合計すると結局1年分の課税売上高となります。

 

 

消費税法施行令第22条第6項は、消費税法第11条第4項で定める金額とは、合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高がない場合は、

 

当該合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項の各被合併法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、

 

これに12を乗じて計算した金額の合計額とする旨、

 

また、消費税法施行令第22条第5項に該当する場合は、消費税法第11条第4項の合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高を当該基準期間に含まれる事業年度の 月数の合計数で除し、

 

これに第5項に規定する期間の月数を乗じて計算した金額と第4項の規定により計算した金額との合計額とする旨規定しています。

 

 

この規定は、合併が2年以内行われた場合の新設合併法人の納税義務の判定の規定です。

 

 

合併法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、合併法人のその事業年度の基準期間に対応する期間における各被合併法人の課税売上高を加算した金額が1000万円を超える場合には、合併法人について納税義務は免除されないということです。

 

 

まず、合併法人にとって、合併事業年度の翌事業年度には、まだ基準期間はありませんので、この場合は、令22条第6項の前段が適用され、被合併法人(新設合併なので既存の法人2社以上)の合併法人の基準期間(あったとしたらの期間)に対応する期間(基準期間に相当する期間となる)の課税売上髙の合計額で判断することになります。

 

 

次に、合併事業年度の翌々事業年度の場合は、合併法人の基準期間の課税売上高とその基準期間に対応する期間における全被合併法人の課税売上高の合計額で判断することになります。

 

 

つまり、合併までの被合併法人の課税売上高と合併後の合併法人の課税売上高を合計することとなります。

 

したがって、合併法人の基準期間は1年未満でも年換算しません。(通常は法9条2項で 年換算するのですが、法9条第4項で第11条4項を除いているから年換算しません。対価の返還は引くので注意すること)

 

 

逆に、被合併法人の基準期間は1年超となっている場合は令22条で月数を換算します。

 

なお、合併法人の基準期間を年換算して課税売上高が1000万円超の場合は、法11条の特例を適用せず、当然免税となりません。

お疲れ様でした。

 

 

 

消費税法の分割

(法令)

先に、分割等の定義です。

消費税第12条(分割等があった場合の納税義務の免除の特例第7項は、第1項から第4項までに規定する分割等とは、

第1号は、新設分割(会社法第5編組織 再編第3章会社分割第2節新設分割)のほか、

 

第2号は、法人が新たな法人を設立するためその有する金銭以外の資産の出資をし、その出資により新たに設立する法人に事業の全部又は一部を引き継ぐ場合における当該新たな法人の設立(現物出資)

 

なお、当該出資は、その新たな法人の設立する時において当該資産その他当該設立のための出資により発行済株式又は出資の全部をその法人が有することとなるものに限ります。

 

 

第3号は、法人が新たな法人を設立するため金銭の出資をし、当該新たな法人と会社法に規定する事業譲渡等の承認等に掲げる行為に係る契約を締結した場合における当該契約に基づく金銭以外の資産の譲渡(事後設立)のうち、

 

当該新たな法人の設立の時において発行済株式の全部をその法人(事業譲渡等をしようとする法人)が有している場合であること

その他消費税法施行令第22条第9項で定める要件に該当するものをいう旨規定しています。

 

 

消費税法第23条第9項は、消費税法第12条第7項第3号に規定する政令で定める要件とは、金銭以外の資産の譲渡が新たな法人の設立の時において予定されており、かつ、当該設立の時から6月以内に行われたこととする旨規定しています。

つまり、分割等の「等」とは資産の譲渡のこと

 

 

 

(分割等があった事業年度における新設分割子法人の課否判定)

消費税第12条第1項は、分割等があった場合において、当該分割等を行った法人(新設分割親法人)の当該分割等により設立された、又は資産の譲渡を受けた法人(新設分割子会社)の分割等があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第23条第1項で定めるところにより計算した金額(12月に調整した新設親法人の課税売上高)が1000万円を超えるときは、当該新設分割子法人の当該分割があった日から当該分割等があった日の属する事業年度終了の日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第23条第1項は、消費税法第12条第1項に規定する政令で定めるところにより計算した金額とは、同項の新設分割子法人の分割等があった日の属する事業年度開始の日(つまり設立の日)の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項の新設分割親法人の各事業年度における課税売上髙の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

 

これは、新設分割があった事業年度、つまり、設立事業年度における新設分割子法人の最初事業年度における判定についての規定です。

 

新設分割した事業年度には基準期間がないので、新設分割親法人の課税売上高で判定することを規定しています。

 

結局、新設分割があった事業年度の新設分割親法人の基準期間の課税売上高で判定し、 1000万円を超えるときは、新設分割親法人も新設分割子法人も免税にならないということ です。当たり前と言えば当たり前ですね。

 

なお、第1項については、特定要件の規定はありません。

 

 

(分割等があった翌事業年度における新設分割子法人の課否判定)

消費税第12条第2項は、新設分割子法人の当該事業年度開始の日の1年前の日の前日から当該事業年度開始の日の前日までの間に分割等があった場合において、

 

新設分割親法人の当該新設分割子法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第23条第2項で定めるところにより計算した金額が1000万円を超えるときは、

 

当該新設分割子法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第23条第2項は、消費税法第12条第2項に規定する政令で定めるところにより計算した金額とは、同項の新設分割子法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項の新設親法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計額で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

これは、その事業年度の開始の日の1年前の日の前日から当該事業年度開始の日の前日までの間に分割等があった場合、つまり、新設分割があった事業年度の翌事業年度以後における新設分割子法人の判定の規定です。

 

 

この事業年度も新設分割子法人には基準期間がありませんので、これもこの新設分割子法人の基準期間に対応する新設分割親法人の事業年度(決算期によっては複数の事業年度になる。)の課税売上高の合計額を1年以上の月数となっている場合は、1年に換算した課税売上高によって判定します。

 

なお、新設分割親法人が複数ある場合は、いずれかの新設分割親法人の基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合は、免除になりません。

 

 

消費税法の分割

(法令)

(分割等があった翌々事業年度又は翌々事業年度後の新設分割子法人の課否判定)

消費税第12条第3項は、新設分割子法人の当該事業年度開始の日の1年前の日の前々日以前に分割等があった場合において、

 

当該事業年度の基準期間の末日において当該新設分割子法人が 特定要件に該当し、かつ、 当該新設分割子法人の当該事業年度の基準年度における課税売上高として消費税法施行令第23条第3項で定めるところにより計算した金額と当該新設分割親法人の当該新設分割子法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として同施行令第23条第4項で定めるところにより計算した金額との合計額が1000 万円を超えるときは、

 

当該新設分割子法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定している。

 

 

なお、当該特定要件とは、新設分割子法人の発行済み株式等の総数の100分の50を超える数の株式等が新設分割親法人及び当該新設親法人と消費税施行令第24条第1項で定める特殊な関係にある者の所有に属する場合(新設分割親法人を株主等の一人が支配している場合)その他同条第4項で定める場合(他の会社を介して支配している場合)であることをいう旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第23条第3項は、消費税法第12条第3項に規定する新設分割子法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高として政令で定めるところにより計算した金額とは、

 

同項の新設分割子法人の当該基準期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における消費税法第9条第2項第1号に規定する売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残高を当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額(新設分割子法人の基準期間における課税売上高の1年換算した金額)とする旨規定しています。

 

 

なお、当該新設分割子法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1 年を経過する日までの間(基準期間に相当する期間)に開始した消費税法第12条第3項の新設分割親法人の各事業年度(特定事業年度:つまり新設分割子法人の基準期間に対応する新設分割親法人における期間)中にさらに分割等があった場合には、

 

当該計算した金額を特定事業年度の月数の合計数で除し、これに当該分割等があった日から当該特定事業年度のうち最後の事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

このなお書きは、分割があった事業年度の翌々事業年度についての規定で、分割があった翌々事業年度にとって、1年未満となる基準期間が存在します。

 

また、この第3項の規定は、翌々事業年度のみではなく、その後の特定要件の続く限りの規定となります。

 

つまり、特定要件の有無によって、第2項の翌事業年度と第3項の翌々事業年度後の事業年度の取扱いを区分しています。

 

したがって、新設分割子法人には、特定事業年度(つまり新設分割子法人の基準期間に対応する新設分割親法人における期間)における、定事業年度開始の日から新設分割があった日までの期間と新設分割があった日からその事業年度末までの期間(1年未満)があることになります。

 

 

新設分割があった事業年度における初日から当該新設分割があった日までの期間の新設分割親法人の課税売上高については、まだ新設分割子法人が設立されていませんので、分割前の新設分割親法人と分割前の新設分割子法人の課税売上高の合計額になっています。

 

そのため、分割があった日の以後の期間については、新設分割親法人の課税売上高と新設分割子法人の課税売上高を合計することになるのです。

 

しかしながら、新設分割親法人と新設分割子法人の間で決算期が異なる場合があるので、 新設分割子法人の課税売上高は、分割後の新設分割子法人の分割から事業年度末までの期間(1年未満)を1年に換算した金額に、

 

当該新設分割親法人における新設分割があった日の事業年度の月数を分母にし、新設分割親法人の分割があった日から事業年度終了の日までの月数を分子にした割合(分割後期間割合)を乗じて計算した金額(新設分割子法人分)を算出します。

 

 

そして、その金額に、新設分割親会社のおける分割があった日を含む事業年度の課税売上高を1年分に換算した金額(新設分割親法人分)を合計して判定します。

 

 

結局、新設分割子法人が新設分割親法人からスピンアウトしたとして、新設分割親法人の課税売上高に戻して、新設分割親法人の分割があった日の課税売上高で判定するということになります。(分割親法人中心主義)

 

 

消費税法施行令第23条第4項は、消費税法第12条第3項に規定する新設分割親法人の当該新設分割子法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として 政令で定めるところにより計算した金額とは、

 

同項の新設分割親法人の特定事業年度における課税売上高の合計額を当該特定事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

これは、決算期が変更した場合とかにより、特定事業年度の月数が12月ではなく、11月とか13月とかになる場合があります。

 

この場合には、これを12月に調整した課税売上高 によって判定するということです。

 

 

(分割等があった翌々事業年度又は翌々事業年度後における新設分割親法人の課否判定)

消費税第12条第4項は、新設分割親法人の当該事業年度開始の日の1年前の日の前々日以前に分割が あった場合において、

 

当該事業年度の基準期間の末日において新設分割子法人が特定要件に該当し、かつ、当該新設分割親法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高と当該新設分割子法人の当該新設分割親法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第23条第5項で定めるところにより計算した金額の合計額が1000万円を超えるときは、

 

当該新設分割親法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第23条第5項は消費税法第12条第4項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の新設分割親法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間(前々事業年度前)に開始した同項の新設分割子法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

 

なお、当該新設分割親法人の当該事業年度の基準期間の初日の翌日から当該事業年度開 始の日の1年前の日の前々日までの間(前々事業年度)に分割等があった場合には、

 

当該計算した金額を(当該新設分割親法人の基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数)で除して、(当該分割等があった日から当該新設分割親法人の基準期間の末日までの期間の月数)を乗じて計算した金額である旨規定しています。

 

 

これは、基準期間以前に分割があった場合における、第3項が新設分割子法人の納税義務の判定であって、第4項は新設分割親法人の納税義務の判定です。

 

 

なお、分割の翌事業年度の場合の新設分割親法人には分割前の基準期間がありますので、 特に免税とする規定はありません。第9条で判定することとなります。

 

 

結局は、分割がなかったとした場合の新設分割親法人の課税売上高を算出しています。

 

 

この場合、まず通常の新設分割親法人の課税売上高を算出し、これに、新設分割子法人の分割後の期間の課税売上高を年換算したものをさらに新設分割親法人の基準期間に対応する月分を算出して、これらを合計して1000万円を超えているかどうかを判定することになります。

 

 

消費税法の分割

(法令)

(吸収分割があった事業年度における分割承継法人の課否判定)

消費税第12条第5項は、吸収分割(会社法第5編組織再編第3章会社分割第1節吸収分割)があった場合において、分割法人(売上が減少する法人)の分割承継法人(売上が増加する法人)の吸収分割があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間(つまり分割法人の2年前の事業年度のこと)における課税売上高として消費税法施行令第23条第6項で定めるところにより計算した金額が1000万円を超えるときは、

 

当該分割承継法人の当該吸収分割があった日の属する事業年度の当該吸収分割があった日から当該吸収分割があった日の属する事業年度終了の日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第23条第6項は、消費税法第12条第5項に規定する政令で定めるところにより計算した金額とは、同項の分割承継法人の吸収分割があった日の属する事業年度開始の日の2年前の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した同項に分割法人の各事業年度における課税売上高を当該各事業年度に月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

これは、吸収分割があった事業年度の分割承継法人における納税義務に判定についての規定です。

 

 

吸収分割があった事業年度の分割承継法人の基準期間に課税売上高が1000万円を超えるときは特例を使うまでもなく免税とはなりません。

 

つまり、1000万円以下の場合には、分割法人の課税売上高で判定することを規定しているのです。

 

 

吸収分割とは、結局は全部吸収であれば吸収合併と同じことですので、いわば一部吸収合併みたいなものです。

 

吸収分割後も分割法人には一部売上や資産等が残るので、法人としても存在します。

 

 

吸収の度合いによっては、分割承継法人の分割後の課税売上高が大きくなるにもかかわらず、基準期間の課税売上高が小さい場合があるので、課否判定は、吸収分割法人の課税売上高で判断することとしたものです。

 

 

したがって、分割の度合いが大きいときは、残った吸収分割法人の課税売上高がほとんどなくても、分割前の課税売上髙で判断されることとなります。

 

 

これは、分割前の吸収分割法人の基準期間の課税売上高が1000万円以下であれば、分割後もいわゆる免税事業者と考えるからです。

 

 

なお、合併との違いは、課税売上高は吸収分割法人のみで判定され課税売上高は合計されません。

 

特例の規定の話であり、分割承継法人の基準期間の課税売上髙は当然判定されるので、結局どちらかが1000万円超であれば免税にならないということになります。

 

 

(吸収分割があった場合の翌事業年度の分割承継法人の課否判定)

消費税第12条第6項は、分割承継法人の当該事業年度開始の日の1年前の日の前日から当該事業年度開始の日の前日までの間(前事業年度)に吸収分割があった場合において、

 

分割法人の当該分割承継法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第23条第7項で定めるところにより計算した金額が1000万円を超えるときは、

 

当該分割承継法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第23条第7項は、消費税法第12条第6項に規定する政令で定めるところにより計算した金額とは、同項の分割承継法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間(前事業年度)に終了した同項の分割法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額とする旨規定しています。

 

 

これは、吸収分割があった場合の翌事業年度の分割承継法人における、納税義務の判定についての規定です。

 

 

前事業年度に吸収分割があった場合には、分割承継法人にとって基準期間はあるが、分割で売上が増加する前で、課税売上髙は少ないので、分割法人の基準期間の課税売上高で判定するということです。

 

 

前提としては、分割承継法人の課税売上髙は少なかった(1000万円以下)のが分割によって課税売上高が増加した場合の課否判定を行う特例であり、そもそも分割前から課税売上高が1000万円を超えている場合は、分割の有無にかかわらず免税されません

 

 


 

消費税法の合併(ちょっと変わった事業年度の場合)

(法令)

消費税第11条第4項は、新設合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日から当該事業年度開始の日の前日までの間に合併があった場合において、つまり、合併してから2年間の意味です。

 

 

当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高と各被合併法人の当該合併法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として消費税法施行令第22条第4項で定めるところにより計算した金額(年間調整金額)の合計額との合計額が1000万円を超えるときは、当該合併法人の当該事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。

 

 

消費税法施行令第22条第5項は、消費税法第11条第4項に規定する政令で定める場合とは、同項の合併法人の当該事業年度の基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数が合併の日から当該合併法人の当該事業年度開始の日の前日の1年前の日の前日までの期間の月数を超える場合とする旨規定しています。

 

 

これは、なかなかわかりにくいですが、事業年度が7月などの変則的な場合を想定しています。今、当該課税期間を合併後の4事業年度後の事業年度を検討します。そして、合併は4事業年度前の期末1月前と想定します。

 

 

この場合、合併法人の当該事業年度の基準期間(2年前の日の前日から1年以内に開始した各事業年度の合計、合併した事業年度も7月あるとして合併した事業年度は含まれない。)に含まれる事業年度の月数の合計数は、基準期間が3事業年度前と2事業年度前の14月となります。

 

 

当該事業年度は、合併以後の事業年度で2年以内に開始した事業年度です。いまこの事業年度の基準期間の課税売上高を算出しようとしています。

 

 

そして、合併の日から当該合併法人の当該事業年度開始の日の前日の1年前の日の前日までの期間の月数は合併事業年度が1月(事業年度末の1月前に合併したと想定ですから)で、翌事業年度が7月で、翌々事業年度が2月となり、合計10月になります。そうすると、基準期間の月数の方が大きくなります。

 

 

上記の「1年前の日の前日」は翌々事業年度の途中であり、この事業年度の最初2月となります。

結局、これは、事業年度が1年よりも短いことと、定義上、基準期間は2年などの期間を使用しているので、差が生じてくるからです。

 

 

この場合、第6項の規定から、この期間の合併法人の課税売上高を14月で除して10月を乗じた金額と第4項の規定により計算した金額、つまり、合併法人の当該事業年度開始の日の2年前の日の前日(2年前は24月前のことで、1事業年度が7月だから、3事業年度と3月前になる。)から合併があった日の前日までの期間の月数(事業年末の3月前とは期末の1月前に合併したと想定しているので、その2月前になります。つまり、2月となる。)の被合併法人の課税売上高を合計すると結局1年分の課税売上高となります。

 

 

消費税法施行令第22条第6項は、消費税法施行令第22条第5項に該当する場合は、消費税法第11条第4項の合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高を当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに第5項に規定する期間の月数を乗じて計算した金額と第4項の規定により計算した金額との合計額とする旨規定しています。

消費税法の読み方・考え方初版:現在第5版なので申し訳ありません。)

 

 

しかしながら、消費税法第11条第4項の合併法人は、第3項から新設合併に限る旨規定されています。

そうすると、2年前から開始する事業年度には、合併事業年度が含まれることとなり、上記の14月ではなく、合併事業年度を含めた15月になるのではないかと考えます。

この規定が新設合併ではなく、吸収合併の場合には、上記のとおり14月となります。

 

また、この規定が新設合併の決算期変更の場合を想定しているとしている考えもあります。(『消費税法講義録』P186)

まだまだ、条文の読み込みが足りないようですので、ご指導よろしくお願いします。

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