TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

190号 ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上時期等2 (有効性の判定)

法人税法第61条の6第1項は、内国法人が(ヘッジ対象資産等損失額)を減少させるためにデリバティブ取引等を行った場合において、

 

当該デリバティブ取引等を行った時から事業年度終了の時までの間において当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする第1号に規定する資産若しくは負債又は第2号に規定する金銭につき譲渡若しくは消滅又は受取若しくは支払がなく、

 

かつ、当該デリバティブ取引等が当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効であると認められる場合として法人税法施行令第121条で定める場合に該当するときは、

 

当該デリバティブ取引等に係る利益額又は損失額のうち、当該ヘッジ対象資産損失額を減少させるために有効である部分の金額として法人税法施行令第121条の3で定めるところにより計算した金額(有効決済損益額)は、法人税法第61条の4、第61条の5、第61条の9の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入しない旨規定しています。

 

 

デリバティブ取引等を行った場合とは、当該デリバティブ取引等が当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために行ったものである旨その他法人税法施行規則第27条の8第1項定める事項を同条第2項で定めるところにより帳簿書類に記載した場合に限ります。

 

 

 

法人税法施行規則第27条の8(繰延ヘッジ処理)第1項は、財務省令で定める事項とは、デリバティブ取引等によりヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする資産又は負債及び金銭並びにそのデリバティブ取引等の種類、名称、金額、ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする期間その他参考となるべき事項(ヘッジ対象等の明細)する旨規定しています。

 

 

第2項は、財務省令で定めるところにより帳簿書類に記載した場合とは、デリバティブ取引等を行った日において、資産若しくは負債の取得若しくは発生又はそのデリバティブ取引等に係る契約の締結等に関する帳簿書類に法第61条の6に規定する旨及びヘッジ対象等の明細を記載した場合とする旨規定しています。

 

(有効性の判定)

法人税法施行令第121条(繰延ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定等)第1項は、ヘッジ対象資産損失額を減少させるためにデリバティブ取引等を行った内国法人は、期末時又は決済時において、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法により、そのデリバティブ取引等がそのヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効であるか否かの判定(有効性判定)行わなければならない旨規定しています。

 

1 資産又は負債に係るヘッジ対象資産等損失額を減少させるためにそのデリバティブ取引等を行った場合には、期末時又は決済時におけるそのデリバティブ取引等に係る利益額又は損失額とヘッジ対象資産評価差額とを比較する方法

 

2 金銭に係るヘッジ対象資産等損失額を減少させるためにそのデリバティブ取引等を行った場合には、期末時又は決済時における利益額又は損失額とヘッジ対象金銭受払差額とを比較する方法

 

 

 

法人税法施行令第121条第2項は、次の用語を定義しています。

ヘッジ対象資産評価差額とは、デリバティブ取引等を行った時における価額とその期末時又は決済時における価額との差額をいいます。

 

また、金利の変動や外国為替の売買相場の変動等特定事由といい、その資産又は負債の価額の変動に伴って生ずるおそれのある損失の額のみを減少させる目的でそのデリバティブ取引等を行い、かつ、そのデリバティブ取引等を行った日においてその旨を財務省令で定めるところにより帳簿書類に記載した場合(価額の特定事由ヘッジの場合)には、その特定事由に係る部分の差額をいいます。

 

 

ヘッジ対象金銭受払差額とは、デリバティブ取引等を行った時において算出した額とその期末時又は決済時において算出した額との差額をいいます。

特定事由によるその金銭の額の変動に伴って生ずるおそれのある損失の額のみを減少させる目的でそのデリバティブ取引等を行い、かつ、そのデリバティブ取引等を行った日においてその旨を帳簿書類に記載した場合(金銭の特定事由ヘッジの場合)には、その特定事由に係る部分の差額をいいます。

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