TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

189号 ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上時期等1(有効性の判定)

ヘッジには、繰延ヘッジ時価ヘッジがあります。ヘッジ会計の目的が、原資産とヘッジ資産の損益を同一会計期間に認識することによって、損益を相殺させることです。

 

 

そこで、繰延ヘッジは、原資産の損益の認識が翌事業年度でヘッジ資産が当事業年度の場合にその損益を翌事業年度に繰り延べる処理です。時価ヘッジとは、逆に原資産が当事業年度に損益を認識するにもかかわらず、ヘッジ資産の損益の認識が翌事業年度の場合に、当事業年度にその損益を時価で認識しようとするも のです。

 

 

 

法人税法第61条の6(繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ)第1項は、内国法人が次に掲げる損失の額(ヘッジ対象資産等損失額)を減少させるためにデリバティブ取引等を行った場合において、

 

 

当該デリバティブ取引等を行った時から事業年度終了の時までの間において当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする第1号に規定する資産若しくは負債又は第2号に規定する金銭につき、

 

 

譲渡若しくは消滅又は受取若しくは支払がなく、かつ、当該デリバティブ取引等が当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効であると認められる場合として法人税法施行令第121条で定める場合に該当するときは、

 

 

当該デリバティブ取引等に係る利益額又は損失額(決済損益額、みなし決済損益額、為替 換算差額)のうち、当該ヘッジ対象資産損失額を減少させるために有効である部分の金額として法人税法施行令第121条の3で定めるところにより計算した金額(有効決済損益額)は、法人税法第61条の4、第61条の5、第61条の9規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入しない旨規定しています。

 

1 資産(売買有価証券を除く)又は負債(期末時換算資産等を除く)の価額の変動に伴って生ずるおそれのある損失

 

2 資産(売買有価証券を除く)の取得若しくは譲渡、負債(期末時換算資産等を除く)発生若しくは消滅、金利の受取若しくは支払その他これらに準ずるものに係る決済により受け取ることとなり、又は支払うこととなる金銭の額の変動(期末時換算資産等を除く)に伴って生ずるおそれのある損失

 

 

デリバティブ取引等を行った場合とは、当該デリバティブ取引等が当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために行ったものである旨その他法人税法施行規則第27条の8第1項で定める事項を同条第2項で定めるところにより帳簿書類に記載した場合に限ります。

 

 

 

法人税法第61条の6第4項は、デリバティブ取引等とは、次に掲げる取引をいう旨規定しています。

1 法人税法第61条の5に規定するデリバティブ取引

2 法人税法第61条の2第20項に規定する有価証券の空売り並びに信用取引

3 法人税法第61条の9に規定する外貨建資産等を取得し、又は発生させる取引

 

 

 

法人税法第61条の5(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)第1項は、内国法人がデリバティブ取引を行った場合において、当該デリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないもの(為替予約取引等を除く。)(未決済デリバティブ取引)があるときは、

 

 

その時において当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして法人税施行規則第27条の7第3項定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額(みなし決済損益額)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する旨規定しています。

 

 

 

法人税法第61条の5第3項は、内国法人がデリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合には、

 

その取得の時における当該資産の価額とその取得の基因となったデリバティブ取引に係る契約に基づき当該資産の取得の対価として支払った金額との差額は、

 

当該取得の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する旨規定しています。

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