TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

186号 特定株主欠損金

特定株主等によって支配された欠損等法人の資産の譲渡等損失額

 

法人税法第60条の3第1項は、欠損等法人適用事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間において生ずる特定資産の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由(譲渡等特定事由)による損失の額譲渡等損失額は、当該欠損等法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

 

 

欠損等法人とは、法人税法第57条の2第1項(特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用)に規定されています。

 

特定資産とは、欠損法人等が特定支配日の属する事業年度開始の日において有する資産及び適格組織再編成等により移転を受けた資産のうち、法人税法施行令第118条の3で定めるものをいいます。

 

譲渡等損失額とは、譲渡等特定事由が生じた日の属する事業年度の適用期間において生ずる特定資産の譲渡又は評価換えによる利益の額がある場合には、当該利益の額を控除した金額をいいます。

 

 

 

第2項は、欠損等法人がその適用期間内に自己を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とする適格組織再編成等によりその有する特定資産当該適格組織再編成等に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(合併法人等)に移転した場合には、当該合併法人等を第1項の規定の適用を受ける欠損等法人とみなして、この条の規定を適用する旨規定しています。

つまり、含み損を持った資産を移すことによって租税回避ができるからですね。

また、欠損法人って言っても、国内移転価格で利益を移すことは結構簡単ですからね。

 

 

第3項は、第2項の合併法人等が適格組織再編成等により移転を受けた特定資産に係る譲渡等損失額の計算その他第1項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める旨規定しています。

 

 

 

法人税法施行令第118条の3第2項は、政令で定めるものとは、特定支配日の属する事業年度開始の日(特定支配事業年度開始日)において有し、又は適格分割等(適格組織再編成等)により移転を受けた固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産並びに法人税法施行令第122条の14第13項(完全支配関係ある法人の間の取引の損益)に規定する調整勘定の金額に係る資産及び法人税法第62条の8第1項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定 の損金算入等)に規定する資産調整勘定の金額に係る資産とする旨規定しています。

 

なお、適格合併に該当しない合併により移転を受けた資産にあっては、完全支配関係がある法人の間の取引であるものに限ります。

 

また、資産調整勘定については、当該特定支配事業年度開始日又は当該適格分割等の日における価額とその帳簿価額との差額が当該特定支配事業年度開始日又は当該適格分割等の日における当該欠損等法人の資本金等の額2分の1に相当する金額と1,000万円とのいずれか少ない金額に満たないものを除きます。

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