第3号 納税義務者でないのに加算税が課されるのですか
こんな場合は加算税は課されます。
(事案)
法人Aは、消費税の納税義務者ではなかったが、ある日、消費税の基準期間の課税売上高が1000万円以上であるとした法人税修正申告をし、同時に消費税課税事業者の届出をするとともに消費税の還付の申告をしました。
税務署は、還付保留のまま調査をした結果、基準期間の課税売上高は1000万円未満であるとして、消費税の税額は0円である更正を行い、同時に過少申告加算税を賦課決定しました。
法人Aは、本税はともかく、過少申告加算税は納税者に課されるのであって、税務署は納税者でないとして更正をしているので、納税者でない者に対して過少申告加算税を賦課決定できないと主張して不服申し立てを行いました。
(法令)
国税通則法第65条(過少申告加算税)第1項は、期限内申告書が提出された場合において、修正申告書の提出又は更正があったときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第35条(申告納税方式による国税等の納付)第2項の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨規定しています。
また、
国税通則法第2条(定義)第1項第5号は、納税者を、国税に関する法律の規定により源泉徴収による国税以外の国税を納める義務がある者及び源泉国税による国税を徴収して国税を納付しなければならない者をいう旨規定しています。
消費税法第5条(納税義務者)第1項は、事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある旨規定しています。
さらに、消費税法第9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)第1項は、事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1000万円以下である者については、第5条第1項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する旨規定しています。
(納税者の主張)
そうすると、納税者の主張するように、基準期間の課税売上高が1000万円以下であるとなると、消費税を納める義務が免除され、消費税法第5条の納税義務者でなくなります。
さらに、国税通則法第2条の納税者でなくなることから、国税通則法第65条の納税者でなくなり、したがって、過少申告加算税を賦課決定できないこととなります。
(考え方)
納税者の主張どおりであるとすると、過少申告加算税の賦課決定をすることができなくなります。
さらに、そもそも更正処分をすることができるのかという問題や本件は還付保留であったが還付していた場合、国税徴収法が適用されるのかという問題もあります。
さらに、再調査が行われて、基準期間の課税売上高が1000万円以上となった場合に、当初の消費税申告書はどうなるのかという問題がでてきます。
そうすると、当該納税者の真実の基準期間の課税売上髙は不明であり、それぞれの時点において認識されている課税売上高になります。
現在であれば、調査に基づいて基準期間の課税売上高は1000万円以下と認識されています。
税務署は、納税者からの申請や申告があるまで、そして、無申告であれば調査により基準期間及び課税期間の課税売上高や課税仕入れを把握するまで、更正や決定処理をすることができません。
そして、納税者からの申請や申告をもって始めて、課税関係に入ることとなります。
そして、いったん、納税者が自ら納税者(課税事業者)であると申告してきた場合、税務署は、一次的にはこれを納税申告書として取り扱わざるを得ません。
そして、調査の結果、納税義務がないものとその時点で判断したのであれば、当該申告書を、無効とするのではなく、納税額又は還付額がないとして更正することとなります。
なお、そもそも、納付税額も還付もない場合には更正することもできないのではないかと考えます。
したがって、自ら納税者であると申告してきた者は、税務署長が、納税者でないとするまでは納税者であって、当該申告書を、納税申告書として扱い、
調査の結果、還付税額がないとした場合は、還付税額が0円であるとして更正処分をし、当該更正により納付税額が発生する場合は、
この申告書の提出者は、当該申告書の課税処分までは納税者であるとして扱われ、過少申告加算税が課されることとなります。
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