第6号 事業税の翌事業年度における認容はするのしないの
法人税基本通達9-5-2(事業税の損金算入の時期の特例)は、当該事業年度の直前の事業年度分の事業税については、9‐5‐1(租税の損金算入の時期)にかかわらず、当該事業年度終了の日までにその全部又は一部につき申告等がされていない場合であっても、当該事業年度の損金の額に算入することができるものとする旨定めています。
これは、事業税(地方特別法人税を含む。)については、原則として、法人税法上の所得金額をその課税標準とするものであるため、法人税の更正に連動してその課税が修正されるという事情があります。
そこで、法人税について、2期以上の連年同時更正を行う場合にはその担税力等を考慮して、
本通達において、たとえ翌事業年度末までに事業税の全部又は一部につき申告がされていない場合であっても、その納付すべき税額を見積もり、これを翌事業年度の損金の額に算入することができるという事業税の損金算入時期の特例です。
したがって、この特例は「当該事業年度の損金の額に算入することができる」という表現をとり、債務確定基準の特例として行政裁量により認められるものであるところから、事業税の損金算入だけを内容とする減額更正は原則としてこれを行わないとしています。
(法人税基本通達逐条解説10訂版p1052)
そうすると、
①当期の事業年度の決算期が変更され、事業年度が1か月となった場合には、事業税の納税申告期限前に決算期が来るので、事業税は確定することがないので、基本通達9-5-2の特例は適用できません。
②同一の事業年度について減額更正された後に増額更正された場合は、減額更正後ではなく、当初申告との差額についての事業税の認容が行われます。
③当初更正(1期処理)に係る増差所得について未納事業税の認定損を計上していない事業年度を翌事業年度に再更正(連年調査で2期処理なので前期が再更正となる場合)する場合、当初更正に係る増差所得を含めて再更正に係る増差所得について未納事業税の認定損を認めることとなります。
(国税庁調査課「法人税及び消費税の処理における誤り易い事例とそのチェックポイント」p 38‐39)
さらに、当初調査(3期処理)で真ん中の期を更正しない場合(申告是認)は、上記のとおり、事業税のみの減額更正はしませんが、
再処理で更正を行う場合、結果的に増額であっても減額であっても事業税を認容した更正をすることとなります。
また、事業税認容に関する裁判例
(東京高裁平成17年2月17日判決・平成18年1月17日最高裁上告不受理)では、第一審で、更正処分が取り消された事件の控訴審において、課税庁側が、第一審で取り消された税額には事業税認容額の減少が考慮されておらず、翌期において取消税額が過大であると主張した事案で、
判決では「各事業年度の所得の計算に当たり損金に算入することができる事業税の額は、当該事業年度の直前期における更正処分によって確定した所得金額(本件裁決により減額された場合は減額後の額)に基づく見積額の範囲に限られるのが相当である。」としています。
そうすると、連続する2期以上に係る複数の増額更正処分がなされた事案において、2回目の増額更正処分を、1回目の増額更正処分の一部まで取り消す場合(審査請求等)における事業税の認容額については、
処理すべき前事業年度の所得金額に基づき計算した金額となります。(移転価格調査の場合に生ずる例)
次に、再更正(減額)の時期が当初更正(増額更正で事業税額の認容をしている。)の時期から相当期間が過ぎている場合、
つまり、当初更正により見積った事業税の申告及び納付も終えて受入事業年度で調整まで終了している場合にまで、再更正(減額)に伴う事業税額の認容の一部取消しによる増額を行う必要があるか否かという問題があります。
しかしながら、上記のとおりであれば、同時処理を行うこととなるでしょう。
移転価格調査において相互協議による減額更正があった場合、課税当局は、事業税の認容の取消し処理はしていないので、審査請求時に一部減額裁決となる場合に、当初更正で、認容した事業税の取消しをすることにより増加所得が生じることとなりますが、審判所は、増額できないのでこの処理をすべきか否かは問題があります。
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