TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

18号  優良宅地ってだれが決めるの

措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)の適用を受けることができるか否か。

 

 

(事件の概要)

個人Aさんは、自己が所有する宅地を造成の目的で不動産会社に譲渡しました。

 

当該譲渡は、同法第2項第12号に該当するものでしたが、やむを得ない事情で、当該法人が、開発許可を2期に区分して申請をしたところ、土木事務所から、条例により開発許可が不要である旨の連絡を受けました。

 

そのため、Aさんは、不動産会社が開発許可の申請をしましたが、単に開発許可が不要であったこと、

また、実際に問題なく造成が完了していることから、開発許可が認められたものとして、優良住宅地等の特例を適用した申告をしたところ、優良宅地でないとして課税を受け、当該土地が、優良宅地か否かが争われました。

 

 

(法令)

措置法第31条の2第2項は、第1項に規定する優良住宅地等のための譲渡とは、次に掲げる土地等の譲渡に該当することにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものをいう旨規定し、

次に掲げる土地等の譲渡とは、第1号ないし第16号の土地等の譲渡である旨規定しています。

 

また、同法第2項第13号は、次に掲げる要件を満たすものに限るとした一団の宅地の造成を行う個人又は法人に対する土地等の譲渡で、当該譲渡に係る土地等が当該一団の宅地の用に供されるものとする旨規定し、また、次に掲げる要件とは、同号イないしハの要件である旨規定しています。

 

 

 

(Aさんの主張)

当該土地の譲渡は、買い手である不動産会社が、開発許可を受ける約束で譲渡したものであること、

 

また、当該土地は優良宅地の要件を満たしており、当初土木事務所もそのように説明していたこと、

 

実際に、当該不動産会社から開発申請が行われており、単に、開発許可が不要であるとされたものであること、

 

実際に問題なく造成を行っており、都市計画法上の造成に当たることから、当該土地は優良宅地に該当し、当該譲渡は、措置法第31条の2の特例を適用することができる旨主張しました。

 

 

 

(当局の主張)

当該土地の造成が2期に区分されたことから、結果的に、都市計画法上の造成に当たらず当該土地は、措置法第31条の2第2項第12号に該当しないことから、当該譲渡は、同条の特例を適用することができない旨主張しました。

 

 

 

(問題)

当局は、当該造成が、都市計画法上の造成に当たらないことを説明しようとして、造成とはなにか、また、都市計画法の趣旨など、膨大な資料を準備しました。

 

しかしながら、当該土地の開発は、実際に造成工事を行っており、この工事が造成でないとは客観的にいえないこと。

土木事務所の資料でも、当初は、開発許可を認可する予定であったことが伺われる事実が判明しました。)

 

問題は、当局が、当該土地の開発が都市計画法上の造成であるのか否かの事実の認定をする必要があるのかとういことです。

 

 

確かに、同条第2項の冒頭で、「優良住宅地等のための譲渡とは」と規定していますが、その後ろに、「財務省令で定めたところにより証明がされたもの」とされており、これを当局は、単なる添付資料程度と考えたのでしょう。

 

更正の理由も造成に当たらずとして、なお書きで証明書も添付されていないとしていました。

 

 

しかしながら、当局が、事実の認定をするものの、税法以外の法律の解釈をするものではありません。

 

 

当該行為が、都市計画法上の開発に当たるか否かの判断は、土木事務所が行うものであって、開発の許可が、必要であるとかないとか、ない場合は、税務署が独自に当該行為が、開発に当たるか否かを判断するというものではありません。 

 

 

都市計画法上の開発に当たるか否かの判断は、「土地等の買取りをする者から交付受けた当該申請書等の書類の写し(措置法施行規則第13条の3第1項13号イ、ロ)を添付すれば足りるのです。

 

 

なお、当該証明書は確定申告書に添付する必要がありますが、調査の途中か、更正後であっても、その時点で、提出することにより当該特例の適用は、認められるものであると考えます。

 

 

さらに、当初申告で、当該特例を適用していなくても、証明書を添付することにより、更正の請求をすることも可能であり、税務署が、当該証明書の内容が誤っているとして、更正することは困難であると考えます。

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