第28号 労災還付金
労働者災害補償保険(通称「労災」)とは、労働者が業務上の災害にあった場合に、事業主が補償する(労働基準法)ものですが、 これを保険として加入を義務づけ、労働者が災害にあった場合に 確実に補償を受けることができるようにした制度です。そのため、保険料は全額事業主の負担となります。
保険料率は、業種によって違っており、その危険度から炭鉱や建設工事業などが高く、屋内工場や屋内事務などは低率となっています。(鉱業8.8%、建築1.3%、出版0.25%)(ちなみに、国家公務員は国家賠償法があるので、加入していません。)
事業主の単位は、事業所ごととなっており、事務職は本社で一つの事業所となり、低い保険料率で、工場は高い料率となります。
また、建設工事などの有期事業と事務や工場などの継続事業に区分されます。
建設会社では、小規模な工事現場が複数あり、常に同時並行している場合は、継続事業として扱うことができます。
さらに、建設工事のように、元請け・下請け業者など複数の事業者が一つの工事現場に存在する場合は、元請のみを事業主として一括して申告・納付することになります。(一定規模の下請けは独自)
そして、保険料は、事業主が支払う賃金総額を基礎に算定されます。
次に、納付方法ですが、継続事業の場合、原則は1年分の全額概算前払いであり(7月10日期限)、翌年7月10日に確定申告をし、精算払いとなりますが、同時に翌年分の前払いが始まりますので、過払金は充当することになります。
なお、1年を3期に区分し、各期に分割した前払いをすることができます。
有期事業(建設工事)の場合も、事業を始めて20日以内に事業の全期間分(賃金総額を見込みで計算する)を概算保険料として前払いすることとなりますが、1年を3期に区分し、各期に分割した前払いをすることができます。(2年工期は6期)
また、請負金額が変更されたり、労働者の総報酬金額が大きく変更することにより、概算保険料の額は変更され、再計算されます。
最終的に、工事が完了した50日以内に確定申告(精算)を行うこととなります。
災害は、勤務時間中の災害と通勤途中の災害に区分され、さらに、身体に受けた災害と精神に受けた災害に 区分されます。
労災で補償されるものは、その災害によって受けた程度に応じて補償されます。
まず、災害を受けたそれぞれの労働者の賃金から平均的な日額を算出(ボーナス除く) し、災害に応じて、その日額の何日分を一時金で受け取るか、年金として受け取ることができます。
また、医療機関に支払う場合は、 健康保険からの支払ではなく、労災保険からの支払になります。(療養補償給付)
休業中の補償は、賞与を除いた平均賃金の60%程度と特別支給金として20%の補償を受けることができます。(合計80%)
さらに、災害の結果、腕の切断や重症な疾病を抱え、1年6月経過しても、治癒せず障害者となる場合は傷害補償年金を、治癒して障害者となる場合は、障害補償年金をその程度に応じて、年金として補償されることになります。(程度が低い場合は一時金)(年間、平均賃金の131日から313日分)
また、別途、賞与から算出した日額からも補償を受けます。
死亡の場合は、遺族補償給付として、妻には年額153日分(死亡まで)が給付され、子供がいれば人数により追加される。
なお、3年経過すれば、障害が重くてこれ以上働けないとなった場合には、労災保険から給付を受けることを理由に、事業主は解雇することができます。
そうすると、以後、労働者は、災害により労働ができなくなって、さらに、身体に大きな障害を受けた場合、年間に労災保険からの傷病補償給付か障害補償給付がざくっと200万円と社会保険から障害厚生年金がざくっと150万円と障害基礎年金が80万円これに家族手当が年間20万円程度の給付を受け、これで生活をすることになります。
労災で一時金として給付を受ける場合は、ざくっと1000万円です。
これだけの補償ですから、労災の保険料は高いのです。そのため、労災は、事業主が災害を防止し災害者が平均より少ない場合は、報奨金としてその程度に応じて還付をすることになっています。
通称これを「労災メリット」と呼んでいます。(最大40%引きです。)
再計算が必要なので、還付されるまでに結構時間(事業終了後、早くて3月遅くて9月)がかかります。
そこで、問題です。
共同事業体を構成している場合の この還付金の処理です。というのは、出資比率50%ずつの共同企業体JVがあるとすると、工事が完了してJVが解散した後に還付されるこの労災メリットは、原価の減算処理を行う必要があるか。
それとも、事後収益として雑収入になるのか。
また、JVの営業者が全額を営業者のみ収入とする理由はなにかということです。(営業者にのみ通知があって還付される。)
理由は、労災メリットをもらえるように事業の中で頑張ったのは、営業者その人だけであり、共同出資者はなにもしていないので、その配分を受ける理由がないということです。
この考えは、材料代の割戻金を 営業者が全て得ることができるいわゆるスポンサーメリ ットと同じ考えです。
今回は、ちょっと小さな話になりましたが、 『神は細部に宿る』ということで、小さなことからこつこつと頑張りましょう。
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