第92号 消費税法1(課税売上割合の著しい変動)
居住用のマンションの購入又は建設に係る消費税は、居住用の家賃が非課税のため、消費税の申告に当たっては税額控除の対象とすることができません。
そのため、建設期間が長期にあたることなどから、法人設立の1期目を課税事業者の届出をすることにより課税事業者となり、まだ収入がなにもない状態なので、あえて自動販売機を設置することにより、わずかな課税売上げを創出し、課税売上割合を100%にして、建設に係る消費税を全額控除する方法がとられてきました。
しかしながら、この方法は、法改正により網がかけられたのであるが、どのようにかけられたかの改正法を説明します。
消費税法第12条の4(高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例)(平成28年3月法律第15号で追加)第1項は、事業者が、法37条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)第1項の規定の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等については法第9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)第1項本文の規定は、適用しない旨規定しています。
つまり、3年間は消費税の申告が必要になるということです。
なお、「する日」であって「した日」ではないので、つまり、「した日の前日」ということになします。
したがって、上記の場合、初日の課税期間を含めた3課税期間をいうことになります。
高額特定資産とは、棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その価額が髙額なものとして政令で定めたものをいい、政令で定めたものとは、消費税法施行令第25条の5(高額特定資産の範囲)で、消費税法第12条の4第1項に規定する政令で定めるものは、棚卸資産及び調整対象固定資産(対象資産)の区分に応じ、当該各号に定める金額が1000万円以上のものとする旨規定しています。
調整対象固定資産とは、消費税法第2条第1項第16号において、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産でその価値が少額でないものとして政令で定めるものとするとし、消費税施行令第5条(調整対象固定資産の範囲)において、消費税法第2条第1項第16号に規定する政令で定める資産は、棚卸資産以外の資産で次の構築物等としてそれぞれ掲げるもののうち、当該資産に係る法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額が、1の取引の単位につき100万円以上のものとする旨規定しています。
以上までの条文では、単に、課税売上げが1000万円以下の免税の規定の適用がなくなり、非課税だけの売上げ、つまり、課税標準のない消費税の申告をしなければならないだけで、納税額が発生しないので、還付を持ち逃げされてしまいます。
そのため、次に対策となる条文を見てみます。消費税法第33条(課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整)第1項は、事業者が、国内において調整対象固定資産の課税仕入れ等の税額につき比例配分法により仕入れにかかる消費税を計算した場合において、当該事業者が、第3年度の課税期間の末日において当該調整対象固定資産を有しており、かつ、(売却すれば課税売上げとなります。)第3年度の課税期間における通算課税売上割合が仕入れ等の課税期間における第30条第2項に規定する課税売上割合に対して著しく減少した場合(又は増加した場合)として政令で定める場合に該当するときは第1号に掲げる合計額から第2号に掲げる合計額を控除した金額に相当する消費税額をその者の当該第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額から控除します。(つまり、納付するってことです。)
この場合において、当該控除した後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす旨規定しています。
第1号は、第3年度の課税期間の末日において有する当該調整対象固定資産(保有調整対象固定資産)の課税仕入れに係る消費税額(調整対象基準税額)に当該仕入れ等の課税期間における第30条第2項に規定する課税売上割合を乗じて計算した消費税額の合計額
第2号は、調整対象基準税額に通算課税売上割合を乗じて計算した消費税額の合計額をいいます。(3年通期ってこと)
消費税法第33条第2項は、第1項に規定する比例配分法とは、課税売上割合を乗じて計算する方法をいい、(つまり、比例配分方式とは、調整対象固定資産に比例配分法を適用した場合のほか、個別対応方式の共通部分と課税売上割合が100%であるとして全額を控除対象とした場合のことをいいます)
第3年度の課税期間とは、仕入れ等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいい、
通算課税売上割合とは、仕入れ等の課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間において適用されるべき課税売上割合を政令で定めるところにより通算した課税売上割合をいいます。
消費税法第33条第3項は、第1項の規定により同項第1号に掲げる合計額から同項第2号に掲げる合計額を控除した金額に相当する消費税額を当該第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額から控除しきれない金額があるときは、当該控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして当該第3年度の課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算します。(つまり、マイナスの税額控除となるので課税しますってこと)
消費税法施行令第53条(課税売上割合が著しく変動した場合)第2項は、法第33条第1項に規定する著しく減少した場合として政令で定める場合は、仕入れ等の課税期間における課税売上割合のうちに仕入れ等の課税期間における課税売上割合から通算課税売上割合を控除した割合の占める割合が100分の50以上であり、かつ、当該課税売上割合から当該通算課税売上割合を控除した割合が100分の5以上である場合とする旨規定している。
第1項は、著しく増加した場合を規定しています。
第3項は、法第33条第2項に規定する政令で定めるところにより
通算した課税売上割合とは、次の第1号に掲げる金額のうちに第2号に掲げる金額の占める割合とする旨規定しています。
第1号は、当該事業者が、仕入れ等の課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間 (通算課税期間)中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額の合計額から、通算課税期間中に国内において行った施行令第48条(課税売上割合の計算方法)第1項第1号に規定する資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
第2号は、当該事業者が、通算課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、イに掲げる金額から口に掲げる金額を控除した金額の合計額(つまり税抜き価額)を控除した残額
イ 通算課税期間中に国内において行った売上げに係る対価の返還等の金額
口 通算課税期間中に国内において行った売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に63分の80を乗じて算出した金額(地方消費税額を含めた金額に調整している)
消費税法基本通達12-3-1(通算課税売上割合の計算)は、法第33条第1項の規定は、仕入れ等の課税期間と第3年度の課税期間との間に免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間が含まれている場合にも適用される旨定めています。(消費税法第33条の趣旨は、調整対象固定資産が、長期にわたって使用されるものであり、課税仕入れ時の状況のみで仕入税額控除を完結させることは必ずしも適切でないとしている。)
消費税法基本通達12-3-2 (課税売上割合が著しく増加した場合)は、消費税法施行令第53条第1項の適用に当たり、仕入れ等の課税期間において課税資産の譲渡等の対価の額がなく、仕入れ等の課税期間の翌課税期間から第3年度の課税期間までの期間においては課税資産の譲渡等の対価の額がある場合には、当該通算課税売上割合が100分の5以上であるときは、法第33条第1項に規定する課税売上割合が著しく増加した場合に該当するものとして取り扱う旨定めています。(つまり、仕入れ等の課税期間の課税売上がない場合は、第3年度の変動割合は50%以上であるとみるっていうことになります。)(また、著しく減少する場合もこの通達と同様であると考えます。)
消費税法基本通達12-3-3 (調整対象固定資産を中途で売却した場合等の不適用)は、法第33条第1項の規定は、調整対象固定資産を同項に規定する第3年度の課税期間の末日において有している場合に適用があるのであるから、当該調整対象固定資産について、除却、廃棄、滅失又は譲渡があったため、当該第3年度の課税期間の末日において当該調整対象固定資産を有していない場合には、同項の規定の適用はない旨定めています。
地下鉄東梅田駅から徒歩3分という便利なロケーションで税務のご相談を承っております
概要
| 会社名 | TK税務&法務事務所 【一般社団法人租税高度困難事案研究所】 |
|---|---|
| 住所 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3-600号 大阪駅前第3ビル6階6-2号 |
| 電話番号 | 06-6131-5335 |
| 営業時間 | 9:00~17:00 |
| 定休日 | 土曜日 日曜日 祝日 |
| 最寄り | 東梅田駅より徒歩3分 |
アクセス
お問い合わせ
関連記事
-
2023.04.17事務所通信第242号 証券アナリスト コーポレート・ファイナンス
-
2022.10.01事務所通信第204号 租税回避行為シリーズ7 オーブンシャホールディング事件(最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決)
-
2022.09.29事務所通信第202号 租税回避行為シリーズ5 りそな外税控除否認事件(最高裁平成17年12月19日第二小法廷判決)
-
2022.09.23事務所通信第196号 グループ通算税制1
-
2022.09.17事務所通信第190号 ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上時期等2 (有効性の判定)
-
2022.09.16事務所通信第189号 ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上時期等1(有効性の判定)
-
2022.09.09事務所通信第187号 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
-
2022.09.07事務所通信第186号 特定株主欠損金2
-
2022.08.03事務所通信第156号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part12 (株式交換5 )
-
2022.08.02事務所通信第155号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part11(株式交換4)
-
2022.08.01事務所通信第154号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part10 (株式交換3)
-
2022.07.31事務所通信第152号 有価証券の取得価額Part 6 株式交換
-
2022.07.30事務所通信第151号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part 9 (株式交換2)
-
2022.07.29事務所通信第150号 繰越欠損金Part 3
-
2022.07.25事務所通信第149号 法人税法施行令第8条(資本金等の額)Part 8(株式交換1)