TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

206号 租税回避行為シリーズ9 無利息融資と法人税法第22条第2項

無利息融資と法人税法第22条第2項

請求人は、子会社に対して事業を支援する目的で、無利息で融資する契約を締結した。原処分庁は、この無利息融資に対して利率10%による利息相当額を寄附金と認定して更正処分を行った。

 

 

第1審判決(大津地裁昭和47年12月13日判決)

租税回避行為による否認を理由として益金に算入することはできないとして、請求人の主張を認容し、更正処分を取り消した。

参考:本件取引は、請求人に対して利息相当額を収益とし、同額を寄附金(債務免除)として費用に計上し、その上で、当該費用を寄附金として認定している

 

 

第2審判決(大阪高裁昭和53年3月30日判決)

利率を6%として、原判決変更(更正処分の一部取り消しを行った。)

 

 

法22条2項の収益計上について

法22条2項の収益とは、資本等取引以外において資産の増加の原因となるべき一切の取引から生じた収益の額をいうべきものとする趣旨と解される。資産の無償譲渡は、実質的にみた場合、資産の有償譲渡によって得た代償を無償で給付したのと同じである。したがって、担税力を示すものと見て、法22条第2項はこれを収益発生事由として規定したものと考えられる。金銭の無利息貸付が行われた場合、貸主に収益があったというためには、貸主に何らかの形でこれに見合う経済的利益の享受があったことが認識しうるのでなければならない

 

金銭を他人に貸し付けた場合には、借主の方においてこれを利用しうる期間における果実相当額の利益を享受しうるに至るのである。ここで貸主から借主への利益の移転があったものと考えられる。次に、金銭の貸し付けに利息を徴するか、利率をいかにするかは私的自治に委ねられている。しかしながら、営利を目的とする法人にあっては、何らの合理的な経済的目的も存しないのに、無償で果実相当額の利益を他に移転するということは、通常ありえないことである。

 

したがって、営利法人が金銭の無利息の約定で他に貸付けた場合には、当該貸付がなされる場合にその当事者間で通常ありうべき利率による金銭相当額の経済的利益が借主に移転したものとして顕在化したといいうるのである。これが、法人の収益として認識されることとなるのである。

 

 

 

寄附金について

寄附金が法人の収益を生み出すのに必要な費用といえるかどうかは、きわめて困難な問題である。もしそれが法人の事業に関連を有しない場合には、明白に利益処分の性質をもっと解すべきである。法は、行政的便宜及び公平の維持の観点から、一種のフィクションとして、統一的な損金算入限度額を設け、寄附金のうち、その範囲内の金額は費用として損金算入を認め、それを超える部分の金額は損金に算入されないものとしている。

 

したがって、経済的利益の無償の供与等に当たることが肯定されれば、それが事業と関連を有し法人の収益を生み出すのに必要な費用といえる場合であっても、寄附金性を失うことはないというべきである。

 

 

 

検討 収益が生じる根拠

判旨は、無償取引を通常の対価を伴う有償取引及び受領した対価の相手方への移転という二段階取引を重視し、第1段階取引で収益が発生しているとしている(有償取引同視説)  学説は、正常な対価で取引を行なった者との間の負担の公平を維持するために無償取引から収益が生ずることを擬制したという考えである。(適正所得算定説)

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