第211号 社会保障判例シリーズ(年金2)
障害基礎年金の支給要件と「初診日」の意義(最高裁平成20年10月10日第二小法廷判決)
事実の概要
国民年金に任意加入していなかった21歳の大学生が、統合失調症の診断を受け、障害基礎年金の請求をしたところ、国民年金の加給していないことを理由に、支給しない旨の処分を受けた。
一審判断(東京地裁平成17年10月27日判決)
「統合失調症については、発病から医師の診療を受けるまでの期間が、患者本人や家族の偶然的な判断、行動に左右され、長期化する傾向もあることから、初診日をもって画一的に発病の日とみることは、医学的見地からみても一般的に合理性があるとは言い難く」、
「医師の診断により、20歳となる前に統合失調症の症状が発現し、医師の診療を受けることが必要になったことを医学的に証明しているから、本件処分時において、20歳前障害基礎年金の支給要件を満たしていた」として請求を容認した。
最高裁判断
「初めて医師の診療を受けた日において被保険者であることなどを定めている。」「初めて医師の診療を受けた日を初診日という旨規定している。」
「国民年金は、発症日ではなく初診日を基準として障害基礎年金の支給要件を定めているが、これは、国民年金事業を管掌する政府において個々の傷病につき発症日を的確に認定するに足りる資料を有しないことにかんがみ、医学的見地から裁定機関の認定判断の客観性を担保するとともに、その認定判断が画一的かつ公平なものとなるよう、当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害基礎年金の支給に係る規定の適用範囲を画することとしたものであると解される。」
文理解釈・・20歳前初診日とは解釈できない
拡張解釈・・本件規定を充足するのであれは、20歳後の初診日であっても、統合失調症のように発症後初診日まで長期化する場合は、20歳前初診日と解釈する
実質的救済解釈・・一定の要件を満たす場合には、20歳後の初診日であっても審査機関の判断の統一性、公平性に趣旨を没却しない場合は、20歳前初診日と解釈する
最高裁は、文理解釈を採用した。
その後、平成16年に制定された障害者特別給付金法により、画一的ではなく、個別の事情に応じて初診日を認定することが法の趣旨及び目的に適うとしてされるようになった。(実質的救済解釈)
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