TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

216号 租税判例シリーズ(法人税2 事前確定届出給与)

事前確定届出給与(東京地裁平成24年10月9日判決)

 

 

(事実の概要)

Xは、平成20年11月26日に開催された本件事業年度(平成20年10月1日から平成21年9月30日まで)の直前の事業年度の定時株主総会において、役員に対する支給額(月額報酬、冬季・夏季賞与)を決議し、平成20年12月22日(総会から1月以内)事前確定届出給与に関する届出をした。

 

Xは、平成20年12月1日、冬季賞与を届出通り支給した。次に、平成21年7月6日に臨時株主総会を開催し、本件事業年度の厳しい経済状況による業績の悪化を理由に、夏季賞与を減額することを決議した。

Xは、平成21年7月15日に夏季賞与を支給した。なお、本件においては、Xは、夏季賞与の減額について、変更届出を期限までに提出していなかった。

 

 

以上から、Xは、夏季賞与については損金不算入として、冬季賞与については損金算入としていた。これに対して原処分庁は、本件冬季賞与についても損金不算入として更正処分をした。

 

 

 

判決

事前確定届出給与制度は、役員給与の支給の恣意性を排除し、租税回避を防止することにその趣旨があることを明らかにした。事前の定めに係る確定額を高額に定めていわば枠取りをしておくことは、課税の公平を害することとなる。

 

 

複数回にわたる支給について

「特別の事情がない限り、個々の支給ごとに判定すべきものではなく、当該職務執行期間の全期間を一個の単位として判定すべきものであって、当該職務期間に係る当初事業年度又は翌事業年度における全ての支給が事前の定めの通りにされたものであるときに限り、当該役員給与の支給は事前の定めのとおりにされたこととなり、当該職務執行期間に係る当初事業年度又は翌事業年度における支給中に1回でも直前の定めのとおりにされたものではないものがあるときには、当該役員給与の支給は全体として事前の定めのとおりにされなかったこととなると解するのが相当である。」

 

 

 

法人税法施行令69条5項の救済措置

本件は、変更期限までに変更の届出をすれば、足りる案件であった。本件では、一の職務執行期間中に1回でも事前の届出どおりに役員賞与が支給されなかった場合、事前の定めに従った冬季賞与まで損金不算入なるかが問題となった。

 

 

事前確定届出給与の届出は、手続上、各役員の各支給期間における各支給額が問題となるのであり、法は、職務執行期間の全期間を一個の単位とするよりも、個々の支給ごとに判定することを予定しているように読める。

 

 

国税庁「平成19年3月13日付課法2-3ほか課共同(法人税基本通達等の一部改正について)(法令解釈通達)の趣旨説明」の中でも、当初事業年度の損金算入を許しても差し支えないとしている。

 

なお、特別の事情について、明治学院大学の渡辺充教授は、当初設定額を減額しなければならない合理的な事情があり、かつ不相当に高額な枠取りをして恣意的に一部の役員給与についてのみことさらに減額しているような状況でないときは、納税者に本件規定が防止しようとする租税回避の意図がないとして、法解釈上も、再度変更に関する特別な手続を要せずとも、その損金算入性は認められるべきではないかという意見である。  

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