TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

221号 租税法律シリーズ(所得税4)

雑所得と損益通算の可否(福岡高裁昭和54年7月17日判決)

 

 

事実の概要

会社役員のXは、商品市場における先物商品の売建玉を年末において未決済となっていたため、同建玉に見合う商品の買付決済をすることとしたが、証券会社が失念し、翌年1月5日に決済した。

Xは、当該取引が年末に行われたとして、売買損失の金額を他の雑所得から控除して申告したところ、課税庁は、当該損失は翌年の損失であるとして課税処分をした。

 

 

第1審は、課税庁主張どおり、翌年の損失であるとした。

第2審では、Xは、当該商品先物取引にかかる所得は、雑所得ではなく、損益通算が可能な事業所得であると主張した。ところ、控訴棄却した。

 

 

判旨

事業所得とは、対価を得て継続的に行う事業から生ずる所得を指称するところ、事業とは、社会通念に照らし事業と認められるもの、すなわち、個人の危険と計算において独立的に継続して営まれ、かつ事業としての社会的客観性を有するものと解すべきであるとした。

 

 

雑所得と他の所得の間には所得の発生する状況に差異があり、雑所得においては、多くは余剰資産の運用によって得られるところのものであり、その担税力の差に着目すれば、雑所得に他の所得との損益通算の規定がないことにはそれ相当の合理性を認めることができる。

 

 

商品先物取引のように投機性が強く、安定した収益を得られない取引から生じた損失について、投資の失敗に基づく損失を所得を得るために必要な支出と捉えるのではなく、所得の処分・消費に過ぎないと捉える考え方のようである。

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