第233号 証券アナリスト 経済データ分析
(国民所得統計とマクロ経済)
今後のマクロ経済の動向を予測する。景況感について、国民総支出が減少していると、景気が悪い状況である。また、需要項目を見て住宅投資や企業の設備投資から民間の投資活動を見る。
民間最終消費支出と家計最終消費支出は一致する貯蓄・投資バランス勘定の民間企業総固定資本形成(設備)+在庫品増加は、名目国内総支出の民間企業設備+民間在庫品増加と一致する。国内の資金が余剰であり、反対に海外の資金が不足となっている場合、わが国の資金余剰が海外の資金不足を埋めるため、対外債権が増加することとなる。
今後不況対策として減税されると、政府部門の税収が減少し、同時に政府部門の貯蓄投資差額も減少する。家計部門と民間企業部門は、税金の支払いが減少し、貯蓄投資差額が増加する。
減税の財源を国債発行によった場合、各部門の貯蓄投資差額を変動させるが、国内全体の貯蓄投資差額は変化しない。したがって、国内の資金状況に変化がないので、この段階で国債相場に影響はない。しかし、次に、家計や民間企業の貯蓄投資差額の増加が民間の経済行動を変化させ、これらの部門の消費や投資が拡大すると、それに伴い国内の貯蓄投資差額が減少し、国内資金の余剰幅が減少して、金利上場の圧力がかかり国債相場は下落する。
(政府経済見通し)
寄与度について
民間最終消費支出の寄与度は、翌年見通し―本年実績を本年の国内総生産で割ったもの
物価の動向について
国内企業物価指数及び消費者物価指数の変化率でみて、小さければ物価は安定した状態であるといえる。
労働分配率について
労働分配率は、雇用者報酬を国民所得で割ったもので、その推移をみて状況を確認する。
外需寄与度について
純輸出であるが、対前年度比増減率でみる。為替レートが円高になると、その結果輸出が減少する。さらに、貿易相手国の経済状況で、原油価格が上昇するとわが国の輸入額は大きくなる。
経済成長率の名目値と実質値の変化率ベースの差は物価の変動率であり、実質成長率が名目成長率を上回っている場合は、物価の下落でありデフレとなっている。経常収支の黒字が拡大したり、物価が上昇していないと円高となる。
景気回復局面では賃金上昇が遅れ気味になるため、労働分配率は低下する。また、技術進歩と労働のグローバル化が要因でもある。これは、IT化の進展が非熟練労働への需要を減らし、日本を含む先進国で労働分配率を大きく低下させた。グローバル化による労働分配率の押下げは、労働集約財の輸入による輸入価格の低下と、国内での資本集約的な財へのシフトによる輸出価格の上昇等よる労働への需要の相対的な減少というルートが想定される。
(労働市場の分析)
人手不足の人数(欠員数)と失業者数が一致しているときの失業率を構造的失業率とし、それ以外に発生する失業は、景気の変動(景気の悪化)に伴って発生する循環的失業率(需要不足失業率)と考える。
構造的失業率が生じた場合、労働移動をスムーズにするために職業訓練のための学校を作ったり、職業安定所の機能強化等を図るなどして、需給のミスマッチを減らす政策が望まれる。
景気後退していることによる失業率の上昇には、需給拡大策を実施して失業率を低下させる政策が望まれる。そのためには、公共投資又は減税である。公共投資の拡大は、直接的な需要として作用するため、即効性があり、失業者が増加している状況で景気を回復させるために望ましい。
減税によって、可処分所得を増加せることによって、消費者が中長期的な消費計画を練り直すことに繋がれば、消費の拡大による需要の拡大は持続的なものとなる可能性がある。
失業率が高止まりしたままの場合、欠員率が拡大しており、ミスマッチの解消と需要不足の両方を解消する政策が必要である。デフレが進むと、実質賃金を上げるため、雇用を減らす、売上高が低迷するため、賃金を減らす方向に進むこととなる。しかしながら、賃金を減らすと、所得の減少によって消費が減少する。
(雇用状況の推計)
古典派の第一公準である労働の限界生産力は実質賃金に等しいから、雇用量と実質賃金は負の相関をもっている。つまり、係数βの値はマイナスとなる。
雇用の形態が正社員からパートや臨時雇い等に移行している場合、雇用の調整速度は高まる。前期の雇用者数に係る係数が小さくなる場合、つまり、1から前期雇用者数に係る係数を控除した値が大きくなる場合を雇用速度が高まるとして認識している。
GDP増が生じた場合に、生じる可能性がある雇用創出効果が弱まったこと、つまり、生産要素としての労働の資本に対する相対的位置付けが長期的に低下してくると、GDPの係数のαは低下する。そうすると、オークン係数は低下したと考えられる。
オークン係数とは、GDPと失業率の関係を示すもので、生産が増加した場合にどれだけ失業率が低下するかを示すものである。つまり、負の相関がある。また、オークンの法則とフィリップス曲線から物価とGDPの関係を導くことができる。
今後、雇用とGDPとの関係が弱まっていくとした場合、景気が回復しても、直ぐに雇用は回復せず、雇用の増加はこれまでと比べて緩やかなものになる可能性がある。
(国際収支表―国際収支の動向)
経常収支中の所得収支の源泉は、対外直接投資や対外証券投資がもたらす対外債権の大きさに依存している。対外債権残高は、これまでの経常収支黒字の累積によってもたらされる。
したがって、海外への直接投資が引き続き継続し、証券投資の国内への資金還流の金額が縮小すると、所得収支は黒字となる。そのため、経常収支の黒字が減少すれば、対外債権もやがて減少し、その結果、所得収支が減少して経常収支の全体がいっそう減少していくこととなる。なお、外貨準備増はマイナス表示となる。
(資金循環表)
金融取引表の各金融資産項目の増減をみると、家計の資産選択行動をとらえることができる。日銀の超金融緩和政策のもとで生じた金融機関の余剰資金が安全で確実に利ザヤのとれる国債投資に向かった。
個人金融資産の残高は、金融資産・負債残高表の家計部門の合計額である。わが国の資金循環は、銀行によって担われている。国内の余剰資金が銀行経由で国債に向かい、政府の資金需要を賄っている。
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