TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

第360号 証券アナリスト 株価と財務指標

(ROEと株価)

A社とB社は株価対策として、ROEの改善を図ろうとしている。

A社は、ROAが負債利子率よりも高水準なので、負債依存度を高めることを計画

B社は、運用利回りの低い当座預金から自社株買いを行うことと計画

ROE=(ROA+(ROA-負債利子率)×負債/自己資本)×(1-税率)

株価=1株当たり予想配当/(期待収益率-ROE×(1-配当性向))

したがって、ROEが上昇すると、株価も上昇する。

 

また、A社の計画について、A社の場合、ROAが負債利子率よりも大きいので、負債を増やすほどROEは上昇し、株価上昇要因となる。

 

しかし、同時に負債が大きくなると、財務リスクが上昇し、投資家が要求する期待収益率も大きくなるので、必ずしも株価が上昇するとは限らない。

 

B社の計画について、自社株買いとその消却により、自己資本が減少し、なおかつ、原資が運用利回りの低い手元流動性なので、ROEは好転する。

 

しかし、自己資本比率は低下し、負債比率が上昇するので、財務リスクが高まり、投資家の期待収益率が高まって株価は必ずしも上昇しない。

 

期待収益率は、

1 無リスク資産のレート、

2   ビジネスリスク、

3   財務リスクから構成されている。

株価と財務指標(ROEと株価)

A社とB社は株価対策として、ROEの改善を図ろうとしている。

A社は、ROAが負債利子率よりも高水準なので、負債依存度を高めることを計画

B社は、運用利回りの低い当座預金から自社株買いを行うことと計画

ROE=(ROA+(ROA-負債利子率)×負債/自己資本)×(1-税率)

株価=1株当たり予想配当/(期待収益率-ROE×(1-配当性向))

したがって、ROEが上昇すると、株価も上昇する。

また、

A社の計画について

A社の場合、ROAが負債利子率よりも大きいので、負債を増やすほどROEは上昇し、株価上昇要因となる。しかし、同時に負債が大きくなると、財務リスクが上昇し、投資家が要求する期待収益率も大きくなるので、必ずしも株価が上昇するとは限らない。

B社の計画について

自社株買いとその消却により、自己資本が減少し、なおかつ、原資が運用利回りの低い手元流動性なので、ROEは好転する。しかし、自己資本比率は低下し、負債比率が上昇するので、財務リスクが高まり、投資家の期待収益率が高まって、株価は必ずしも上昇しない。

期待収益率は、1 無リスク資産のレート、2ビジネスリスク、3財務リスクから構成されている。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標2(理論株価の算出)

(経済法令出版社の過去問より)

ポートフォリオへの新規組入銘柄として理論価格を推計する。

前日の終値1,900円

A社の直近期の1株当たり配当予想     20

A社の前期期首の1株当たり自己資本   1,000

A社の前期期末の1株当たり自己資本   1,062

A社の前期1株当たり利益                  80

A社の前期1株当たり配当金                18

市場ポートフォリオの期待収益率            9%

無リスク資産レート           2.5% 

A社株式のβ値             0.7

A社の前年度の配当性向は、18/80=0.225

A社の前年度のサスティナブル成長率は、ROE×(1-配当性向)

=80/1,000×(1-0.225)=6.2%

A社株式に対する投資家の期待収益率は、2.5+0.7×(9-2.5)=7.05%

A社株式の理論株価は、直近の1株当たり配当予想/(期待収益率-配当成長率)

20/(0.0705-0. 062)=2,353

したがって、理論株価2,353に対して実際株価が1,900のため割安と判断される。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標3(理論株価の算出-配当割引モデル)

(経済法令出版社の過去問より)

A社は、1株当たり配当40円が続く予想。期待収益率5%

この時の配当割引モデルによる株価は、40/0.05=800円

B社は、1株当たり配当40円が続く予想。配当成長率は、前年度実績のサスティナブル成長率に一致。投資家の期待収益率は7%

自己資本800円 当期純利益72円 支払配当金38円

サスティナブル成長率は、当期の内部留保の期首の自己資本における割合である。

そうすると、

ROE×(1-配当性向)/(1-ROE×(1-配当性向))

ROE×(1-配当性向)=0.09×(1-0.528)=0.04248

サスティナブル成長率は、0.04248/(1-0.04248)=0.444

ROE=当期純利益/自己資本=72/800=0.09

配当性向=支払配当金/当期純利益=38/72=0.528                                                                                                                              

この時の株価は、40/(0.07-0.0444)=1,562.5円

C社は、1株当たり配当40円が続く予想。配当成長率は、B社のサスティナブル成長率と同じだが、6年目以降は、その成長率が半減する。投資家の期待収益率は6%である。

そうすると、5年目までは、配当は1年目40、2年目は、40×(1+0.444)=41.78

3年目は、40×(1+0.444)2=43.63 4年目は40×(1+0.444)3=45.47、5年目は、40×(1+0.444)4=47.59

現在価値は、1年目は、40/ (1+0.06)=37.74 、2年目は、41.78/ (1+0.06)2=37.18、

3年目は、43.63/ (1+0.06)3=36.63、4年目は、45.57/ (1+0.06)4=36.10、5年目は、47.59/ (1+0.06)5=35.56

現在価値合計は、183.21である。

6年目以降は、5年目の現在価値に対して成長率が半減された率を用いて、

35.56×(1+0.0222)/(期待収益率0.06-0.0222)=961.63

したがって、株価は、183.21+961.63=1,144.84円となる

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標4(配当割引モデルと株価)

(経済法令出版社の過去問より)

株価=当期予想の1株当たり配当/(期待収益率-配当成長率)

株価/当期予想の1株当たり利益=株価収益率=配当性向/(期待収益率-配当成長率)

株価収益率=配当性向/(期待収益率-株主資本利益率ROE×(1―配当性向))

成長率の高い企業の場合、将来の配当成長率・サスティナブル成長率は上昇する。したがって、成長率が高ければ高いほど、株価収益率を決める関係式の分母が小さくなり、株価収益率は上昇する。

ROEと株価収益率との関係は、ROEが上昇すればするほど、株価収益率を決める関係式の分母である期待収益率-株主資本利益率ROE×(1―配当性向)は小さくなり、株価収益率は上昇する。

ROEが上昇すれば、株価収益率は上昇する。株主重視の経営

成長率が高いと、将来の配当成長率も上昇するので株価収益率は上昇する。

金利と株価収益率との関係は、金利が上昇すると、債券等の価格が下落し、株価の期待収益率が上昇する。株価収益率を決める関係式の分母が大きくなり、株価収益率は低下する。

期待収益率が上昇すると株価収益率は下落する。

なお、期待収益率は、金利やリスクの影響を受ける。

配当性向と株価収益率との関係は、配当性向が上昇すると、株価収益率を決める関係式の分母と分子ともに大きくなり、株価収益率に与える影響は不明確である。

ROEが期待収益率よりも大きいときは、配当性向が上昇するほど株価収益率は低下する。

つまり、再投資に向けた方が株価収益率が上昇する。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標5(EPSとBPSの計算)

(経済法令出版社の過去問より)

普通株式に係る当期純利益

当期純利益-普通株式以外(優先株式等)への配当金

普通株式に係る期末純資産

純資産-(資本金のうち優先株式等+優先株式等への配当金)

普通株式の期中平均発行済株式数(自己株式数控除前)

期中増加前株式数×月数/12+期中増加後株式数×月数/12

普通株式の期中平均自己株式数

期中増加前株式数×月数/12+期中増加後株式数×月数/12

1株当たり当期純利益(EPS)

普通株式に係る当期純利益/(普通株式の期中平均発行済株式数-普通株式の期中平均自己株式数)

1株当たり純資産額(BPS)

普通株式に係る期末純資産/(期末普通株式発行済数-期末普通株式の自己株式数)

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標6(修正EPSの基本)

(経済法令出版社の過去問より)

遡求修正法

古い年度の事象から修正していく

1株が1.2株になる株式分割が最初に行われた

修正係数=1+新規に資金を追加せずに入手した株数/既存保有株数

修正係数=1+0.2=1.2

次に時価発行増資が行われた

修正係数=1+0=1

割当増資が行われた新株発行価格50円時価500円

50円の引き受けなので、時価の500円で引き受けたとすると、

発行株数×50円/500円の時価発行と同じとなる。

そして残りは株式分割を行ったものとみなす。

そうすると、

修正係数=1+株式分割とみなした株数/(直前の株数+時価発行とみなした株数)

そして、新しい年度順に各EPS及びDPSをこの修正係数で割ることによって修正EPS及び修正DPSを算出する。

なお、複数回の修正係数を行う事象が生じた場合は、複数回修正係数で割ることになる。

そうすると、時価発行増資が行われた場合は、既存の株主に影響を与えないため、修正係数による調整は行われない。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標7(修正EPSの計算と潜在株式調整後のEPS)

(経済法令出版社の過去問より)

株式の期中平均株式数が増加している場合には、当期純利益や配当総数が一定であっても、一株当たりの利益EPSや一株当たりの配当DPSが比較できないため、修正係数を計算して株式数に乗じて再計算することとなる。

修正係数は、増資があった場合、株式分割があった場合には、単純に分割割合を乗じて計算し、株式割り当てがあった場合については、割当時の株式数で割ることにより分割割合を算出することとなる。

また、時価発行増資の場合は、既存株主に帰属するEPSと一致するため、修正する必要はない。

また、割当増資で1株につき0.25株の割当を行い(期末株式数200、前期末株式数160)、その発行価額を50円、権利付終値が800円とすると、増加株式数40×発行価額50円=2,000円が振り込まれ、この2,000円÷800円=2.5株が時価発行増資され、40-2.5=37.5株が割当増資されたものとみることができる。

そうすると、前期末株式数160に時価発行増資とみなす2.5を加えた株式に対して37.5株が割当増資されたとみるため、1株が1+3.75/16.25に分割されたとみる。

したがって、1株が1.2308株となったと見る。

新株予約権付社債を発行した場合は、潜在株式調整後のEPSを求めることとなる。

これは、普通株式に係る当期利益に当期利益調整額を加えた金額を普通株式の期中平均株式数に普通株式の増加数を加えた株式数で割ったものである。

普通株式増加数は、新株予約権付社債の新株予約権がすべて行使されるとした場合の増加株式数の期中平均株数(月数按分)である。

当期利益調整額は、新株予約権付社債の新株予約権が行使されれば、社債は代用払込されて消滅するので、社債利息の負担がなくなるため、税金負担増加分を除いた月数按分である。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標8(新株予約権の行使と潜在株式調整後のEPS)

(経済法令出版社の過去問より)

新株予約権の行使による増加株数は、実際増加株数の期中平均増加数を算出する。

行使されなかった場合の潜在株式数は、全額が行使された時の増加株式数を算出し、次に同額で取得できる自己株式数を算出する、これは、発行価額を時価で割って算出する。

そして、全額が行使された時の増加株式数から同額で取得できる自己株式数を控除した株式数となる。

つまり、新株予約権により有利に株式を取得することができる株式数である。

しかしながら、時価が行使価格を下回っている場合の潜在株式数はゼロとなる。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標9(EPS、BPS計算に関する総合問題)

(経済法令出版社の過去問より)

EPSやBPSは、普通株主に帰属する利益と純資産を求めるものであり、優先株式は社債のように取り扱うこととなる。

公募増資や転換証券など新規株主の参入による株式数の増大や、自己株式の取得など既存株主の一部退出による株式数の減少の場合には、期間按分で計算した株式数となる。

株式分割・併合のように既存株主の持分が単純に増減する場合には、期首に株式数の変化があったものとみなして計算する。

株式数は、EPSの場合は、期中平均株式数を、BPSの場合は、期末株式数を使う。

株主割当増資(有償)の場合は、一旦全株が無償で割当られたとして増加株数を計算し、払い込まれた金額を時価で自己株式として買い戻した残高として算出する。

修正EPS・修正BPSとは、期間比較可能にする。

修正は、株式割当の場合は、潜在株式数を算出し、前期と株式数にこの潜在株式数を加えた株式数で、今期の株式数を割って修正係数を算出する。

また、株式分割の場合は、その分割割合とし、株式分割が前々年の場合は、分割割合を上記の株式割当の割合に乗じて修正係数を算出する。

分割割合とは、1株が2株になる場合は、2となる。

転換社債の場合は、株式に転換された場合の株式増加数が潜在株式数となる。

新株予約権付社債の場合は、すべてが行使されたとして増加株式数を算出し、そこから払い込まれた金額で自己株式を購入して控除するとした株式数となる。

ただし、マイナスの場合は、行使しないので潜在株式数はゼロとなる。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標10(財務諸表を利用した収益力分析・株価推定等の総合問題)

(経済法令出版社の過去問より)

自己資本の定義は、株主資本と評価・換算差額等の合計額である。

サスティナブル成長率は、外部から資金を調達することなく、内部留保の再投資によって得られる自己資本の成長率である。

定率制調型配当割引モデルにおける株価は、直近期の1株当り配当を期待収益率マイナス配当成長率で割ったものである。

そうすると、両辺をEPSで割ると、PER=直近期の配当性向割る期待収益率マイナス配当成長率となる。

当期の設備投資額は、期末有形固定資産残高マイナス期首有形固定資産残高プラス減価償却費である。

内部資金は、利益準備金プラスその他の利益剰余金の増加額に減価償却費を加えたものである。

内部資金のカバー率は、内部資金割る設備投資額である。

証券アナリスト2次試験シリーズ 株価と財務指標11(財務諸表を利用した収益力分析と株価判断の総合問題)

(経済法令出版社の過去問より)

ROE5指標分解法

ROE=税引後利益/税引前利益・税引前利益/事業利益・事業利益/売上高・売上高/総資本・総資本/自己資本

=(1-税率)・金利効果・売上事業利益率・総資本回転率・財務レバレッジ

ROE=(ROA+(ROA‐(ROA‐i)×D/E)×(1-t)

株価=1株当りの予想配当/(期待収益率‐ROE (1-配当性向))

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