TK税務&法務事務所の事務所通信
柏木孝夫税理士・行政書士事務所
事務所通信

第227号 証券アナリスト オルタナティブ投資

オルタナティブ投資(代替投資)の一つであるプライベート・エクイティ既存のポートフォリオに組み入れた場合、どのような効果が期待できるか

 

 

プライベート・エクイティは、ハイリスク・ハイリターンの商品であるが、小型の公開株式と比較して市場指数との相関が低いため、ポートフォリオのリスク低減効果が期待できる。したがって、既存の資産との相関が低いことがオルタナティブ投資のメリットである。

 

 

そうすると、たとえ、プライベート・エクイティの収益率が既存のポートフォリオの収益率よりも低くても、相関係数が低いとその資産を組み込むことによりリスクが低減する効果が大きい場合は、組み入れるべきである。

つまり、オルタナティブ商品のシャープ・レシオが既存のポートフォリオのシャープ・レシオよりも大きいとき、かつ、両者の相関係数が小さい時に組み入れの効果が大きいことがわかる。

 

 

 

マーケット・ニュートラル戦略とはなにか

マーケット・ニュートラル戦略とは、ある資産について、資産価格の変動に関わらず、一定の収益を得ることを狙った戦略であり、例えば、株価指数や債券の裁定取引があげられる。

 

 

オルタナティブ投資

オルタナティブ投資(代替投資)の一つであるプライベート・エクイティを既存のポートフォリオに組み入れた場合、どのような効果が期待できるか。

プライベート・エクイティは、ハイリスク・ハイリターンの商品であるが、小型の公開株式と比較して市場指数との相関が低いため、ポートフォリオのリスク低減効果が期待できる。したがって、既存の資産との相関が低いことがオルタナティブ投資のメリットである。

そうすると、たとえ、プライベート・エクイティの収益率が既存のポートフォリオの収益率よりも低くても、相関係数が低いとその資産を組み込むことによりリスクが低減する効果が大きい場合は、組み入れるべきである。

つまり、オルタナティブ商品のシャープ・レシオが既存のポートフォリオのシャープ・レシオよりも大きいとき、かつ、両者の相関係数が小さい時に組み入れの効果が大きいことがわかる。

 

 

マーケット・ニュートラル戦略とはなにか

マーケット・ニュートラル戦略とは、ある資産について、資産価格の変動に関わらず、一定の収益を得ることを狙った戦略であり、例えば、株価指数や債券の裁定取引があげられる。

 

 

 

(MBS投資)

モーゲージ債の投資家は、金利変動に伴って期限前償還リスクがあるが、期限前償還はどのようなときに起こるか。(金利低下時以外)

1 モーゲージプールの初期の段階では借り換え需要が少ないため期限前償還は少なく、時間の経過とともに期限前返済は増加する。

2 1年間のうち、転勤時期や学校の新学期の時期などには転居による期限前返済が増加する。

 

通常は、金利低下時にローンの借り換えによる期限前償還が発生するが、金利が低下しても期限前償還が増加しないことがある。これは、バーンアウト効果といって、設定からある程度期間が経過したモーゲージ・プールは、すでに何度か金利低下を経験しており、金利低下による借り換え需要が低下することがある。

 

 

インタレスト・オンリー(IO)とは、モーゲージ・プールから発生するキャッシュ・フローのうち利払部分だけを受取る証券である。

プリンジパル・オンリー(PO)とは、借入元本返済部分だけを受取る証券である。

 

IOは、金利が低下するとき、2つの相反する効果がある。1つは、それぞれのキャッシュ・フローの現在価値の増加で価格を上昇させる効果があり、もう1つは、期限前償還による将来のキャッシュ・フローの消滅であり、価格を下落させる効果を持つ。金利が低い局面では後者の効果が前者の効果を上回るため、金利低下により価格が下落する。

 

POの価格変化は、通常のモーゲージ債がコーラブル債に近い動きをするのに比べてゼロクーポン債に近いものになる。したがって、金利が低いときには、POの金利感応度は非常に大きい。また金利が高い時はIOの期限前償還が少ないため、通常の債券に近い金利感応度になる。つまり、POは、金利が高い時は通常のゼロクーポン債と近い価格変動となるが、金利の下落ととともに急激に価格が上昇する。

 

 

したがって、IOを好む投資家は、金利が上昇するという相場観を持つ投資家やALMなどの観点からデュレーションが長すぎるので短期化したいと考えている投資家である。なお、IOは通常の債券とは逆で、負のデュレーションを持つ

 

 

(MBS投資とIO/PO)

期限前償還は、金利が低下した場合に起こるもので、金利がそのままの水準を維持する場合は期限前償還は起こらない。そして、期限前償還が起こるとキャッシュ・フローは増加し、期限前償還が減少するとキャッシュ・フローは減少する。

 

修正デュレーションは、キャッシュ・フローの変化を考慮していないため、金利の変化によってキャッシュフローが変化するMBSの評価には適していない。

 

金利の低下によって、期限前償還が起これば、元本が急速に減少し、IOのキャッシュフローが減少するため、IOの価格は低下する。MBS原債券よりも、IOやPOの方が、期限前償還に対する感応度は高い。なお、IOは期限前償還の増加により価格はマイナスの影響を受ける。POは価格にプラスの影響を与える。

 

 

(ABS投資)

ABS証券(資産担保証券)は優先・劣後構造を採用した証券である。資産を切り離すことによって、①資金調達コストを削減することができる。

さらに、②証券化により資金を回収できるため、資金回転率が改善し新たな貸付が可能となり、また③資産保有に伴うリスクを投資家に転嫁でき、④証券化により資産をバランスシートから外すオフバランス化効果がある。

 

オリジネーターの倒産隔離(バンクラシー・リモートネス)を確保するために、SPCを設立し、SPCへの債権の譲渡が法的に担保取引ではなく、売買取引と認められるような申請売買として、オリジネーターが倒産したときには破産管財人などに対して、SPCが新の債権者であることを主張できるように第三者対抗要件を具備する必要がある。

 

また、SPCを倒産させないために、SPCの業務がABS発行関連業務のみに限定するなどの措置、およびSPCをチャリタブル・トラスト等により自らの倒産手続きを行うことを制限する方策が必要である。

 

チャリタブル・トラストとは、オリジネーターが国内法人で、当該SPCも国内法人の場合、中間に海外にSPCを設立して、海外のSPCが発行する普通株式を海外の慈善団体に信託することにより、国内のSPCの経営が海外の慈善団体の影響だけを受けることにより、オリジネーターの影響を隔離することをいう。

 

また、オリジネーターがABSの元利金の支払いを自社で保証した場合、オリジネーターの債券格付けが、優先債の格付けよりも低いと思われるため、保証機関からの保証を得られない証拠とみなされ、マイナス要因である。

 

また、オリジネーターがABSのサービサー(債権回収受託者)の役割を果たした場合、債権回収能力が低下するリスク(コミング・リスク)を回避するために、信頼できるバックアップ・サービサーを設置するほか、その他の信用補完措置(留保金保有等)によってリスクの低減を図る必要がある。

 

コミング・リスクとは、原債権者の経営難等を原因として、債務者から回収した資金が原債権者の他の資産と混在(コミングル)してしまい、資金の流れが確保できないリスクをいう。

 

 

(CBO投資)

証券会社X社は、4つの債券をもとに、発行額面140億円、償還期間3年のCBO債(社債担保券)を発行する予定である。今このCBO債を優先・劣後構造を用いて、シニア債と劣後債の2クラスの証券に分けて発行する予定である。

 

CBO債の優先・劣後構造とは、複数企業の社債をSPC(特別目的会社)などにいったんプールし、SPCが発行するCBOの元利支払に対して、原資産からのキャッシュ・フローを各クラス債権の優先順位に応じて順に割り当てる構造のことである。通常シニア債は劣後するその他のクラスよりも格付けは高く、クーポン・レートは低くなる。

 

優先・劣後構造は、証券化商品においてしばしば用いられる信用補完策で、優先・劣後構造が、信用補完策として第三者保証に比べて優れている点は、第三者保証の場合、保証人の格付けに応じて格付けが決まるため、将来、保証人の格付けが低下したときには、それに応じてCBO債の格付けも下がるところ、優先・劣後構造を利用した場合には、この問題が回避でき、また、保証料が不要となり、多様な投資家のニーズにマッチした複数の商品を作り出せることができることにある。

 

ここで、期待損失額は、それぞれ4つの債券の発行額面額にデフォルト率を乗じたものの合計となり、仮にAとCの債券のみがデフォルトする確率は、AとCのデフォルトする確率にBとDがデフォルトしない確率を乗じたものとなる。

 

 

AAA格の社債の累積デフォルト率「しきい値」(1-累積発生確率)の損失額と等しい金額を劣後部分とすれば、シニア債の発行額は残りの金額となり、AAA各を取得できることとなる。

 

つまり、債権プール全体しては、信用補完額(劣後債の発行額)を上記の金額とすれば、これを超える損失が発生する確率はしきい値であり、損失額が上記金額を超えればシニア債に被害が及ぶこととなるが、その確率はしきい値ということである。

 

 

(外貨建てオルタナティブ投資)

A基金では、日本の株式及び債券の運用利回りが低迷しているので、外国株式のウエイトを20%から30%に引き上げる方針である。A基金の外国株ポートフォリオはMSCI指数をベンチマークとするパッシブ運用である。

 

 

これまで為替にはヘッジをしてこなかったが、外貨建て資産の増加に伴って一部をヘッジすることとした。

今回新たに、外国株運用として、エマージング・マーケット・ファンドマーケット・ニュートラル・ファンドのどちらかを採用し、さらに、為替ヘッジとして為替オーバーレイ・マネージャーの採用を考えている。

 

エマージング・マーケット・ファンド(EMF)とは、新興国株価指数をベンチマークとしてパッシブ運用するもの

マーケット・ニュートラル・ファンド(MNF)とは、米国株式を対象にマーケット・ニュートラル戦略で運用されるヘッジ・ファンド

 

マーケット・ニュートラル戦略とは、割安な株式を買い、割高な株式を売り、市場リスクに対してポートフォリオをニュートラルにしつつ、プラスアルファのリターンを狙うアクティブ戦略である。

 

為替オーバーレイとは、基金全体の為替エクスポージャーを専任の運用機関に一元的に管理させ50%ヘッジをベンチマークとするもの

 

新興国の株式の投資することのメリットは、高いリターンが期待でき、しかも先進国市場との相関が低いことからポートフォリオのリスク分散効果に寄与する。デメリットは、リスクが高く、流動性が低いことがあげられる。

 

 

マーケット・ニュートラル・ファンド(MNF)は、マーケット・ニュートラル戦略によってシステマティック・リスクをゼロにして、運用者の能力によってリターンを狙うアクティブ戦略であるのに対し、エマージング・マーケット・ファンドは、市場インデックスをベンチマークとするパッシブ運用であり、システマティック・リスクをとってリターンを狙う戦略である。したがって、両者は全く異質な戦略といえる。

 

 

為替オーバレイ戦略は、外国証券ポートフォリオの為替部分の運用を切り離して別の運用者が管理する戦略であり、有価証券運用と為替運用の投資プロセスを効率化し、より高いリターンを達成するためのものである。

 

為替オーバレイ戦略を行うには、為替の残高を正確に、しかもタイムリーに把握しなければならず、そうでなければ想定した投資方針と異なる結果を招くリスクがある。また、為替のヘッジ比率が維持されているかどうかを管理しなければならない。

 

また、外貨建て資産でアクティブ運用する場合、運用期間が必ずしも為替運用が得意とは限らないため、為替運用に特化させたマネージャーを採用する方が効果的であり、またファンドごとに為替ヘッジを行う際に生じるファンド間での売買の相殺による非効率性を避けることができる。

 

 

A基金ではどちらのファンドを採用するべきか。

シャープレシオはエマージング・マーケット・ファンドよりもマーケット・ニュートラル・ファンドの方が高く、MSCI指数との相関が低いため、リスク分散効果が高いことから、マーケット・ニュートラル・ファンドを採用するべきである。

 

結局、エマージング・マーケット・ファンドは、ハイリターンであるが、リスクが高すぎることが欠点となっている。さらに、パッシブなので、相関が高くなっている。

 

 

(ヘッジファンドの運用戦略)

株式ロング・ショート戦略とは、値上がり期待銘柄をロングで買い持ちすると同時に、値下がり期待銘柄をショートで売り越しし、市場全体の動きを抑制しながら収益を目指す戦略である。したがって、アクティブ戦略と比べて、市場リスクを軽減できるメリットがある。市場全体がある方向に動くリスク(マーケット・リスク)に対してヘッジしている。

 

一方、全体としてみれば、割安株と割高株の判断さえ間違えなければ、市場全体の株価の動向にかかわらず利益を上げることができる。

 

 

米国株ロング・ショート型ファンドが、ナスダックとの相関係数が0.86で、S&Pとの相関係数が0.69のとき、どのような状況であると考えるか。

これは、小型の割安株をロングし、大型の割高株をショートしていると考えられる。

 

 

アービトラージ戦略をとっているヘッジファンドの場合、危機的状況下でのリスクを区分する必要があるが、なぜか。

1998年のヘッジファンド危機の際には、金融機関でもリスク・レバレッジの高いポジションを取っていたため、ポジションの解消で市場が混乱した。市場では、ポジションの解消が殺到したため流動性が急低下し、ファンドの標準偏差が高まり、ファンド間の相関も高くなった。

 

 

ヘッジファンドの選択において過去のパフォーマンスを偏重すべきでない理由はなにか。

1 過去のパフォーマンスは、将来にわたって保証されるものではない。

2 株式ロング・ショートのようなディレクショナル(指向性)型戦略の場合、市場の方向性を間違えると大きな損失を被る。

3 アービトラージ(裁定)型戦略であっても、1998年危機のLTCMのように、スプレッドが収束せず広がる可能性もあり、安定したパフォーマンスが得られるとは限らない。

 

 

(ベンチャーキャピタル・ファンドとマーッケトニュートラル・ファンド)

新たな方針として、①米国株式ポートフォリオにベンチャーキャピタル・ファンドを組み込みポートフォリオを改善する、②株価指数先物と為替フォワードを用いてエクスポージャーをタクティカルに変更して収益を上げることを指示している。

 

ベンチャーキャピタル・ファンドを組み込みポートフォリオを改善するとは、期待リターンが高く、ナスダックよりもS&Pとの相関が低いことから、米国株式ポートフォリオのリスク分散効果が期待できる。

 

日本のベンチャーキャピタル市場は未成熟なので、投資対象の企業が少なく、また、収益が出るまでに時間がかかるため、米国のベンチャーキャピタル・ファンドに比べてリターンが低い。

 

マーケットニュートラル・ファンドは、上場企業で構成されるポートフォリオの市場リスクをニュートラルにしてリターンを狙う運用手法であり、ベンチャーキャピタル・ファンドがハイリスク・ハイリターン型であるのに対して、マーッケトニュートラル・ファンドは、ローリスク・ローリターン型の運用手法である。

 

 

X社は、現在の外国株式ポートフォリオは時価総額100億円、うち米国株式60億円、欧州株式40億円で、ともにパッシブ運用で、為替は、オープンである。X社では、短期的には米国株が欧州株よりも有望であり、また為替は、ドルとユーロに対して円高になると見ている。この見通しに基づき、現物投資のポジションは変えずに株式先物指数と為替フォワードを利用してエクスポージャーを調整することにした。

 

具体的には、欧州株のエクスポージャーを半分減らし、その分を米国株に上乗せし、為替エクスポージャーは、ドル・ユーロともに現在の半分にする方針である。

 

そうすると、欧州株の株価指数先物を20億円売り、同時に米国株の株価指数先物を20億円買った。また、為替対応として、円高に見通しなので、現物米国株式に対して米ドル為替フォワード30億円を売り、また現物欧州株式に対してユーロ為替フォワードを20億円売った。

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